2008年のメッセージ

 <予算獲得 実現しました!>
2008.09

 障害者ケアホーム等に消防用設備を設置するための費用が9月補正予算案に盛り込まれました。
 これは、6月定例会代表質問において、おのでら慎一郎が県に対し求めた政策が実現したものです。

平成20年9月定例会における知事提案説明
(要旨抜粋)
「去る6月に綾瀬市内のケアホームにおいて発生した痛ましい火災を踏まえ、障害者自立支援対策臨時特例基金を活用して、県内のすべての対象事業所に消防用設備を設置できるよう、取り組んでまいります。」

平成20年度9月補正予算案より
障害者自立支援法移行緊急経過措置事業費
・目的
 障害者自立支援法に基づく制度の円滑な運用及び着実な定着を図るため、国からの交付金により造成した障害者自立支援対策臨時特例基金を活用し、障害福祉施設及び小規模作業所が新体系に移行する場合に必要となる施設の改修等の経費に対して助成を行なうことにより、新体系におけるサービス基盤整備を図ることを目的とする。
・内容
 障害者自立支援対策臨時特例基金を活用して、障害者自立支援法の施行に伴い、新体系サービスへの円滑な移行に必要な施設改修等の経費を障害福祉施設及び小規模作業所に対し助成するとともに新たに消防用設備の整備が必要となる障害者ケアホームに対して、所要の経費を助成する。
・予算額
 
4億8109万2000円

 <景観は住民が育てるもの>
2008.07
昭和50年代に造られた建売分譲住宅地。
住宅のデザインは平凡だが、景観保全のためのルールが厳しく、落ち着いた街並みが保たれている。

 横浜市が6月30日まで、「横浜・人・まち・デザイン賞」の募集を行っていた。これは、それまでの「まちなみ景観賞」と「まちづくり功労賞」を平成11年に統合したもので、今回で第4回目の実施となる。ちなみに平成15年の前回は、「まちづくり活動部門」で、私の地元・旭区の「旭ジャズまつりの企画・運営」や保土ヶ谷区の「西谷商店街での空き店舗活用による地域コミュニティ事業」など6事業が受賞作品となっており(「作品」という呼び方に違和感はあるが)、うれしい限りだ。
 一方、「まちなみ景観部門」の受賞作品は、日産自動車横浜工場ゲストホール・エンジン博物館、横浜港大さん橋国際客船ターミナル、日本郵船歴史博物館、馬車道のガス灯、フェリス女学院中学校・高等学校1号館、マーマしのはら保育園、天王森泉公園となっていて、それぞれが素晴らしい建造物であるということに異論はないが、気になったのは、それらが一点物の、まさに「作品」であるというところだ。
 横浜市の景観形成施策が「点」を重視していることは承知しているが、日本の景観を再生するには、いわゆる一般市街地や都市周縁部の景観を絶望の淵から救い出すことが不可欠と考えている私にとっては、いささか物足りない結果になっている。以前の「まちなみ景観賞」時代には、大規模団地や建売分譲住宅地などの受賞が見受けられたが、それらにしてもほとんどが新しく造られた「街」ばかりだ。
 この賞の応募要件が「おおむね10年以内に新しく造られたものや、歴史的建造物等再生されたものであること」となっているから仕方がないが、景観はデベロッパーが創るだけではなく、住民たちが時間をかけて守り育てていくものである。時の流れに抗いながら何とか良好な景観を維持しようと踏ん張っていたり、無秩序な家並みを少しずつでも調和のとれたものにしようと工夫したりしている自治会・町内会などが、もっと注目されてもよいのではないか。歩きながら「いい街だなあ」と思わせてくれるのは、たいがい、そんな街なのだから。

 <アレルギー対策も進んでいます>
2008.06

 おのでら慎一郎は平成19年6月定例会の一般質問でアレルギー疾患対策を取り上げました。その中で、アナフィラキシーショックを起こす恐れのある児童・生徒については、学校等が個別の対応マニュアルを作成すべきと主張しました。
 その際、教育長からは、前向きに取り組む旨の答弁を得ていましたが、平成19年末に県としてマニュアルの標準例を作成し、各学校に配信しました。


 <後期高齢者医療制度(1) そんなに極悪非道な制度なのか。>
2008.04

 後期高齢者医療制度が評判悪い。名前も良くないというので福田総理が「長寿医療制度」なんてどお? と。これも、なんだかなぁ。4月27日の衆院山口2区補選でも、結局これが与党候補の足を引っ張った。
 日本の国民医療費は約33兆円(平成17年)。そのうち65歳以上の患者(人口の約2割)が約17兆円を使い、65歳未満が残りの約16兆円を使う。人口にして約1割の75歳以上はというと約11兆円。実に国民医療費の3分の1を占める。これは仕方のないことだ。年をとれば病気にかかりやすくなるし、慢性疾患も抱え込む。日本の医療保険制度は世界に冠たるものだが、老人医療費の増大や保険料収入の減少などによって、国保も政管健保も健保組合も厳しい収支状況が続いている。
 高齢者が空前の勢いで増え続けるなか、「老い」というものを社会がどのように引き受けていくのか。持続可能で合理的なシステムを、国民負担の増大を避けつつ、今から組み立てることは可能なのか。今回の新たな制度の課題は、まさしくそこにあった。
 「75歳以上を切り分けるなんて、世界にも例がない」「平成の姥捨て山だ」「被扶養者だった人にまで保険料を負担させるのは酷だ」「年金から天引きするのは年寄りいじめ」……こうした批難に対し政府は、わが国の高齢化が世界に類例のないスピードで進んでいること、家族制度が崩壊し「棄老」が問題化するなかで、むしろ社会の役割を再構築しようとする制度であること、同世代間においては負担をなるべく公平にすべきであること、保険料を徴収するためにムダなコストや手間をかけないこと、等々を挙げて反論しているし、どれもわからない理屈ではない。
 しかし、政治は理屈よりも感情によって動かされる。「みのもんた」が吼え、「爆笑問題」が咬みつき、先日テレビを見ていたら「えなりかずき」までが叫んでいた。ここまでメディアが総攻撃すれば、「よくわからないけど、とんでもない制度にちがいない」と国民が思ってしまうのも仕方ない。
 わたしたちの『公明新聞』も含め、政府・与党側は「低所得者層では、むしろ負担が軽くなる」等、新しい制度の利点を理解してもらおうと、メッセージを発し続けている。しかし、説明を求めているのは負担が変わらなかったり軽くなった人ではなく、「冗談じゃない。ウチはどうしてくれるんだ!」という人々である。また、そうした声を受け止め、国につないだり、ていねいに説明させていただいたりするのが、わたしたち議員の仕事であるとも思う。
 一定期間やってみないと、この制度に対する評価は下せないだろう。たとえば、「かかりつけ医」を持つことで、高齢者への診療や投薬の重複は防げるようになるのか。そして、その結果、医療費の増大を抑えることができるのか。制度の目的は是とする私だが、果たして思惑通りに事が進むのかどうか。そちらのほうが問題だと思っている。

 <ガソリン税暫定税率失効(2) 地方財政に大穴>
  でも、そんなの関係ねえ!?
2008.04

 政府・与党は4月30日に衆議院で再議決して暫定税率を復活させる。一度、下がったガソリン価格が再び上がる(この間にも原油価格は上昇しているので暫定税率失効前より高くなりそう)というのは、国民にとって不愉快きわまりない話だが、これはやむをえないと思う。
 なにしろ、このまま暫定税率の失効状態が続けば、平成20年度の1年間だけで、国と地方の財政に2兆6000億円の穴があく。うち、地方は1兆6000億円(独自の歳入減が9000億円、国からの地方道路整備臨時交付金の廃止で7000億円)だ。また、市町村道への補助金6000億円の交付も難しくなる。
 神奈川県はどうなるか。平成17年度の数字を見ると、暫定税率による税収と地方道路整備臨時交付金を合わせて236億円の収入があった。横浜市をはじめとする市町村を合わせた額は710億円だ。これが突然、失われるのだから、ダメージは大きい。
 民主党の小沢代表に言わせれば、47都道府県知事がこぞって暫定税率の維持を求めているのは予算の修正を面倒くさがっているだけ、ということらしいが、さて、全国の知事さん、この発言を何と聞く。
 地方自治体は財政難のなか、ギリギリまで事業を精査し、予算を組む。半年にも及ぶ部局間の綱引き、議会での論戦。すったもんだの挙句、平成20年度の事業と、それに充てる予算が、この3月に決まったばかりだ。それが、いきなり230億円余ものマイナス補正となれば、一通りの混乱で済むわけがない。
 わたしたち議会は、新年度の予算と事業を認定した以上、予定通り執行させる責任がある。民主党県議団も、暫定税率維持を前提にした予算案に賛成をしているのだ。その重さをどのように感じているのだろう。それとも、こう言っちゃうのだろうか……でも、そんなの関係ねえ! ガソリン25円安けりゃいい、おっぱっぴー。

 ◆  4月24日、県議会の議長、副議長が衆参両院の議長を訪ね、要請文を提出した。 文面は別掲のとおり。
 その際、河野衆議院議長から、「国民の皆様の生活に支障をきたさないよう努力してまいります。そして、県民の方々にもよくご理解いただきたいと思いますので、県議会でもそのご努力をお願いしたいと思います」との話があった。

 <ガソリン税暫定税率失効(1) 松沢知事に申し入れ>
2008.04

 公明党県議団は4月2日、松沢成文知事に対し、「道路特定財源の暫定税率期限切れに関する申し入れ」を行なった。
 暫定税率の失効による県政への影響は大きい。減収見込み額は県だけで230億円以上。市町村の分を加えると約390億円に上ると見られている。
 そこで、
 1.県民に対する相談、広報について万全の体制で臨む
 2.一時的な歳入欠陥が見込まれても当面の道路事業を滞らせないようにする
 3.自動車取得税や軽油引取税の課税事務に関する混乱防止策を講じる

――などの要請を行なった。

 知事は、「暫定税率の失効が1か月で収まれば、国も地方への支援ができるだろうが、長引いた場合は国も対応できなくなる」と懸念を表明し、「道路特定財源については、暫定税率を当面2年間は維持し、その間にしっかり検討した上で、総選挙で国民の信を問うべきであるというこれまでの主張を展開していく」と語った。
 また、暫定税率問題の巻き添えで地方交付税法の改正が行なわれなかったことについて「交付税の概算交付額が減って資金繰りがつかなければ、地方はそのぶん借金をせざるを得ず、その利息は県民の税金で負担することになる」と国会の責任を指摘した。

申し入れの本文はこちら(PDF 72KB)


 <県会議員とは何か>
2008.01

平成20年の元朝を皆様いかがお迎えでしょうか。昨年を象徴する漢字は「偽」でした。私は石田禮助翁の「粗にして野だが卑ではない」という言葉が好きです。「偽」は「卑」に通じると思います。今年こそ、本物の輝きに満ちた1年にしたいものです。
 年の初めのためしとて、基本中の基本ともいえるテーマについて一言申し述べたいと思います。それは「地方議員の職責・職務とは何か」ということです。そんなことも知らずに議員をやっているのか、とお叱りをいただきそうですが、実際、明確な法的位置付けがなされていないのです。
 地方自治法を見ても、議員活動とは何か、それに対する報酬(歳費)はどうあるべきか、そもそも議員の身分がどうなっているのか、明示されていません。
 第203条に、議会の議員が他の非常勤職とともに規定されていることを知ったときは衝撃を受けました。県会議員や政令市の市会議員は活動領域も広範多岐にわたっており、その職務は限りなく常勤化、専業化しているというのが、私の偽らざる実感だったからです。
 近年、政務調査費をめぐってさまざまな問題が噴出しています。100%税金で賄われている以上、使途の明確化、透明化を図ることは当然です。一方で、問題の一因が議員の身分や仕事が法的に明確でないことにあるという指摘もあります。たとえば、地域を回って住民の皆様からご意見やご相談をいただくことさえ、必ずしも正規の議員活動とは認められてきませんでした。取材なしに記事を書くことができないように、地域の声を聞かずして政策の立案は不可能です。
 神奈川県議会では全国都道府県議会議長会等を通じ、地方自治法の改正を要望していますが、並行して独自に議会基本条例を策定しようという動きもあります。ご意見をお寄せいただければ幸いです。