「子どもたちが自然と親しむ機会は、残念ながら減っています。せめて、環境問題については実際に体験、観察してもらいたいという思いから、野外にはよく連れて行きます。生物、社会の時間に外に出て、森林監督官や農家の話を聞くこともある。
また、環境学習グループには、定期的に小川の水質を測定させています。小川の水は、果たして飲めるのか飲めないのか。下水道が完備しているのに、なぜ集落を流れる水は、森の水より汚れているのか。野外での活動は、いろいろなことを考えさせます。また、そこではミミズ、昆虫、水生生物と、さまざまな生き物と触れ合うこともできるのです」
学校でも、エネルギーの節約に努めているという。暖房用の石油や、電気エネルギー、水などについては、市の予算でまかなっている。それを余らせた場合は、当然、市に返すのだが、今は返した金額の50%が学校に返ってくる仕組みになっているのだそうだ。学校が、積極的に省エネルギーに取り組めるよう、政治的に決定したという。
ただ、これはフライブルク中の学校がやっているわけではない。あくまで試験実施ということだが、成果は上がってきている。複層ガラスや、トイレの水を節約する装置など、最初に投資をすると、その年は成績が悪くなるが、その後は毎年、効果が持続する。5年間で平均を取ると、年平均10,000ユーロ節約していた。毎年5,000ユーロが報奨金として学校に戻されている。
「環境を重視した農業、太陽エネルギー発電、自転車専用道……。環境を維持するためには、お金が必要です。環境保護を考えなければ、その分、お金も必要なくなるが、そのツケは必ず回ってくる。政治家は5年先を見てほしい。(5年はドイツでの選挙のターム。笑)。
このドイツでだって環境は票になりません。即効性のない政策を主張していたら、選挙で落選する。しかし、恐れずに決断してほしい。私は教師だが、議員もやっています。郡の議員です。専ら環境問題を訴えて20年。今、5期目をやっています。州議会議員のDr.Witzelも以前、フライブルクの市会議員をやっていたので、周知の仲だ。一緒に活動していたこともあります」