デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進について


<質問要旨>

 神奈川県が今後、データや技術の活用を軸に、新たな価値観をもとに業務のプロセスを再構築することなどにより、生産性の向上やコスト削減、職員の働き方改革を実現するためには、DXが不可欠である。
 また、それぞれの局や部や課の解決すべき課題を発見し、その解決の方途として適切なデジタル技術を組み合わせること、他の部局や行政組織、民間企業等と情報を共有し合い、相互に作用し合うことにより新たなイノベーションを起こしていくこと。このような、相乗作用がまさしくDXであり、これを遂行していくためにはITと県庁業務の両方に精通した人材も必要と考える。

 そこで、
(1)「かながわICT・データ利活用推進計画」は、どのように本県のDX推進につながっていくのか。
(2)県として今後、データやデジタル技術を駆使して革新的なイノベーションをもたらすDXを強力に推進していくことが必要と考えるが、併せて見解を伺いたい。

※ DX・・・Digital Transformationの略語。デジタル改革の意。 (Xの部分は、英語圏ではTransを”X“で略されるため)


<答弁> 黒岩知事

 まず、「かながわICT・データ利活用推進計画」と本県のDX推進についてです。
 県が、昨年7月に策定した「かながわICT・データ利活用推進計画」では、県民の安全安心や利便性の向上を図る「くらしの情報化」と、行政内部の業務全般の効率化を図る「行政の情報化」という2つの側面から、ICTとデータの積極的な利活用に取り組むこととしています。
「くらしの情報化」では、健康・医療・介護、観光など様々な分野において、ICTや多様なデータの利活用を進め、県民ニーズに対応した行政サービスの実現とともに、民間事業者が提供するサービスについても支援していきます。
 また、「行政の情報化」では、RPAやAIなどの新たなICTを積極的に利活用して、生産性の向上や経費の削減、働きやすい環境の整備を推進していきます。
 こうした取組を着実に進めることで、本県のDX推進につなげていきたいと考えています。
 次に、県のDXの推進についてです。
 県では、全庁的な視点でICTの利活用や、ICT環境の最適化を統括する「CIO、情報統括責任者」と、ビッグデータを含む多様なデータの利活用を統括する「CDO、データ統括責任者」を設置しています。そして、私を本部長とする「ICT・データ利活用推進本部」の下で、CIOとCDOが連携しながら、全庁横断的にICTとデータの利活用に取り組んでいます。
 こうした体制のもと、民間企業ともしっかりと連携し、新たなテクノロジーを取り入れながら、本県のDXを推進してまいります。


<再質問>
 知事御自身、CIOは武井副知事、CDOは首藤副知事と伺っているが、この三方の下で本県のDXを推進していくとのことだった。
 私が気になっているのは、一般的にDXというと、クラウドの活用が前提となっている。一方で、県が取り扱うデータは県民の重要情報が多く含まれているので、情報セキュリティ対策も極めて重要だと考えている。そうしたことを踏まえた上で、DXをどのように推進していこうと考えているのか、知事のお考えを伺いたい。


<再質問に対する知事答弁>
 DXのセキュリティの問題であります。県はこれまでも、情報セキュリティ対策に力を注いできましたが、DXを推進するにあたっても、こういったセキュリティ対策をしっかり講じていきたいと考えております。
例えば、個人の特定を防ぐための匿名化でありますとか、データを安全にやりとりするための通信経路の確保、こういった情報セキュリティ対策にしっかり取り組み、DXを推進してまいりたいと考えております。


<要望>
 今回、初めてデジタルトランスフォーメーションということについて様々なやり取りをさせていただきました。
 県のICT・データ利活用推進計画には、所属ごとの課題をICTを使って解決する目標が掲げられています。それをしっかり遂行していくことはもちろん大切なことでありますけれど、DXというのは一つ一つのサイバー空間が切れ目なく繋がって実現するものであります。それを繋ぐうえで、先ほどちょっとシステムがうまく合わないという話もありましたけれども、旧来のシステムが障害となるということも言われています。今後、セキュリティという課題もしっかりと見据えながら、最良のシステムを今後神奈川県において作り上げていただきたいということを要望いたします。
 また、ICTの活用ということでは、今回のコロナウイルス感染症で、台湾のIT担当大臣、これは台湾史上最年少で入閣した天才プログラマーということだが、その人が先手の対策を講じて世界的に注目されたわけです。あるいは東京都では、Yahooの社長から転じた副知事が、その指揮のもとに強力にDXを推進しているということがあります。本県の場合はそうしたいわゆるカリスマに頼らず、県のトップスリーである知事、副知事がDXの推進役を務めるとのことであります。
 DXのD、これはデジタルという意味ですが、これももちろん大事なわけですけれども、Xですね。トランスフォメーション、何をどう変えていくのかが重要なのだと言われています。県全体の業務に精通したこのトップスリーとICT部門がしっかりと連携して、神奈川ならではのDXを実現していただきたいということを要望いたします。