5.アレルギー疾患対策について
 (2) 食物アレルギー対策について


<質問要旨>

 食物アレルギーの問題については、平成20年に学校・幼稚園向けのガイドラインが、平成23年に保育所向けのガイドラインが、それぞれ文部科学省と厚生労働省において作成され、学校や保育の現場で対策が進められてきたが、昨年12月に、東京都調布市の小学生がアナフィラキシーショックにより死亡するという、大変痛ましい事故が発生した。
 学校や保育の現場において、アナフィラキシーショック発症時に、迅速かつ適切な対応により命を救うためには、生徒や児童に関わる全ての教職員等が、アレルギー症状の緊急性を的確に判断し、役割を分担してエピペンの使用などの救命措置に当たれるよう、実効性のある研修を行うことが重要である。

 そこで、今後、県として、学校や保育等の現場での食物アレルギーによる緊急時の対応にかかる研修について、どのように取り組んで行こうと考えているのか伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 本県では、これまで学校等の職員が食物アレルギーへの理解を深め、緊急時に適切にエピペンが使用できるよう、かながわボランタリー活動推進基金を活用し、NPO法人と協働して、研修事業を実施してきたところです。
 この研修事業では、今年度までの5年間で延べ4,000名を超える多くの教職員が受講してきました。
 また、教職員だけでなく、救急救命士や保健師、栄養士など、幅広い関係者を対象とした研修を実施しています。
 さらに、この10月から全公立学校を対象として、エピペンの使用方法などを分かりやすく解説したマニュアル・DVDを作成・配布し、情報提供を行っています。
 このように、食物アレルギー疾患の患者さんを守るための取組みを実施してきましたが、今後とも、私立学校や保育所を含め、情報提供や研修等の取組みを質・量とも充実する必要があると考えています。
 現在、庁内関係部局が、クロスファンクションにより、今後の研修の充実などを検討しており、今後もNPO法人とも連携しながら、本県の食物アレルギー対策を充実してまいります。
 一方で、アナフィラキシーショック時に、救急救命士は患者本人に処方されたものでなければ、エピペンを打つことができない、学校現場でエピペンを購入し、常備することができないなどの制度上の壁もあります。
 命を救う観点から、今後、こういったあたり国に制度改正を提言してまいります。