「こころの電話相談」の見直しについて


<質問要旨>

 県では、こころの悩みを抱えた方に対する相談窓口として、「こころの電話相談」を開設しており、年間8千件を超える相談に対応している。
 一方で、なかなか「こころの電話相談」につながらないとの声もあり、昨年度のつながった件数、いわゆる接続率は1.6%と低い状況である。要因の一つとして、「フリーダイヤル」で運用していることが考えられる。
 県では、LINEを活用し、電話相談以外の窓口を開設していることは承知しているが、電話相談のニーズも根強いと思う。現在、コロナ禍で、多くの人が深刻な悩みを抱え、相談のニーズが高まっている中、接続率の低さを鑑みると、「こころの電話相談」の体制について検討する必要がある。県の相談窓口だけでなく、民間の相談窓口の活用も図り、負担の分散化も図るべきである。

 そこで、現在の接続率の状況を踏まえ、今後、こころの電話相談事業をどのように進めていくのか、所見を伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 現在、長引くコロナ禍で、多くの方が不安やストレスを抱えている状況にあります。
 そのため、こころの悩みを抱える方に寄り添う、相談事業の役割は、より重要性が増していると認識しています。
県では、これまで、悩みを抱えた方が相談しやすい環境づくりに向け、取組を進めてきました。
 その一つが、こころの電話相談のフリーダイヤル化です。
 これは、平成23年に「自殺」をテーマとして開催した「対話の広場」における「電話相談の通話料金が負担」というご意見を踏まえて、通話料金を無料としたものです。
 このフリーダイヤル化により、県民の皆様が、通話料金の心配をせずに、安心して、悩みを相談できるようになったと認識しています。
 しかし、一方で、こころの電話相談は、接続率が低く、すべての相談に対応できていないことや、若年層には、電話での相談に抵抗を感じる方が多いという課題もあります。
 そこで、昨年度は、これまでの電話相談に加え、LINEを活用した「いのちのほっとライン@かながわ」を開設し、より多くの人が相談窓口を利用できるよう、体制の充実を図りました。
 また、新型コロナウイルス感染症の自宅・宿泊療養者や、医療従事者等に向け、こころの相談窓口を新たに開設し、特定の窓口に相談が集中することなく、内容に応じた相談がしやすい体制づくりを行いました。
 このように、相談窓口の拡充を図ってきましたが、コロナ禍で、こころの悩みの相談を希望する方が増えている状況があり、これに十分対応できていないため、さらなる充実が必要であると認識しています。
 そこで、今後、県では、NPO等民間相談機関などと連携し、悩みに応じた相談先を紹介するなど、県民の皆様がより相談しやすい環境づくりに努めていきます。
 また、こころの電話相談の接続率については全国的な課題でもあり、国や他の都道府県と意見交換を行って、その改善策について検討していきます。
 こうした取組により、悩みを抱える県民の皆様が相談しやすい環境づくりを進め、誰一人取り残さない社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。