1.かながわツーリズムの推進について(1)

<質疑>
 今回の県政調査項目の一つに、ヨーロッパでは既に広く普及しており、都市住民に安価で充実した休暇を提供し、離農者の増加にも一定の歯止めをかけるなどの成果があるとされるグリーンツーリズム※1が、どのように展開されているかを調べるということがありました。
 現地を歩くと、都市と自然が極めて近接して存在するという点、そして、農漁村部にも都市文化の洗練が及んでいるという点において、我が神奈川県と、ドイツのシュヴァルツヴァルトやオーデンヴァルトには、共通するものがあることがわかります。

 「かながわツーリズム推進指針」には、新しいテーマ観光の事例としてグリーンツーリズムや、海浜や漁村を楽しむブルーツーリズムが挙がっておりますし、私も真剣に取り組みさえすれば、それらは有力な観光振興策になり得ると考えております。
 しかしながら、知事の主導のもとで作成された神奈川力構想「プロジェクト51」において、ブルーツーリズムに関してはその記載は相模湾沿岸地域の保全・創造の中でわずか1行、グリーンツーリズムに至ってはどこにも見当たりません。
 これでは、それらのツーリズムが施策として存在しないに等しいのではないでしょうか。



 そこで、知事にお伺いをいたします。

 これまでグリーンツーリズムやブルーツーリズムに関して、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか。
 また、今後、具体的にどのような事業をどのように展開していかれるのか、あわせて知事のご所見を伺います。



※1
グリーンツーリズムは農園や農家に設けられた宿に滞在をして、農山村の自然や文化を楽しむ旅行。アグリカルチャー(農業)とツーリズム(旅)をかけ合わせてアグリツーリズムと呼ばれることもあります。
ドイツでは「農村で休暇を」と呼ばれるグリーンツーリズムは、農家を改装したペンションに何泊かして、牛の乳搾りを体験したり、農家の奥さんと一緒に料理をつくったりと、農村生活の一端を味わうことができます。また、近隣の街へと足を延ばすことで、エステや演劇・音楽、さらにはミシュランの星のついたレストランでの夕食も楽しみたい、そんな多種多様な要求にも対応できる情報が、自治体や観光協会によって提供されています。

なお、今回、私が行なったドイツ県政調査の詳しい内容については、こちらに掲載しております。

<答弁>
 グリーンツーリズムやブルーツーリズムは都市部の住民の方々が農業や漁業、自然や文化に触れ合うことにより、ゆとりある生活を実感していただくとともに、地域の農業や漁業の活性化にも結びつくことから、都市との交流という観点から推進しているところでございます。

■グリーンツーリズムに対する取組
 ハーブ料理が楽しめる松田山ハーブガーデンや小田原市江の浦の農業体験ができる滞在型施設の整備などに支援するとともに、県内のグリーンツーリズムに関する情報の提供に取り組んでまいりました。
■ブルーツーリズムに対する取組
 地魚料理を提供する三浦のエナヴィレッヂやマグロ等の直売を行う三崎フィッシャリーナ・ウォーフの整備や真鶴町漁業協同組合が中心となって実施しています漁業体験型の修学旅行事業への支援をしてまいりました。
 また、漁港周辺の民宿、観光地引き網や朝市など、地域の観光資源についても広く紹介をしてまいりました。
■今後の事業を展開について
 今後、各地域に滞在したいと思えるような魅力をつけ加える必要がありますが、グリーンツーリズムやブルーツーリズムの事業を展開していくことは、本県の観光客の誘致の増加や、農業・漁業を含む地域の振興を図る上で大変有効だと考えております。
 そこで、現在、策定中の「かながわ農業活性化指針」と「かながわ水産業活性化指針」にグリーンツーリズムとブルーツーリズムを位置づけ、農業や漁業の体験施設の整備などに対して支援をするとともに、そうした施設と地域の観光資源とを結びつけた形で情報を発信することとしております。
 さらに、宿泊型につながるような魅力あるツーリズムとするための内容や方法等について調査することも、農業・水産業活性化指針に位置づける方向で検討をしてまいりたいと考えております。