平成23年第1回定例会一般質問の全文

 政治の使命の第一は、まさに政治そのものが生み出した社会の仕組みの中で、困っている人、困難に直面している人々に手を差し伸べることである。そのように私は考えております。菅総理は「最小不幸社会」というスローガンを掲げていますが、それならば、限られた財源を、裕福な家庭にまで「子ども手当」を配ることにではなく、一部低所得世帯に過重な医療費負担を強いている高額療養費制度の見直しや、自治体の財政力によって格差が生じてしまっている「小児医療費助成」の均霑化を図ること等に充てることを優先すべきではないかと、私は思います。
 本日の質問は、障害者、高齢者への支援施策について伺ってまいります。いずれも政治によって適切に手が差し伸べられるべき方々であります。知事には真摯かつ前向きなご答弁を期待しております。
 質問の第一は、障害者の地域生活支援施策についてであります。
 平成21年7月に「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」が策定され、22年度から、それに基づくさまざまな事業がスタートいたしました。当時の吉川保健福祉部長をはじめ福祉当局の皆さんが大変に力を入れて策定されたものと承知しておりますが、忘れてならないのは、同時に「在宅重度障害者等手当」の縮減が始まったということであります。
 県の説明では、この手当は在宅の福祉サービスがほとんどなかった昭和44年に創設されたものであり、現在の状況、すなわち「在宅の福祉サービスが充実してきたこと」、「在宅と施設のサービスの差がなくなってきていること」、「障害者の雇用が促進されてきたこと」を理由に見直しを行いたい。さらには、「個人を対象とする一律の現金給付を見直し、その財源を、地域生活を支えるサービスの充実を図るための財源へと転換する」とのことでありました。
 しかし、議会では「在宅の福祉サービスは施設と比べ、まだまだ不十分である」、「『かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱』の進行スケジュールが不明確ではないか」、「現物給付の拡充が担保されないまま、現金給付たる手当を縮減すれば、まさに福祉の後退となる」等の意見が出され、文字通り侃々諤々の議論となったことを昨日のことのように思い出します。
 議会としては、平成22年度に加え23年度も経過措置として半額支給としたものの、結果として、手当の大幅な見直しに賛成をいたしました。そこには、議論の過程で県当局が示した、22年度については手当の見直しで生れた財源、約19億円のうち約16億円を障害者の地域生活支援施策に充てるという言葉が大きく働いていたと考えております。
 結局、平成22年度の見直し財源の活用額は約10億円にとどまりましたが、知事は、その理由を “当面は、モデル的な取組みから着手するものや、サービスの利用状況などを見定めた上で、本格的な事業展開を図るものもあり、初年度としては、まず真に必要な事業の予算を計上した結果、この規模となった”と説明されていました。
 そこで、はじめに、障害者の地域生活支援施策における在宅重度障害者等手当の見直し財源の活用について、知事にお伺いいたします。
 在宅重度障害者等手当の見直し財源の活用については、平成23年度もおよそ10億円程度ということであります。知事は平成21年6月定例会の厚生常任委員会で出された、手当の削減額に見合った地域生活支援施策を行なうよう求める意見に対し、「最大限努力することを約束する」旨のご発言をされたと記憶しております。2年目になっても、なぜ1年目とほぼ同額の施策事業しか展開できないのか、在宅重度障害者等手当を削減され、24年度からは支給の対象から外されてしまう約12万人の方々が納得できる説明をお願いいたします。
さて、平成22年度から、その在宅重度障害者等手当の縮減分を使って、いくつかの新規事業が立ち上がりました。その進捗状況についても伺ってまいりたいと思います。
 一つ目は、重度障害者等の介護者のレスパイト支援についてお尋ねいたします。
 「私が倒れたら、誰がこの子を守るのだという気持ちだけで、持ちこたえている。もう、頭も身体もいっぱいいっぱいの状態。」これは、重症の心身障害を持つ娘さんを、ご自宅で療育されているお母さんの言葉です。難病の奥様を不眠不休で介護されている方からは「一泊二日でいいから、旅行がしたい。」という声を聞きました。わが会派は、在宅で介護にあたる家族が、一時的に介護を離れ、心身のリフレッシュを図るための支援、すなわち「レスパイトケア」の必要性を訴えてまいりました。
 県では、今年度から重度障害者等の介護者のレスパイト支援を充実させるために短期入所事業の利用促進や重度障害児等への長時間訪問看護モデル事業の実施、さらには障害児者の医療的ケアなどに対応できる人材の養成に取り組んでおり、高く評価するところであります。県内の政令市では、川崎市に続いて相模原市が23年度から重症心身障害児者に対する独自の訪問看護事業を開始するそうです。この流れを制度として定着、拡大させるために、さらなる施策の充実を願うものであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
県が22年度から始めた重度障害者等の介護者のレスパイト支援や障害児者の医療的ケアなどに対応できる人材の養成などの施策を、現在、どのように進めているのか。具体的にお示しください。また、レスパイトケアのさらなる定着と拡大に向けた来年度の取り組みをお伺いいたします。
 二つ目は障害者地域生活推進事業費補助について伺います。
私は、昨年2月、平成22年第1回定例会の代表質問で、県が新設した「障害者地域生活推進事業費補助」が、市町村が新たな障害福祉事業に踏み出す際、初年度の市町村の持ち出しをカバーすることに、大変気の利いた補助であると高く評価させていただきました。一方で、この新たな補助のボリュームが5千万円弱に過ぎないことから、たとえば障害児の通学支援の需要が膨らんだ場合、それに応えきれるのか、といった疑問を呈したところであります。しかし、それは余計な心配だったようです。来年度の予算額は、なんと125万円。知事は、ご答弁の中で「障害児の通学支援は多くの市町村で事業を実施していただけるものと考えている」とおっしゃいましたが、22年度は市町村の手がほとんど挙がりませんでした。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 この補助の対象となる障害児の「通学支援」や、意思疎通が困難な全身性障害者等の「入院時のコミュニケーション支援」はいずれも切実かつニーズのある事業です。にもかかわらず、なぜ市町村からそっぽを向かれてしまったのでしょうか。知事の見解をお聞かせください。また、県として真に必要な事業と考えているのであれば、23年度は、制度を改めてでも市町村の事業実施を促進すべきであると思いますが、そうされなかった理由もお聞かせください。
 質問の第二は、精神障害者の在宅支援についてであります。
 はじめに、アウトリーチ、すなわち訪問による支援事業についてお尋ねいたします。
私が地元地域で活動する中で痛感すること、それは、医療や福祉につながることなく、地域の中で孤立している精神障害者がいかに多いか、ということであります。本人は精神疾患であることを自覚していないことが多く、市区町村の担当者も人権への配慮等から有効な手を打てないまま、迷惑行為や暴力的な行動がエスカレートしていき、いよいよ警察官によって精神保健福祉法第24条が適用され、はじめて専門医の診察を受けるということになるのです。また、医療を中断したまま、症状を悪化させてしまっている人もいます。
 国では、そのような、自ら専門機関に相談することができない方々に対し、精神科医や看護師、作業療法士、臨床心理士、精神保健福祉士などで構成する多職種チームが、訪問による支援を行う「精神障害者アウトリーチ推進事業」を平成23年度から、都道府県への定額補助事業として全国25ヶ所で行うと聞いております。本県は残念ながら対象から漏れてしまったということですが、国の補助はどうあれ、県として積極的に取り組むべき時期が来ていると実感いたします。
 そこで、知事にお伺いいたします。
在宅精神障害者の生活を支えるために、医療を含む多職種チームによる訪問等は極めて有効で、本格的な実施が必要と考えます。来年度、本県は精神障害者アウトリーチ支援に係る調査事業を実施すると聞いておりますが、今後、県として、具体的にどのように市町村のニーズを把握し、医療や福祉につながっていない精神障害者に手を差し伸べていこうと考えているのか、知事のご所見を伺います。
 次に、重度精神障害者に対するACT(包括型地域生活支援プログラム)について伺います。
 こちらも多職種の専門家チームによる訪問中心のサポートですが、対象は「既存のケアマネジメントでは退院促進が難しく、入院期間が長期にわたっている」、「精神科救急を頻繁に利用している」「入退院を繰り返している」など、日常生活の維持が困難な重度の精神障害者です。精神科治療に係ることはもちろん、住居探しから近隣関係の調整、買い物を手伝ったり、就労支援の一環として、一緒にポスティングに歩いたりもするそうです。このように、重い精神障害を持つ人が、住みなれた地域で、安心して質の高い生活を送ることができるよう、保健・医療・福祉のサービスを、365日、24時間体制で提供するのがAssertive Community Treatment 略してACT、包括型地域生活支援プログラムであります。
 現在、わが国の病床数は約170万床といわれておりますが、そのうち、なんと約35万床が精神科病床です。しかも、平均在院日数は年々短縮されているとはいえ、長期入院を余儀なくされている方も多くおります。ACTが普及し、精神障害者のケアが病院中心から地域中心へと移行すれば、精神科医療のコストを縮減することも可能です。ACTによるケアは、慢性病棟への入院治療と比べ、3分の1以下のコストでできるという試算もあります。
 しかし、「地域生活中心の精神保健医療福祉へ」という掛け声をよそに、地域社会の中に自ら出向いて活動する医療スタッフや福祉スタッフの数は、まだわずかです。
 そこで、知事にお伺いします。
重度精神障害者のケアを入院中心から地域生活中心へと移行させることは、県の地域精神保健福祉行政にとって最重要課題であり、県としてACTの活動を促進するような働きかけが必要と考えますが、知事のご所見をお聞かせください。
 質問の第三は、障害者の観光・旅行支援についてであります。
 はじめに、「観光立県かながわ」にふさわしい情報発信とホスピタリティの向上について伺います。
 本県では、「観光立県かながわ」の実現をめざすため、平成21年10月に「観光振興条例」を制定するとともに、観光振興を総合的かつ計画的に推進するために「観光振興計画」を策定し、昨年4月からさまざまな施策を展開していると承知しております。そうした積極的な姿勢については評価するところですが、「観光立県」をめざすからには、誰でも安心して楽しめる観光地づくりが求められることは言うまでもありません。
 特に、身体機能の衰えた高齢者や、障害のある方々が、観光地のどこに行っても神奈川の魅力を満喫できる環境整備を進めることは、大変重要であります。
 本県では、観光旅行者を迎える体制づくりとして、障害者や高齢者の方々などにも配慮した「ユニバーサルツーリズム促進に向けた環境整備」の取り組みを「観光振興計画」に位置づけております。具体的には「みんなのバリアフリー街づくり条例」に基づきユニバーサルデザインの観点に立った取り組みを推進するとしておりますが、外国人旅行者に対する誘客促進と比べ、残念ながら、障害者や高齢者を積極的に迎え入れようという姿勢があまり感じられません。
 それは具体的な施策にも表れています。本県では「観光かながわNOW」というウェブサイトで、観光関連施設におけるバリアフリー情報の発信に取り組んでおりますが、その内容は、たとえば宿泊施設については、視覚障害者のための点字表示があるかないか等のバリアフリー情報14項目について○×による一覧表、その他の施設についてはバリアフリー情報アイコンの記載があるというものです。これはこれで「バリアフリー情報の発信」かもしれませんが、発信の仕方が無機質かつ義務的です。「神奈川県はバリアフリーに力を入れているので、障害のある皆様もどうぞ安心してお出かけください」という熱意が伝わってこないのです。
 他県の事例を一つご紹介いたします。三重県のNPO法人「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」が、ホームページで高齢者や障害者の方々にバリアフリー観光情報を発信していますが、その取り組みが好評です。そもそもの始まりは、当時の北川正恭三重県知事から、伊勢志摩観光再生のために将来まで残ることを創り出せと命を受け、何度も壁にぶつかった結果、海外では巨大なマーケットになっているバリアフリー観光を提案したことにあるとお聞きいたしました。
 「障害者、車椅子、高齢者……、身体にハンディのある人を伊勢志摩は、日本一のバリアフリー観光でお迎えします」という言葉で始まるホームページを見ていきますと、宿泊施設や観光施設の事業者が積極的に自らのバリアフリーへの取り組みをアピールしたり、障害のある方が実際に現地を訪れ調査した結果を写真入りでレポートしたりと、障害者、高齢者に寄り添った情報発信に、大変感銘を受けました。
 このような情報発信には、観光産業に従事する事業者の方々や、一方の当事者である障害者の方々の協力が不可欠であります。NPO等と協働するかどうかなど、手法は検討するとして、ともかく県が主導して、バリアフリー観光に係る情報発信を刷新していくことを、事業者や障害者など当事者に呼びかけていくべきと考えます。新しいホームページ作りに参加していただくことを通して、観光地の施設経営者や従業員の方々の意識や関心が深まることも期待できます。
 もちろん、観光地に求められるのは、物理的なバリアフリーばかりではありません。そもそも歴史ある旅館や、名所旧跡などではバリアフリー化が困難です。そこでは、○×では表せない、接遇、おもてなしといったホスピタリティが大切になってまいります。
 遠位型ミオパチーという、心臓から遠いところの筋肉から次第に萎縮していくという難病とたたかう中岡亜希さんという女性がいます。発病する前は航空会社で国際線の客室乗務員をされていた中岡さんですが、今は車椅子の生活です。
 ヨーロッパから福祉用具を輸入する仕事をされている彼女が、フィンランドを訪れたときのお話が、とても印象的でした。
 フィンランドは福祉大国と言われていますが、ヘルシンキなどの街の中は、バリアフリーどころか段差だらけ。寒い国なので重い扉が二重になっている。しかし、街を歩いてみると全く不自由は感じなかった。なぜかといえば、周りの人がすぐに手を貸してくれるから。若い人だけでなく、お年寄りまで、重いドアを開けてくれるのだと。
 なるほど、これがホスピタリティということなのか、と私は思いました。神奈川県の「顔」ともいえる県内観光地において、優しさにあふれたもてなしを受ければ、リピーターになっていただく確率が高くなりますし、そこから県民全体のホスピタリティへの意識が高まる可能性もあります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 観光地や観光関連施設のバリアフリー情報を、高齢者や障害のある方々のニーズに合ったきめ細かいものにするため、ホームページのリニューアルおよび充実を図る必要があると考えますが、知事のご所見をお聞かせください。
 また、観光事業者等に対し、新しいホームページ作成への協力をお願いする説明会等を通し、地域のホスピタリティ向上を図るべきと考えますが、併せてご所見をお伺いいたします。
次に、障害者が利用しやすい宿泊施設の確保について伺います。
 鉄道駅舎へのエレベーター設置が当たり前になるなど、街のバリアフリー化が進んでいます。しかし、旅館やホテルなどの宿泊施設に関しては、施設のバリアフリー化や障害特性への理解の浸透などが必ずしも十分ではないため、障害のある人が、旅行先で不自由を感じることなく宿泊できる環境は、未だ整っているとは言い難い状況であります。
 そのような中、昨年3月をもって、障害者のための保養所として設置されていた「大文字荘」が閉鎖となりました。利用者からは、低廉な料金で、家族も一緒に安心して楽しめる宿泊施設として好評でしたが、表向き耐震性がないという理由で長年の歴史に幕を下ろしました。
 大文字荘では、障害のある方々のニーズに応じた、きめ細かなサービスを提供していました。たとえば、知的障害の方の行動に配慮して、落としても割れないプラスティック製食器を用意していること。視覚障害の方が連れている盲導犬のため、あらかじめ犬の食事の用意をしていること。身体障害の方のため、風呂場の椅子は座面の高いものを多くしていることなど、さまざまな障害に対応するためのノウハウやアイデアが蓄積されています。
 「ノーマライゼーション」という考え方に照らせば、障害者も特定の保養所ではなく、一般の旅館・ホテル等を利用すべきなのかもしれません。しかし、障害のある方々が、どんな宿泊施設でも気兼ねなく安心して利用できる環境が整わなければ、それは単なる建前論になってしまいます。「観光立県かながわ」の実現をめざす本県にとって、障害者の宿泊環境づくりは避けて通れない課題であります。
 旅館・ホテル業の方々からは、障害者を受け入れる気持ちはあるものの、どのような対応をしてよいものか戸惑うことがある、という声を聞きます。こうした方々に大文字荘が培ったノウハウやアイデア等の情報を継承してもらう活動を通して、障害者が利用しやすい宿泊施設が増えていくよう、努めていただきたいと思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 障害者の方々が利用しやすい宿泊施設の確保について、どのように進めていこうと考えているのか、知事のご所見をお聞かせください。
 質問の第四は、高齢者のための住宅供給についてであります。
 昨年2月の第1回定例会において、低所得者などの住宅弱者や高齢者の方など、真に居住の安定が必要な人々のセーフティネットをどのように構築していくのか、という質問をいたしました。
 知事からは、セーフティネットの構築は、重要と認識しており、様々な取組みをしているとの答弁をいただきました。
 私は、常々、居住の安定確保は福祉政策の原点であるとの認識を持っており、昨年2月の代表質問でも住宅施策と福祉施策の連携・協力が不可欠であると申し上げました。
現在、県においては、住宅施策を所管している県土整備局と、福祉施策を所管している保健福祉局の共管のもとに、住宅施策と福祉施策の一体的な取組みを、総合的かつ計画的に推進し、高齢者の居住の安定を確保することを目的とした「高齢者居住安定確保計画」の策定が進められています。
 この計画は、住宅施策の基本計画である「住生活基本計画」と高齢者福祉施策の基本計画である「高齢者保健福祉計画」の調和のもとに策定されており、高齢者向け住宅の供給およびバリアフリー化の促進や、地域ケア体制の充実など、住宅と福祉部局が連携・協力した取組みが行われるようになりました。私としても評価するところであり、計画の早期実現を望むところであります。
 さて、「高齢者居住安定確保計画」の取組みの一つとして、民間賃貸住宅の活用による高齢者向け住宅の供給促進があります。
 県営住宅における高齢者向け住宅の応募状況を見てみますと、平成22年11月の定期募集の時点で、高齢者夫婦向け住宅が、27.3倍、高齢者単身向け住宅では、112倍と、依然として超高倍率であります。
 公営住宅の供給戸数が足りないため、抽選に外れた高齢者の多くが公営住宅に比べ家賃の高い民間賃貸住宅に住んでいます。特に国民年金を主な収入源にしている方など、所得水準の低い高齢者の中には、高額の家賃負担が家計を圧迫し、生活が立ち行かなくなっている人もいます。こうした低所得の高齢者の方への対策は、喫緊の課題であると考えます。
 本来、公営住宅の供給促進が基本と考えますが、この問題を公営住宅だけで打開するのは、難しいと理解しています。現状では、民間賃貸住宅に依存せざるを得ないわけですが、民間賃貸住宅は、公営住宅に比べますと、相対的に家賃が高く、居住水準についても、バラつきがあります。
公営住宅については、政策的に家賃を決めて供給することができますが、民間賃貸住宅は、市場原理に基づいて流通しているので、家賃も市場で決まります。そうした仕組みの中で、行政がどのように供給に関われるのでしょうか。
 もちろん、民間賃貸住宅の供給にあたっては、住居ならば何でも良いというわけではなく、公営住宅に準じた低廉な家賃と、居室面積など一定の居住水準を満たした住居の供給が必要であると考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
公営住宅と比べ家賃が高額となる民間賃貸住宅を、一定の居住水準を保ちながら、所得の低い高齢者世帯に供給する場合、どのような政策をもって家賃を抑制していくのか、知事のお考えをお聞かせください。
 以上で私の第一回目の質問を終了いたします。ご清聴まことにありがとうございました。