今からおよそ1年半前、平成18年11月24日の毎日新聞に注目すべき記事が掲載されました。都留文科大学の河村茂雄教授が全国の児童・生徒約5万人を対象に、教師や同級生との関係などを問う心理テストを実施したところ、教師が教え子に友だち感覚で接する「なれあい型」学級のほうが、教師がきびしく指導する「管理型」、それ自体問題があるとも言われますが、その「管理型」よりもいじめや学級崩壊が発生しやすいという結果が得られたというのであります。
この点についても、土井教授は言及しています。本来、教師と生徒の間には上下関係が存在する。生徒にとって教師は反発の対象であり、ゆえに、かつて校内暴力といえば教師に対する暴力を指したのであると。その関係が崩れると、どのようなことが起きるか。さきの『友だち地獄』のなかでは「教師と生徒の間のタテの関係は崩れ、焦点を失った対立軸も生徒同士の関係のなかへと拡散し、それが今日のいじめ問題の土壌を形成するに至っている」と述べています。
しかし、これを教師個人の資質に帰する問題とするのは酷でありましょう。土井教授も指摘するように、1980年代以降、具体的な知識や技能、社会性を身につけさせる教育から、自分の可能性や適性を自ら見つけ出し、自ら学び、考えさせる教育へと国の打ち出しが変わってきているのであります。子どもたちを一定の型にはめて「社会化」してゆくことから、個別の「自分探し」「自己表現」の手助けへと教師の役割が変わるのですから、当然、教室内秩序にも混乱が生じます。私は教室から、教師という中心が喪われつつあるのではないかと危惧しているのです。
そこで、教育長に伺います。
教育の現場が直面する問題、特にいじめを根絶していくためには、教師を教室の中心軸とし、教室の秩序を再構築してゆく必要があると考えます。教師と生徒の関係はどのようにあるべきとお考えでしょうか。ご所見を伺います。
|