2.がん対策について
(2)治療初期段階からの緩和ケアについて。

<質疑>
 「がん患者の療養生活の質の向上」の主眼は、緩和ケアをこれまでのように終末期に入って開始するのではなく、治療と並行して初期段階から受けられる仕組みをつくることにある。
 既に県立がんセンターでは、終末期医療を担う緩和ケア病棟以外にも、「緩和ケアチーム」が一般病棟で活動し、外来診療に精神科や緩和医療科を設け緩和ケアの充実が図られているが、同様の仕組みを全県下に展開するのは容易ではない。
 県の「10か年戦略」には、終末期を支援していくターミナルケアの位置付けはあるものの、治療の初期段階からの緩和ケアについての記述はない。




 そこで、知事にお伺いいたします。

 県として、終末期だけでなく、治療の初期段階からの緩和ケアにどのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

<答弁> 松沢知事
 治療の初期段階からの緩和ケアについてのお尋ねをいただきました。
 「がんへの挑戦・10か年戦略」では、「県民1人ひとりに適した取組み」を基本方針の1つとして掲げており、がん患者の苦痛をやわらげる緩和ケアは、個人の意思が尊重された医療の選択を進めるうえで、重要であると認識しております。
 こうした観点から、緩和ケアにつきましては、ターミナルケアを中心に取組みを進めており、緩和ケア病棟の整備やターミナルケア人材育成事業に対して支援をしてきたところであります。
 また、平成18年度から、がん患者が住み慣れた地域で療養するために、在宅医療を行うかかりつけ医、訪問看護ステーション、病院などが円滑に連携できる仕組みづくりに向け、ターミナルケアのネットワークづくりのためのモデル事業を実施しております。
 国の「がん対策推進基本計画」においては、治療の初期段階からの緩和ケアの必要性が示されておりますが、一方で、初期段階から緩和ケアについては患者に対する精神的な支援から医療用麻薬を用いた痛みに対する緩和など、どこからを初期段階の緩和ケアとして考えるのか、様々な議論がございます。
 こうした中で現在、がん診療連携拠点病院において、県立がんセンターと同様に医師、看護師、医療心理に携わる者を含む緩和ケアチームが設置されましたので、拠点病院とも連携し、患者の療養生活の質の向上を図るためには、どのような初期段階の緩和ケアの姿が望ましいのか、今後、検討をしてまいります。