2.道州制について
(1)現在の道州制の議論の方向性、進捗に対する評価について。

<質疑>
 知事は、マニフェストの中に「道州制への転換」を掲げ、就任以来、広域自治体のあり方の検討、全国知事会での道州制の議論など、様々に取り組まれてきました。
 国においては、第28次地方制度調査会で、道州制について精力的に調査・審議が行われ、平成18年2月の「道州制のあり方に関する答申」の中で、道州制を推進する方向が示されました。平成19年1月には、道州制担当大臣のもと、「道州制ビジョン懇談会」も設置され、この3月には中間報告がなされました。そこでも、道州制推進の方向性が明確に示されております。
 ただ、私は、この間の議論で気にかかっていることがあります。それは、道州制を地方分権の理想形として構築するためには、まずは道州制抜きで、中央政府と対等・協力の関係に立つ地方政府を確立することが先決ではないか、ということです。その上で道州制の検討に入るべきだと考えているのです。実際、この間、進められてきた分権改革「三位一体の改革」の中身をみると、地方の裁量権の拡大につながらない国庫補助負担金の負担率の削減ばかりとなっており、道州制の前提となるべき、地方分権改革が進んでいない実態があります。
 5月末にまとめられた地方分権改革推進委員会の第一次勧告についても、各省庁に分権を迫る内容になっているものの、早くも拒否反応が出たりと、先行きが思いやられます。
 さらに、もっとも重要な、権限移譲に伴う税財源移譲の問題も先送りされており、このままでは、分権とは名ばかりの、地方への仕事の押しつけに終わってしまう懸念さえあります。



 そこで、知事に伺います。

 いち早く道州制をマニフェストに掲げ、道州制への移行を主張されてきた知事からみて、現在の道州制の議論の方向性、進捗をどのように考えられているのか、知事の所見を伺いたい。

<答弁> 松沢知事
 まず、現在の道州制の議論の方向性、進捗に対する評価についてであります。
 私は、かねてから道州制の導入を主張してまいりましたが、知事就任当初は全国知事会議においてすら道州制を議論すること自体がはばかられるような状況でありました。しかし、道州制議論がいよいよ身近なテーマとして注目を集めている今日の状況は、まさに隔世の感がございます。
 私は、道州制は単なる都道府県の合併ではなく、国と地方自治体のあり方を抜本的に見直し、中央集権型社会から地方分権型社会へと、まさに国の形を変える究極の構造改革であると考えております。こうした考え方から申しますと、現在の道州制議論は財政調整制度などの重要項目は今後の検討課題とされているものの、総じて地方分権型社会の創造という方向で検討が進んでおりますので、好ましい状況であると認識しています。
 また、議論の進捗状況につきましては、国の道州制ビジョン懇談会を初め、政党や経済界におきましても、おおむね10年後の道州制導入といった目標が掲げられるなど、議論が着実に進められている状況は評価に値するものと考えています。
 このように道州制をめぐる議論は大変活発になってきてはおりますが、県といたしましても将来の道州制を見据え、首都圏サミットや首都圏連合フォーラム、山静神サミットなど、道州制の受け皿となるような広域連携の取り組みを主体的に進めているところであります。
 今後とも、国の各省庁の省益を優先した抵抗を乗り越えて、真の地方分権改革に資する道州制が実現できるよう国と地方の政治家がスクラムを組み、力強く取り組んでまいります。