<海外県政調査の報告>調査の記録

9.バイオガスは一石三鳥。(1)

Naturkosthof Müller
Markelfinger Straße 12, 78476 Allensbach/Kaltbrunn
Tel:07533/5729 Fax:07533/7220
Mr.Helmut Müller

農業マイスター
 Müller Hofはボーデン湖畔の町、Allensbach-Kaltbrunnにある、バイオダイナミック理論に基づく農場である。
 敷地内には、牛や豚を飼う畜舎のほか、ペンション、ホイホテル(例の干し草ホテル)、自然素材の服や自然食の店もある。まだ新しい建物は、木のテイストがふんだんに生かされていて、これで臭いさえなければ、外観を見る限り避暑地のカフェかレストランといった雰囲気である。あるじはHelmut Müller氏。名刺にはLandwirtschaftsmeister(ラントヴィルトシャフトマイスター=農業の名人)とある。

洒落た外観のホイホテル

ファームステイは満室御礼状態
乗馬体験もできる
 ペンション棟の前には5〜6台の車が止められていた。ファームステイの客のものだ。ほとんどが小学生ぐらいの子どもを伴った家族連れのようだ(学校は休みなのか)。そのとき、大きなスーツケースを転がしながら若者たちが到着。高校生ぐらいだろうか、4〜5人のグループ。2部屋あるホイホテルも含め、50人以上が泊れる宿泊施設は、ほぼ満室らしい。ここの滞在期間は、原則として4日以上。2週間ぐらいの逗留もあるそうだ。
 それにしても、畜舎からの臭いがきつい。慣れればなんともないのか、狩猟民族と農耕民族の違いなのか、大人も子どもも皆、平然としている。Müller氏に話を聞いている間も、子どもたちのはしゃぎ声が絶えず耳に入る。ファームステイに訪れた家族連れに、1日目が終ったあたりで「どう、楽しんでる?」と尋ねると、大抵、こんな答えが返ってくるそうだ。「うん、子どもたちは気に入っているみたい」

 この農場で生産しているのは、牛肉、豚肉、自家製ソーセージ・ハムなどの肉類(現在、より高い衛生・品質基準を満たす肉店を準備中だ)、ミルクやクリームなどの乳製品、麦ではDinkel、ライ麦、大麦、オーツ麦など。ジャガイモや葱類、ラディッシュやにんじんなどの野菜。それに蜂蜜。20羽の家鴨と250羽の鶏もいる。牛は常時、150頭、そのうち65等が乳牛である。
 いま、牛舎を増築中だ。「もう少し牛たちの居住空間を広げたい」とMüller氏は言う。

 農場の総面積は150ha。そのほか、州の委託で100haの土地を使い土壌保全の試験をしている。
 ここは自然保護地域で、ボーデン湖の水は飲料水としても使われている。酪農や畜産などによる排出物が、土壌や地下水など環境に与える影響を測定したり、アンモニアを硫黄と結合させて無毒化し、土壌の酸化を防ぐなどの実験をしている。
 もっとも、Müller Hof自体から発生する汚水は、すべて肥料やガスに変えていて外には出していないのだが。
畜舎内でMüller氏から話を聞く