DV対応機関と連携した児童虐待対策について


<質問要旨>

 国が平成30年度に、全国の児童相談所と配偶者暴力相談支援センターの連携状況を調査した結果、児童虐待とDVでは、適用される法律が違うため、双方が重複している事案への対応の難しさが指摘されている。児童虐待対応とDV対応との連携強化は重要であり、国は、令和2年4月に施行された改正児童虐待防止法において、児童相談所とDV対応を行う機関との連携協力を明確に位置付けた。
 県では、配偶者暴力相談支援センターである女性相談所や「かなテラス」においてDV被害者支援を行っており、各市町村のDV対応担当部署の相談窓口も含め、県や市町村のDV対応機関と児童相談所がしっかりと連携し、児童虐待対応を強化していく必要がある。

 そこで、県や市町村のDV対応機関と児童相談所が連携した児童虐待対策について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 子どもがいる家庭でDVが発生している場合、子どもにも深刻な虐待が行われている可能性があり、このため、市町村のDV対応部署と、県のDV対応機関である女性相談所や「かなテラス」が、児童相談所と連携して対応することが重要です。
 県では、市町村の児童虐待防止ネットワークである「要保護児童対策地域協議会」に、市町村のDV対応部署を加えるよう働き掛け、現在は、すべての市町村の協議会メンバーに入るなど、連携体制を整備してきました。
 また、児童相談所や女性相談所と、市町村のDV対応部署が、情報連絡会を通じて、連携対応のフローチャートを作成するなど、顔の見える関係をつくり、お互いの機能や役割の理解を深めています。
 さらに、昨年度から、女性相談所に「児童虐待防止対応コーディネーター」を配置し、児童相談所と連携しながら、DV被害者が同伴する子どもの支援に取り組んでいます。
 しかしながら、県に寄せられた、DVと虐待が同時に起きている相談件数は、令和2年度には517件と過去最多となり、年々増加傾向にあることから、児童相談所とDV対応機関との更なる連携の強化が必要です。
 そこで、連携対応力の向上が図れるよう、例えば、夫の激しい暴力から避難してきた母子への対応など、切迫した状況を想定した、リアリティのある実践研修を合同で行っていきます。
 また、連携して対応した好事例を事例集として作成し、関係機関で共有することにより、効果的な支援の充実を図っていきます。
 さらに、女性相談所では、「児童虐待防止対応コーディネーター」が、親子の一時保護が終了した後に、子どもが心理的なケアを受けられたり、転校先でスムーズに受入れてもらえるよう、教育や医療などの関係機関と丁寧に調整を行っていきます。
 今後も、県では、児童相談所と、DV対応機関の連携を強化し、児童虐待対策にしっかりと取り組んでまいります。