今年の6月に、道路交通法の改正に伴う新たな放置違法駐車対策の制度が発足して以来、いわゆる福祉車両の一時駐車について、より一層の配慮を求める声が私のもとに数多く届いております。高齢者や障害者の介護や送迎を支えているのは、介護保険の在宅サービスを行う社会福祉法人の福祉車両や、NPOなどの非営利法人の福祉有償運送車両であります。運送活動時には、運転者が、自身の運転する車両から離れて、要介助者の介助を行う場面を伴うことがほとんどであり、駐車スペースの足らない繁華街の施設では、路上駐車の必要が生じる場合が少なくありません。このような実情にかんがみ、神奈川県警察本部では、社会福祉法人やNPOなど、福祉関係の法人が所有する車両や介護タクシーについて、取り締まりの対象から除外していると承知しております。
しかしながら、介護が必要な障害者や高齢者を運送する場面では、法人所有の車両ではなく、その法人で働くスタッフ個人の所有する自家用車が使用されることが多く、実態として個人所有の車両の除外も必要となっている状況ですが、依然として、除外の対象とはされておりません。このため、例えば、訪問介護や移動サービスを行っている方々が、車両の進入できない路地の奥に住む利用者の介護や送迎を行っている間に、車両が取り締まりを受けるような事態が数多く生じているとのことで、わずかな報酬で活動に従事している有償ボランティアの中には、活動を敬遠する動きも出てきており、深刻な事態になっていると聞いております。
従来は、ボランティア団体などが自家用車を運行して料金を徴収することは、いわゆる白タク行為に該当するものとして、道路運送法違反とされてきました。しかし、バスや鉄道、タクシーなどの公共交通機関では移動が困難な方を運ぶ手段として、福祉有償運送が注目されることとなり、平成16年3月に規制緩和された結果、一定の条件のもとで認められることとなったのであります。
また、訪問介護や輸送など福祉の現場において、個人ボランティアの存在はますます重要度を増しており、これからの地域福祉の担い手として必要不可欠な存在となっています。こうした背景を勘案すれば、福祉有償運送車両は、法人・個人所有の別を問わず、取り締まりの除外対象とすべきと思われます。また、地域で保健福祉活動を進めている団体である歯科医師会からも、歯科衛生士が訪問指導等を行う際に、駐車禁止の対象からの除外を認めてほしいとの声が上がっております。
そこで、警察本部長に伺います。
個人所有の福祉有償運送車両については、目的外使用など不正が行われないよう一定の基準を設けた上で、取り締まりの対象外とすべきと考えますが、ご所見をお伺いします。また、歯科衛生士等が要介護者に行う療養上の健康管理指導や保健指導サービスについても、同じく一定の基準を設けた上で除外対象とすべきと考えますが、あわせてご所見を伺います。
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