<海外県政調査の報告>調査の記録

5.爆走LRT。(1)

KVV Karlsruher Verkehrsverbund
Tullastrße 71, 76131 Karlsruher
Tel:0721/61077060 Fax:0721/61075399
Dr.Werner Zimmermann

大気汚染と渋滞の解消
市内を走る旧型トラム
 LRT研究が花盛りである。ちなみにLRT(Light Rail Transit)は新型路面電車を用いた交通システムの呼称であり、電車そのものはLRV(Light Rail Vehicle)と呼ぶのだそうだ。

 日本でも主だった都市には路面電車(トラム)が、たとえば横浜なら1972(昭和47)年まで、走っていた。昔はその町の顔でもあったチンチン電車だが、モータリゼーションが発達し道路に車が溢れてくると、途端に渋滞の元凶などという濡れ衣を着せられ、邪魔者扱いされるようになった。ついには、次々と廃止の憂き目にあっていったのである。それは、ヨーロッパにおいても同じだった。
 しかし、その結果、ほとんどの場合において、事態はさらなる悪化を見ることになる。自動車への依存が強まった結果、市街地の渋滞は一層ひどいものになった。のろのろ運転の車からは、高濃度の有害ガスと二酸化炭素が排出され、大気汚染が深刻化した。ヒートアイランド現象の要因ともなった。市民は、大渋滞の市街地を避けて、郊外の大規模店舗へ買い物に出かけるようになる。こうして元々の繁華街は空洞化してゆく。
市庁舎前広場は自動車の乗り入れが禁止されている
 ドイツでは、そのような事態を打開するため、公共交通へのテコ入れ、歩行者や自転車への支援を強力に行なった。その目玉が、路面電車の復活であり、高機能なLRTへの発展促進であった。

 その実例を、LRT先進都市カールスルーエで見学する。
 訪問したのは、KVV(Karlsruher Verkehrsverbund GmbH=カールスルーエ運輸連合)。レクチャーは、広報担当のDr.Werner Zimmermann。
 Zimmermann氏の話を聞く前に、カールスルーエのLRTについて、概要をつかんでおきたい。