<海外県政調査の報告>調査の記録

11.環境教育は毎日の生活のなかに(1)

Droste-Huelshoff-Gymnasium
Brucknerstr. 2, 79104 Freiburg
Tel : 0761 / 201 - 7647 Fax : 0761 / 201 - 7469
Mr. Schmieder

省エネを教えるのは難しい
 環境首都ともいわれるフライブルクで、環境教育がどのように行なわれているのか。その実例を調べるために私たちは、<Droste-Huelshoff-Gymnasium>を訪問した。フライブルク市と愛媛県松山市は姉妹都市の関係にあり、この中高一貫校にも、松山の子どもたちが交流で訪れているという。

 その学校は、閑静な住宅地に囲まれた文教地区にあった。その雰囲気もさることながら、学校のまわりの小道がすごい。すべて、音楽家の名が付けられているのだ。バッハ通り、ブラームス通り、シューマン通り……。ていねいに歩けば、もっと発見できるのだろうが。

美しい家並みが続く学校周辺の住宅街

美しい家並みが続く学校周辺の住宅街

 1966年に開校した、まだ新しい学校だ。4階まで吹き抜けになった校舎は、すべての生徒が等距離にコミュニケーションがとれるように、というコンセプトのもと設計された。ドイツでは小学校が1〜4年生。それが終わると、中高校(ギムナジウム=5〜13年生)に進む。
 ギムナジウムを選択しない子どもたちは、職業学校などに進む。卒業後はマイスターのもとでプロフェッショナルを目指す。ギムナジウムは進学コースなのだ。
 この学校で化学と生物を教えるSchmieder先生に話を聞いた。

明るく、人懐っこい生徒たち
「この学校では特別に環境教育という時間はありません。各教科の授業の中で、環境問題について触れています。あるいは、毎日の生活の中で、エネルギーの節約などを習慣づけるようにしています。それこそ、窓を開けっ放しにするな、使わない照明は消せ、というところから、ですね。
 教師70名中、3人が専門的な指導に当たっています。自ら手を挙げて、省エネ教育についてイニシアチブをとっています。これまでの家庭での習慣もあり、子どもたちにエネルギーを節約させるのは難しいのです。フライブルクでは、ほとんどの家庭がセントラルヒーティングで、冬でも半そで1枚で過ごしています。どの部屋も、廊下でさえ暖かく明るい環境で過ごしている。我々は、そうした習慣を変えるところから取り組んでいるのです」

熱心に太陽エネルギーの実験に取組む生徒たち
 私たちが見学したのは、12歳から13歳のクラスの課外事業。4人がグループになって太陽エネルギーについて勉強していた。太陽の光や熱を効率的に受けるためには、どうすればよいか、模型を使いながら熱心に取り組んでいる。
 1年間、同じメンバーで研究するが、何かを開発しようというのではない。あくまで、省エネルギーを理解するための活動である。

 近々、学校に太陽光パネルを取り付ける計画があり、そのときには子どもたちの研究を生かしたいと、担当の先生は言った。そして、太陽エネルギーのコースが終わったら、次はバイオ発電など、他のエネルギーについても子どもたちに学ばせたい、と。この課外授業は、1週間に1回、行なわれている。

 課外授業は、生徒が自主的に申し込んで行なわれる。全員に強要するものではない。通常の授業は、7時50分に始まり、13時に終わる。課外授業の時間は、2時から6時までだ。環境問題のほか、演劇、合唱、器楽、天文学、スポーツなどのグループがある。
 ビオトープは生物の授業で使っているという。見せてほしいと言ったが、学校から2kmも離れたところにあるらしい。残念だが、時間の都合で諦めた。そういえば、この学校には、グラウンドも体育館もない。ドイツの学校では、これが普通なのだそうだ。
環境教育について語るSchmieder先生