8.神奈川芸術劇場の運営体制について


<質問要旨>

 神奈川芸術劇場は、自ら芸術を創造する運営体制とそれを支える舞台等の設備をもち、自主的な事業を行う創造型劇場として、「モノをつくる」、「人をつくる」、「まちをつくる」の「三つのつくる」をテーマに立ち上げられたが、今般、開館前から芸術監督として劇場の立上げに尽力していただいた宮本亜門氏が、来年3月末に任期満了をもって退任することとなった。神奈川芸術文化財団は、指定管理期間の残りの2年間は、館長の助言・相談役として「芸術参与」を置き、白井晃氏を迎えると聞いている。

 そこで、宮本監督の体制下で立ち上がったKAATにおいて、「三つのつくる」というコンセプトに照らし、これまでどのような取組を行い、どのような成果と課題があるのか、また、創造型劇場であるKAATが、今後もその使命を果たしていくためには、新たに芸術参与として迎える白井氏に一定の権限を付与するなど、その役割を明確にすることが必要だと考えるが、今後の運営体制について、併せて所見を伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 KAATは、モノ、人、まちの三つをつくることをコンセプトとする創造型劇場ですが、1つ目の「モノをつくる」については、宮本亜門監督の演出作品として、こけら落とし公演の「金閣寺」や子ども向けミュージカルの「ピノキオ」など、幅広いジャンルの舞台芸術作品を創造・発信してきました。
 「人をつくる」、人材の育成については、劇場運営や舞台技術を志す学生などを対象としたインターンシップや、舞台表現者の育成を図るため、ダンスなどのワークショップを実施いたしました。「まちをつくる」、賑わいの創出については、施設での公演による集客はもとより、山下公園や中華街などでの野外パフォーマンスの実施や、観光、食事とのパッケージツアーなど、地元と連携して、工夫をこらした取組みを進めています。
 このようにKAATでは、県民の皆様に多様な舞台芸術作品に触れていただくとともに、舞台芸術を支えていく次世代の専門人材を着実に育成するという成果をあげています。
 今後の課題としては、マグカル(マグネットカルチャー)事業の拠点の一つとして、神奈川発の魅力的なコンテンツの充実や一層の広報に努め、劇場としてのブランド力をさらに高めていく必要があると考えています。
 次に来年度からのKAATの運営体制についてです。
 指定管理者である神奈川芸術文化財団が芸術参与をお願いする白井晃氏は、演出家として演劇、ミュージカル、オペラと幅広いジャンルで活躍され、俳優としても舞台、テレビ、映画などに数多く出演されています。さらに、広告会社勤務のご経験をお持ちであり、広報のノウハウやプロデュース能力も兼ね備えています。
 白井氏には、多彩な能力を存分に発揮していただき、KAATの事業展開の牽引役として、核となる舞台芸術作品を創造していただく他、人材育成や広報活動にご尽力いただくことを期待しています。
 今後は白井氏に大いに活躍していただくことで、KAATが創造型劇場として新たな展開を図っていけるものと確信しております。