若年層による市販薬の乱用防止について


<質問要旨>

 薬物依存で治療を受けた10代の若者たちが乱用する薬物のうち、市販薬の割合がここ数年で急増しており、若者たちが「生きづらさ」を抱える中で、薬を大量に摂取するオーバードーズに走っている。
 市販薬の乱用や依存から離脱させるためには、「生きづらさ」に寄り添うとともに、SNS上の乱用を煽るような投稿が心の拠り所になっていることへの対策も必要だが、先ずは、市販薬を販売するドラッグストア等の水際での対策が肝要である。市販薬が目的外使用されないよう、薬剤師等が購入者に対して氏名や年齢を確認したり、法令によって販売時の数量を原則1人1箱に制限したりする措置が取られているが、徹底されていないケースもあり、一層の強化が必要である。

 そこで、若年層の市販薬の乱用を防止するために、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後、どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

<答弁> 黒岩知事

 市販薬などの医薬品は、用法や用量が定められており、これらを守らないと、重大な健康被害につながるおそれがあります。
 特に「咳止め」や「かぜ薬」などには、精神に作用しやすいものもあり、用量等が守られずに、乱用されているケースがあります。
 そのため、このような市販薬を、薬局で購入する場合は、1人1箱に限定するとともに、若年層に対しては、薬剤師や登録販売者が、氏名や年齢、購入理由を確認しています。
 県では、これまでも、市販薬の販売方法が遵守されているか、薬局やドラッグストアへの立入検査時に確認を行っています。
 また、若年層に対しては、市販薬の不適切な使用が健康被害につながることを、学校等で開催される薬物乱用防止教室などで啓発しています。
 しかしながら、全国の精神科病院の調査では、10代の患者の乱用薬物のうち、市販薬の割合が、平成26年の0%から、令和2年には50%と急増しており、一層の対策が必要と考えています。
 そこで、市販薬の適正販売を、立入検査の重点項目とし、薬局等にあらためて徹底を求めるとともに、関係団体を通じて、確実に履行するよう、重ねて要請していきます。
 また、市販薬を乱用する若年層には、こころに悩みを抱え、生きづらさを感じている方もいます。
 県は、これまでも、Twitterで「つらい」「死にたい」といったキーワードをつぶやいた方に相談窓口を案内してきましたが、今後は、新たに市販薬の乱用に関するキーワードを追加していきます。
 こうしたことにより、若年層における市販薬の乱用防止に、しっかりと取り組んでまいります。


<要望>
 いくら水際対策をやっても、ドラッグストアを梯子されたら何にもならない、という声を聴くと、やや無力感を禁じ得ないところがありますが、まずは、できることを徹底してやっていくことしかないと私は思っています。
 若者の薬物依存に詳しい松本俊彦医師によると、英国では、製薬会社が市販薬1箱当たりに入っている錠剤の数を半分にしたところ、若者の自殺や市販薬の乱用が減ったという実績もあるそうです。
 是非、我が国でも検討し得る価値はあるのではないかと考えています。
 また、SNSへの対策も試みてくださるということで、大変ありがとうございます。オーバードーズ、あるいはリストカットの画像を競うように投稿する若者たちの心中を思うといたたまれなくなります。
難しい課題であり、試行錯誤を要するかもしれませんが、是非、効果的な対策となるよう、工夫を重ねて頂ければと思います。