ペンション棟の前には5〜6台の車が止められていた。ファームステイの客のものだ。ほとんどが小学生ぐらいの子どもを伴った家族連れのようだ(学校は休みなのか)。そのとき、大きなスーツケースを転がしながら若者たちが到着。高校生ぐらいだろうか、4〜5人のグループ。2部屋あるホイホテルも含め、50人以上が泊れる宿泊施設は、ほぼ満室らしい。ここの滞在期間は、原則として4日以上。2週間ぐらいの逗留もあるそうだ。
それにしても、畜舎からの臭いがきつい。慣れればなんともないのか、狩猟民族と農耕民族の違いなのか、大人も子どもも皆、平然としている。Müller氏に話を聞いている間も、子どもたちのはしゃぎ声が絶えず耳に入る。ファームステイに訪れた家族連れに、1日目が終ったあたりで「どう、楽しんでる?」と尋ねると、大抵、こんな答えが返ってくるそうだ。「うん、子どもたちは気に入っているみたい」
この農場で生産しているのは、牛肉、豚肉、自家製ソーセージ・ハムなどの肉類(現在、より高い衛生・品質基準を満たす肉店を準備中だ)、ミルクやクリームなどの乳製品、麦ではDinkel、ライ麦、大麦、オーツ麦など。ジャガイモや葱類、ラディッシュやにんじんなどの野菜。それに蜂蜜。20羽の家鴨と250羽の鶏もいる。牛は常時、150頭、そのうち65等が乳牛である。
いま、牛舎を増築中だ。「もう少し牛たちの居住空間を広げたい」とMüller氏は言う。