3.公共的施設における禁煙条例(仮称)について
(2)たばこの文化的側面について、知事のお考えをお聞きしたい。

<質疑>
 副流煙のの健康への影響や、飲食店等の営業面の問題については、検討委員会等での議論の経過を見守りたいと思います。
 ただ、たばこについては文化という側面もあるのではないかと思うのです。文化というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要するに「人生をより豊かにするために、あるいはより楽しむために人間が作り出したもの」ということです。ヨーロッパ人で初めてたばこに接したのはコロンブスだそうで、時は1492年、所は西インド諸島であります。日本には、16世紀、南蛮貿易によって持ち込まれました。その後、江戸時代には庶民文化を彩る重要な嗜好品になったことが、浮世絵などを見るとわかります。ポートレートやスナップ写真にも、よく労働の合間に一服つけているシーンがありますが、たばこには疲れを癒し生活に潤いを与える効能もあったのです。本県でも、葉巻を楽しむための専門店があります。入店する客が副流煙を吸うことを了解の上で、喫煙を楽しんでいるのです。。
 しかし、世界の潮流は禁煙です。禁煙大国アメリカでは、愛好家が細々と葉巻の歴史をつなごうと集まるシガーバーまで禁煙にする州が少なくありません。また、ビートルズの名作「アビーロード」のジャケット写真で、ポール・マッカートニーが歩きたばこをしているのが怪しからんとクレームが付き、CG処理でたばこを消したそうです。そのうち、映画の、バーでたばこを吸うシーンにモザイクがかけられる時代が来るのでしょうか。




 そこで知事に伺います。

 たばこは、嗜好品として数百年の歴史を持っており、さまざまな文化を紡いでまいりました。条例を制定する上で「たばこの持つ文化的な側面」については、どのように対応されるお考えなのか、知事のご所見を伺います。

<答弁> 松沢知事
 まず、議員ご指摘のとおり、たばこは大人の嗜好品として、長年、日本社会に受け入れられており、喫煙が個人としての憩いのひとときや気分転換となってきたことを否定するものではありません。また、かつては喫煙や受動喫煙の健康影響が十分に認識されていなかったことから、文学や映像作品の中で喫煙シーンが雰囲気づくりの小道具として頻繁に用いられ、そうしたことがたばこの文化的側面と言われる要素を形成してきたのではないかとも考えております。
 例えば、今年5月の世界禁煙デーに本県で開催したフォーラムにおいて、講演者の一人が、若いころ、喫煙の健康影響についての知識がなく、喫煙する文学者に対するあこがれから自分もたばこを吸い始め、そのために肺がんを患い、後悔しているという話をされました。現在では、喫煙や受動喫煙について、確実に健康への影響があることが世界的な研究成果として明白に証明されておりますので、こうした正しい情報をしっかり周知することにより、たばこに対する人々の受けとめ方も変わってくると考えます。
 このたびの条例は、たばこを吸う方を排除したり、販売自体の禁止を目的とするものではなく、あくまでも他人に受動喫煙をさせないためのルールづくりでありますので、こうした趣旨をご理解いただけるよう取り組んでまいります。