<海外県政調査の報告>調査の記録

2.泊りがけで行く、近くの田舎。(1)

TouristikService Odenwald-Bergstraße
Marktplatz 1, 64711 Erbach
Tel:0049 6062 943331 / Fax:943333
Mr.Horst Schnur  Ms.Hanne Holuscha

混交林が織りなす、やさしい景色
森の中のおとぎの国のようなエアバッハ村
 午後からは、今回の視察のハイライトともいえるOdenwald(オーデンヴァルト=オーデンの森)に分け入っていく。ヘッセン州オーデンヴァルト郡のほとんどを占める「オーデンの森」は、ダルムシュタットとハイデルベルクを結ぶ線の東側に広がる、森林・農村地帯である。その広さは、東西、南北ともに約70km。前項でも少し触れたように、広葉樹を中心とした豊かな植物相をもつ混交林は、水源として近郊の都市を潤すだけでなく、観光資源としても地域に富をもたらしている。
 ドイツで「森」といえば、Schwarzwald(シュヴァルツヴァルト=黒い森)が国際的には有名だ。こちらは、ドイツの南西端、Baden-Württemberg(バーデン・ヴュルテンベルク)州に広がるドイツ最大の森だ。南北160 km、東西30〜50 kmの広さを持ち,一番高い山のFeldberg(フェルトベルク)は海抜1493 m。バーデンバーデンのような有名なリゾート地を懐に抱え、超高級ホテルも少なくない。森林についていえば、混交林の広がるエリアもあるが、特に南部は、ドイツトウヒなどの針葉樹がほとんどを占めている印象が強い。

エアバッハのマルクトプッラツ
 オーデンヴァルトには、ビュアシュタットに程近いBensheim(ベンスハイム)からアプローチをかける。ダルムシュタットとハイデルベルクのちょうど中間に位置し、平原と丘陵の境目あたりにある町だ。
 ワインの一種に、凍結したぶどうを搾って造るEiswein(アイスヴァイン=アイスワイン)があるが、ヘッセン州営ベンスハイム醸造所は、その醸造元のひとつとして、日本でも知られている。

 そこから、いくつもの村を通り過ぎ、いくつもの峠を越えて約1時間。オーデンヴァルト観光の中心地、Erbach(エアバッハ)に到着する。ウィークデーの昼下がりとあって、古城の前の広場にも、小川の辺にも人影はまばらである。ここには、<TouristikService Odenwald-Bergstraße>(オーデンヴァルトと、ダルムシュタット〜オーデンヴァルト〜ハイデルベルクを結ぶベルク街道とその周辺地域の観光案内所)があり、支配人であるHanne Holuscha女史から、話を聞かせてもらうことになっている。

熱心にオーデンバルトの歴史を語ってくれたHorst Schnur氏(右端)
 建物の中には、エリア内の30にも上る市町村の観光パンフレットや、特産品が所狭しと並んでいる。
 Hanneさんと、しばらく立ち話をしていると、オーデンヴァルト郡の郡長をされているHorst Schnur氏が現れた。私たちが調査に来ることを聞きつけ、会議の合間をぬって駆けつけてくれたのだ。さっそく、オーデンヴァルトのマスコットである「竜」(『ニーベルンゲンの歌』でジークフリートと戦う「竜」ですね)の像をバックに記念撮影。レクチャーと質疑応答は2階の会議室に場所を移して行なわれた。