1.貧困問題への対応について
(2)女性の貧困問題について


<質問要旨>

 これまでも女性の就業支援や職業訓練、貧困に対する生活保護をはじめとした支援策が講じられてきた。しかし、女性の貧困は可視化されにくい上に、貧困は自己責任という呪縛から、自ら声をあげられずにいる女性も多いため、制度はあっても当事者に届かず、貧困が一層深刻化する問題が指摘されてきた。今後、真の意味での男女共同参画社会を実現するためには、女性の貧困の実態を正しく認識したうえで、女性の就業環境の整備や、生活困窮者への支援を行うほか、この問題の根底にある固定的性別役割分担意識を解消していくなど、中長期的な視点での対策も必要である。

 そこで、女性が貧困に至る経過は様々であるが、この問題についてどのような認識を持ち、これまで生活支援や就業支援など、どのような支援に取り組んできたのか伺いたい。

 また、男女共同参画の視点から、今後どのように取り組んでいくのか併せて伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 女性の貧困率は、国の調査によると、母子世帯で全体の約5割、高齢単身世帯では4割を超す状況にあることが明らかにされています。
 これは、男女の賃金格差に加え、女性は非正規雇用で働く方が多く、収入や年金水準が低いことが大きな要因であると考えられ、こうした課題に対して、しっかりとした対応が必要であると認識しています。
 そこで、県や各市では、生活困窮者への支援として、相談支援員や就労支援員を配置しているほか、県では相談窓口の周知や相談員の資質の向上など、生活困窮者のワンストップ支援の充実を図っています。
 また、女性の就業支援として、国のマザーズハローワークと連携した「キャリアカウンセリング」や「キャリア形成セミナー」などを実施するとともに、平成29年4月から、総合職業技術校のすべての訓練コースにおいて「ひとり親家庭優先枠」を設定する、新たな取組みにも着手しています。
 こうした取組みのほか、女性が就業を中断することなく、安心して働き続けられる職場環境の整備や意識改革に向けて、「かながわ女性の活躍応援団」を結成し、社会的ムーブメントの拡大に努めています。
 また、これから社会に出る若者に対し、きちんとした将来設計を立ててもらうよう「ライフキャリア教育」を通じた意識啓発も進めてまいります。
 女性が安心して暮らせる社会の実現のためには、今後とも、男女共同参画の視点に立ち、社会環境の整備や意識改革を進めていく必要があります。
 そこで、来年度改定予定の「かながわ男女共同参画推進プラン」では、困難を抱える女性に対する支援を新たな重点課題の一つに位置づけ、全庁一体となって施策を進めてまいります。


<再質問>
 女性の貧困について、男女共同参画推進プランの中に位置づけるという答弁を頂戴したが、重要なのは、これからどんな施策を講じていくかということだ。生活困窮者対策の現場というのは、保健福祉局の生活援護課などが担うことになるが、そうした一つ一つの政策の精度をしっかり上げていかなければ、ニーズにマッチしないのではないかとも思っている。そのためにはデータの裏づけが必要になってくると思う。
 神奈川保健福祉大学の岩永理恵さんという先生が書かれた「女性の貧困問題と地方自治体のとるべき施策」という研究調査報告書を読ませていただいたが、そこにも女性の貧困問題について、「その実態を明らかにするためには、施策検討の前提として、男性、女性、その他の性別データを整備することが大変重要だ」というふうに述べられている。県の業務を各部局で遂行していく中で、様々なデータを集積していると思うが、今後は、必要に応じて性別のデータ、いわゆるジェンダー統計と言っているようだが、それを取っていくべきだと考えるが、知事の所見を伺いたい。


<再答弁> 黒岩知事
 今、ジェンダー統計という話がありましたが、これは生活のあらゆる分野における、女性と男性の差異や不平等を適切に反映する統計のことです。こういった男女共同参画の推進に向けた施策を進めるうえでは、男女の違いから生じている差異や、不平等の実態をしっかりと正確に把握していくことは、極めて重要であります。
 そこで、来年度改定予定の「男女共同参画推進プラン」には、そのジェンダー統計の必要性もしっかりと明記し、女性と男性、それぞれが置かれている状況の客観的な把握に努めてまいりたいと考えています。




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