県立高校における視覚に障がいのある生徒への対応について


<質問要旨>

 弱視の児童・生徒が学習に支障をきたさぬよう、拡大などして読みやすくした拡大教科書は、小中学校では必要とする児童・生徒に無償で給与されているが、高等学校に進学すると、特別支援学校の生徒以外は全額自己負担となることや、拡大教科書のある出版社や科目がごく一部に限られていることから、使用する生徒はゼロになる。
 誰一人として取り残さないということを目指すSDGsの取組とともに、「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、共生社会の実現に向けた取組を推進している本県として、県立高校で学ぶ高校生の一人ひとりの状況に応じた学習環境を保証するという視点に立って、視覚障がいのある生徒についても学習に必要な支援をしていただきたい。

 そこで、県立高等学校における、視覚に障がいのある生徒の学習の支援について、どのような取組を行っていくのか、所見を伺いたい。


<答弁> 教育長

 視覚に障がいのある生徒の高校での学習環境を保証するためには、授業で使う教科書や副教材などを、一人ひとりの生徒に合わせて、活用しやすくするといった配慮が必要です。
 しかし、議員お話の教科書会社が発行している高校の拡大教科書は、ごく一部の教科・科目しかなく、また価格が高額であることなどから、現在、県立高校に在籍している、視覚に障がいのある生徒の使用例はありません。              
 そうした生徒のいる高校においては、生徒一人ひとりの障がいの状況に応じて、教科書などの教材について、学校が拡大して印刷したものを用意するなど支援策を講じています。
 また、改正された学校教育法により、今年度から、紙の教科書の内容をデジタル化し、タブレットやパソコンなどでみることができる「デジタル教科書」の使用が認められました。
 「デジタル教科書」は、音声読み上げや拡大などの機能を持っており、高校用のものは来年度から発行され、今後、順次普及していくものと思われます。
 高校は、入学者選抜に合格し、入学を許可した生徒に対しては、その学習環境を整えていく責任があります。
 今後、県教育委員会は、こうした基本的な考え方を踏まえ、デジタル教科書のような新たな技術の活用や、特別支援学校の教員から、高校が専門的な助言を受ける仕組みの整備を進めるなど、生徒一人ひとりの障がいの状態に応じた、より適切な学習環境の確保に、取り組んでまいります。


<要望>
 ひとつお願いしたいのが、出版社から教科書のデジタルのデータが提供されるということになっています。これPDFで提供されるということなのですけれども、単純拡大して印刷する分にはいいのですけれども、レイアウトを変更して編集するとなると、PDFかなり手間がかかります。
 質問でも触れましたけれども、既製の拡大教科書では対応できない生徒さんの場合、どうしても再編集が必要になってきます。
 そうした生徒さんに、先ほど申し上げたようなボランティアの方に作っていただいた、そういう生徒さんは作っていただく訳ですけれども、私も、中学校2年生の国語の教科書を見せてもらいました。拡大教科書、それはボランティアの方がお作りになったものなのですけれども、実に20分冊です。1冊の教科書がもう20分冊になっているわけです。まさに教科書の解体作業が行われているような感じでありました。
 現場で、そうしたオーダーメイドのような教科書を作るのは大変難しいとは思いますけれども、一人ひとりの生徒さんに必要な支援をぜひお願いをしたいというふうに心からお願い申し上げます。