8.芸術文化を担う人づくりについて


<質問要旨>

 地域に伝わる物語を新しい感性で舞台芸術に昇華させることができれば、本県の貴重な財産となるため、若い人や海外の観光客も楽しめるよう理解しやすく、かつ質の高い舞台を演出できる力量を持った人材の発掘が必須である。
そこで、

(1)海外からの観光客に楽しんでもらうだけでなく、県民が地域の文化を誇りに感じられるよう、神奈川の伝統文化や歴史、伝承などを素材にした質の高い事業を展開するべきと考えるが、どのように取り組んでいくのか。

(2)東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をきっかけに、文化面でのレガシーとして、本県において優れた芸術作品を制作、演出できるような才能の発掘、人材の育成が重要だと考えるが、併せて所見を伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

  まず、伝統文化等を素材にした事業展開については、リ・古典プロジェクトにおいて、鎌倉武士ゆかりの能の「鉢木」を神奈川フィルの演奏で上演するなど、若い方や海外の方にも伝統芸能に親しみを持ってもらえるような工夫を図った取組みを、県内各地で行ってきました。来年度のリ・古典プロジェクトは小田原城址で開催予定であり、今後も、こうした取組みを拡充させていきます。
 また、「ミュージカルあふれる神奈川」を進めるため、地域ゆかりの人物や歴史を題材にした地劇ミュージカルを、県民とプロが協働で、クオリティの高いものに作り上げていきたいと思います。
 そして、そのような事業について、プロデュースや演出ができる人材の発掘や、新たなムーブメントを巻き起こす人材の育成は大切です。
 例えば、今年度のリ・古典プロジェクトの演出をした杉原邦生さんは、パリでも公演を行ったほか、市川猿之助さんのスーパー歌舞伎「ワンピース」の演出助手も務めた本県出身の33歳、若手演出家です。このような人材を発掘、育成するため、県では青少年センターを無料で開放して上演する機会を提供することで、制作や演出に関わる人材を育て、その中で優秀な作品は神奈川芸術劇場でも上演しています。
 また、神奈川芸術劇場では、来年度、芸術監督に就任する白井晃さんが、演出家等をめざす若者を対象に作品創造のプロセスを学ばせる講座を開設する予定です。このように、今後も継続的に、文化芸術事業を担う様々な人材の発掘、育成に力を入れてまいります。


<再質問>
 芸術文化を担う人づくりについては、今回知事が打ち出した地劇という発想は大変すばらしいものだと思っています。
 色々な才能を発掘していくという視点で考えます、ミュージカルだけに門戸を狭めてしまうのはもったいないかなと考えます。
 ミュージカル以外にも、新しい才能の発掘、様々な舞台芸術への転換、展開というのが考えられると思います。また、応募する側は、どこまで県の支援を期待していいのかの目安も併せてお答えください。


<答弁> 黒岩知事
 必ずしもミュージカルに限らず、様々なジャンルのコンテンツを県民の皆様とともに制作して、神奈川の文化芸術を盛り上げていきたいと考えております。

 今回はわずかではありますけれども、平成27年度2月補正予算では、市民ミュージカルの公募と上演のため、1,000万円というものを計上して、そういった流れを加速したいと思っています。