<海外県政調査の報告>調査の記録

6.ドイツでいちばん美しい村へ。(1)


景観が産業になる
美しい家並みが続くメインストリート
 今回、ドイツでの大きな楽しみに、Sasbachwalden(ザスバッハヴァルデン)の風景を、この目で見ることがあった。
 オーデンヴァルトの項でも触れたが、ドイツの田舎に点在する町や村の風景は、実に美しい。その、町や村のなかで、このザスバッハヴァルデンは、二度にわたり「ドイツで一番美しい村」賞に輝いているのだ。
 しかし、私たちがカールスルーエでの視察を終え、北シュヴァルツヴァルトの村のホテルに着いたとき、その美しい景色は、小雨と霧にすっぽりと包まれていた。

「もっと上のほうに、キルシュを作っているペンションがあるから、夕食前にちょっと行ってみませんか」と、吉永さんが提案した。「もし、霧が晴れていたら、ライン川や、川の向こう(フランス)のストラスブールも見えますよ」と。

窓辺を花で飾るのは、その家の奥さんがきちんと家事をしているというアピール
 ザスバッハヴァルデンは、海抜172mから1,164mの斜面に広がる村だ。村の面積は1,812ヘクタール、うち1,300ヘクタールを森林が占めている。住民は2,450人だが、1,200戸のセカンドハウスがある。
 また、観光客を受け入れるベッド数は2,000床に上る。主力産業は、観光と、ぶどう栽培(ということはワイン醸造も)、キルシュワッサーの製造(小さな蒸留所が164もある!)、木材の加工・販売である。

 花の季節はとっくに終わっていたが、それでも家々は、精一杯の花で窓辺を飾っていた。保存建築物に指定されている木骨造りの家屋(Fachwerkhäus=Half-timbered house)は、迫りくる夕暮れのなかでも、丁寧に手入れされていることが見て取れる。