ヘルスケア・ニューフロンティア政策の効果について


<質問要旨>

 県がこれまでに取り組んできたヘルスケア・ニューフロンティア政策は、事業の過程において今回の新型コロナ禍への対策に役立つ多くの知見や技術が蓄積されているのではないかと考える。
 また、こうした分野にこそ、デジタルトランスフォーメーション(DX)が有効である。
 さらに、外出の自粛などから、ロコモティブシンドロームの進行を心配する声も上がっている。そうした健康不安に対し、これまで県が未病ブランドに認定した商品・サービスや、整備を進めてきた拠点を活用すべきと考える。

 そこで、
(1)県では、県民のいのちを守るという観点から、ヘルスケア・ニューフロンティア政策を進めてきたが、これまでの取組が今回の新型コロナウイルス感染症対策に、どのように生かされてきたのか。
(2)今後どのように役立たせていくのか、見解を伺いたい。

<答弁> 黒岩知事

 県では、今回の新型コロナウイルス感染症対策にも、ヘルスケア・ニューフロンティア政策のこれまでの取組を活かしています。
 まず、特区制度の下、革新的医薬品の開発等を促進する中で、国際展開を支援してきた抗インフルエンザ薬「アビガン」について、人道的使用や治験の早期開始を国に要望したところ、観察研究や臨床試験が始まりました。
 また、本県が理化学研究所と共同開発した、スマートアンプ法による迅速検出法は、ウイルスの検出時間の大幅な短縮を実現したものです。
 現在、さらなる改良を加え、検査時間を一層短縮でき、持ち運び可能なアタッシュケース型の機器の実証試験を開始しており、今後、医療機関や福祉施設等の現場で活用していきたいと考えています。
 さらに、一昨年の9月にLINE株式会社と結んだ包括協定に基づき、ME-BYO onlineを開設し、LINEの活用に先鞭をつけたことが、今回、県とLINEが「新型コロナ対策パーソナルサポート」を構築し、全国展開することにつながりました。 
 今後、「新型コロナ対策パーソナルサポート」の一層の普及を図ることによって、個人がデータを活用して主体的に感染リスクを避けるための行動を促していきたいと考えています。
 また、未病などヘルスケア分野で活躍できる人材がますます重要になりますので、ヘルスイノベーションスクールにおいて、感染症対策を含む公衆衛生における高度専門人材の育成とともに、学術的な研究を進めていきます。
 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた、外出自粛などにより、心身の不調を訴える人が増えることも懸念されています。
 今年3月に、マイME-BYOカルテに実装した未病指標は、声から心の状態を知ることができる、ME-BYO BRAND第1号の「ミモシス」の技術も搭載しており、未病センターなども通じて普及を図り、県民の皆様の心身の健康管理に活用していただきます。
 このように、ヘルスケア・ニューフロンティアの先進的な取組は、感染症対策にも成果を上げてきたところであります。
 今後も、これまでに得た知見やアカデミア等との協力関係を、感染症対策に役立ててまいります。


<再質問>
 LINEを活用したパーソナルサポートを行うことにより、かなりの情報が県に入ってくると思うが、何が分かりどのように活用しているのか。


<再質問に対する知事答弁>
 LINEを活用した新型コロナ対策パーソナルサポートでは、年齢や体調、発熱の有無などを入力いただくことで、一人ひとりの状況に合わせた適切なサポートをフォローしながら行っています。
  入力されたデータを、分析することで発熱傾向を把握できることから、県は、再警戒のモニタリング指標として活用していきます。
  3月の連休時に人の外出が増えた後、発熱傾向が高くなったといったことが、パーソナルサポートで分かりました。
  それから1週間後に、実際の感染者数が増えたといったことがあり、パーソナルサポートのデータをしっかり見ることにより、先行的な指標として活用できることを確認できました。
  今後も引き続き、地域ごとの状況などを分析することで、様々な活用方法が拡がっていくと考えています。


<要望>
 今後ヘルスケア・ニューフロンティアの政策によって県民の健康増進を図っていくためには、ICTとデータを駆使していくことが必要だと感じている。ぜひヘルスケア・ニューフロンティアの部門においても、DXの実現を念頭に置いて諸施策を遂行していっていただきたい。