■平成24年第1回定例会 賛成討論に立ちました。(平成24年3月23日)

 <賛成討論>
 3月23日、平成24年度予算などを議決し、平成24年度第1回定例会を閉会いたしました。
 議決にあたり、公明党県議団を代表して、議案に賛成の立場で討論を行いました。

 私は、公明党神奈川県議会議員団を代表し、定県第1号議案 平成24年度神奈川県一般会計予算およびその他の新年度関係議案について、所管常任委員会の審査結果に賛成の立場で討論を行います。あわせて、県政の諸課題についても意見と要望を申し述べます。

 今、わが国では息の長いデフレが続き、地方財政も逼迫しています。黒岩知事にとって初めてとなる本格的な予算編成は、当初、約900億円という巨額の財源不足が見込まれる中でのスタートとなりました。
 その後、財政当局をはじめ、全庁が一丸となり財源確保に取り組むことで、なんとか収支均衡を保つことができた予算であると承知しております。
 そのような中、県民一人ひとりのいのちが輝き、人やモノを引き付ける魅力を持った神奈川県をめざし、高齢者標準社会の構築など「いのちが輝き誰もが自分らしく暮らせる社会づくり」や「神奈川のポテンシャルを生かした活力創出」のための政策に、重点的に予算措置をされたことについては、一定の評価をいたします。
 しかしながら、「中期財政見通し」によると本県は、平成26年度までの3年間で、1,650億円という巨額の財源不足が見込まれる財政状況にあります。このような危機的状況に対し、知事は、新たに設置する「緊急財政対策本部」において、法令や制度など行政の在り方そのものに踏み込んだ抜本的な見直しを行うとしています。しかし、義務的経費の比率が異常に高い中での歳出削減には限界があります。本県には、本定例会の代表質問でわが会派が言及したクラウドファンディングをはじめ、民間資金の積極的な活用によって、経済のエンジンを回し、税収増を図っていくなど、歳出削減だけではない、新しい自治体経営への挑戦が、求められています。

 さて、それでは、具体の施策・事業について意見と要望を述べてまいりたいと思います。

 防災関係について

 大地震発災時に、大きな火災が発生しないよう、平時から備えておくことが重要です。現在、耐火対策は県土整備局、防火対策は安全防災局の所管となっておりますが、耐火対策と防火対策は、密接に関連し合っており、分離することが難しいケースも多くあります。是非とも部局横断的な取り組みをお願いいたします。

 治安対策について

 昨年4月1日に「神奈川県暴力団排除条例」が施行され、まもなく1年を迎えます。本県では、これまで同条例に基づき、勧告7件、中止命令2件を発出していますが、今後とも、あらゆる機会を通じて条例の周知に努めるとともに、暴力団排除活動に取り組んだ関係者に対する保護についても徹底していただくことを要望します。

 エネルギーおよび環境政策について

 LED照明化の推進は、簡易で即効性がある節電対策であります。さらに、リース方式で導入すれば、初期費用の抑制やコストの平準化を図ることができます。したがって、平成24年度予算で、警察本部の庁舎にリース方式でLED照明を導入するとしたことは、高く評価いたします。今後は、電気料金の値上げやLEDの価格の低下も想定されますので、県有施設へのLED照明の導入については、積極的に推進していただくよう要望します。

 住宅用太陽光発電の導入補助は「かながわスマートエネルギー構想」の中心的な取組みであります。民間においては現在、新たな技術が次々と開発されており、有機薄膜太陽電池の変換効率が10%超えを達成したという研究も発表されています。技術革新に県の支援策が柔軟かつ迅速に対応できるよう、規格や製品の進化に備えておくべきであると考えます。また、ソーラーセンターの利用件数を増やすために相談窓口のフリーダイヤル化を図るとともに、相談員が出張相談を行うなど、県民に対し積極的にPRしていただくよう要望します。

 水源環境の保全・再生施策については、県外対策を盛り込んだ第2期の実行5か年計画がまもなくスタートします。第2期計画では、第1期の成果と課題を踏まえて、県内対策の充実を図っているとのことですが、一方で県外対策につきましては、神奈川県民の貴重な税金を県外に投じる以上、県民に対し、成果を明確に説明できなければなりません。山梨県としっかりと連携して事業に取組み、目に見える形で成果を示していただくよう要望します。

 保健・福祉・医療の分野について

 このたびの児童自立支援拠点整備については、ひばりが丘学園と中里学園の機能を統合・強化することとしており、大いに期待するところであります。同拠点は県所管域の子どもを対象としていることから、現在、入所中の政令市の子どもは、家庭や他施設へ移ることとなりますが、その際は、くれぐれも懇切丁寧な対応をお願いいたします。
 さらには、地元の理解と協力なくして拠点建設は進められないことから、説明会や意見の聴取をきめ細かく行う必要があります。地元から要望のあったグラウンド利用などに配慮するとともに、同拠点と地元地域との交流企画などもご検討いただきたいと思います。

 在宅重度障害者等手当の見直しに伴う障害者生活支援施策の充実については、これまで、わが会派が一貫して県当局に求めてきたものであり、来年度予算案において、特別支援学校のスクールバスの増車や、重度障害者医療費助成制度の精神障害者への適用拡大が盛り込まれたことは、一定の評価をするところでありますが、更なる拡大も必要と考えます。
 特に、重度障害者医療費助成制度の精神障害者への適用拡大については、この取り組みを全県に拡大していくことが重要であります。事業主体である市町村と十分調整を図りながら、できるだけ早期に、全県展開が実現するよう努力して頂きたいと思います。また、その対象者や対象となる事業についても併せて、更なる拡大が必要であると要望しておきます。

 この分野の最後は、ロボットの活用についてです。平成24年度は介護事業者向けにロボットの紹介や、事例発表などを行う予定になっています。それら介護・福祉ロボットの普及に向けて、民間企業、団体と連携し設置される「介護福祉ロボット普及推進センター」について、県内企業に積極的な参加を促していただくよう要望します。また、リハビリテーション医療の分野においても、ロボット工学の活用は大変有益です。昨年末、認定を受けた京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区では、すでに再生医療による脊髄損傷治療の治験に向けた研究が進められており、こうした分野との連携を含め、神奈川リハビリテーションセンターがロボット工学を活用したリハビリ医療に前向きに取り組み、本県のリハビリテーションの拠点施設として、機能を発揮されるよう強く願っております。

 公共交通の充実・確保等を図る施策について

 本格的な高齢社会を迎える中で、日常生活を支える移動手段の確保は、これまでにも増して重要になってきております。地域公共交通の確保に向け、県が市町村と交通事業者との連携・調整を支援したり、NPOや地域住民による乗合自動車の運行が自主事業として成立するよう、その担い手を育成したりすることなどが求められています。そうした意味からも、平成19年度から始まった地域公共交通創出モデル事業は、本年度をもって期間が満了となりますが、引き続き同様の取組みが続くよう県として努力すべきと考えます。

 住宅政策について2点

 1点目は、県営住宅の駐車場整備についてです。県営住宅団地の建替えに対しては、地元市の駐車場付置義務条例等で、住宅戸数に対し一定割合の設置が義務付けられています。若い世代が多く入居する分譲マンション等には有効かもしれませんが、高齢化が著しい県営住宅でそのような駐車場整備を続けていけば、空き駐車場がますます増えていくことは明らかです。県として、各市に対し実情を伝えるとともに、条例等の運用を再考するよう働きかけていただきたいと思います。

 次に、県では平成24年度、居住コミュニテイの創出・再生をめざして、「多世代近居の街づくり」を進めるとしております。その成否は、偏に若い世代をいかにして呼び込むかに懸かっております。県は横浜の洋光台地区等においてモデル事業を実施するにあたり、都市再生機構(UR)と包括連携協定を締結したとのことですので、ぜひ、URの成功事例なども参考にしながら、ソーシャルミックスの神奈川モデルを構築していただきたいと思います。

 教育問題について2点

 初めに、高等学校奨学金に関して申し上げます。
 平成21年度から実施されている予約奨学金制度については、現行では2月に貸付を認める通知が県から発行され、5月に貸し付けが実行されています。しかし、多くの場合、入学金等の納付は3月から4月であり、タイムラグが生じてしまっています。この解決のために、貸し付け期日の繰り上げを図るか、2月発行の県からの通知を活用するなどして、入学金の納付を猶予する等のルールを早急につくるべきと考えます。

 次に、教員の不祥事について申し上げます。
 私たちは、ごく一部の教員の不祥事により、多くの教員の努力を無駄にしてはいけないと考えております。不祥事の芽を摘むためにも、内部通報制度について、改めて教職員に周知するとともに、より通報しやすい仕組みにするなど、更なる活用への工夫を図るべきであります。また、不祥事の内容や背景をよく吟味した上で、研修資料等を作成するなど、効果的な不祥事防止対策に取り組むよう、強く求めたいと思います。

 津波がれきについて

 最後に、津波がれきについて、ひとこと申し上げます。あの3.11から1年を迎える頃を境に、世論の潮目も変わってきていることを実感しています。しかし、県としては、そのことに安堵するのではなく、一人でも多くの県民から理解と共感を得られるよう、あらゆる科学的知見を総動員して、安全性を検証し続けることを、強く要望いたします。


 以上、意見と要望を申し上げ、公明党神奈川県議会議員団として、本議会に上程されたすべての議案に賛成し、討論といたします。


 今回の討論は12分という時間の中に収める必要があったため、
 いくつかの意見・要望を割愛せざるを得ませんでした。
 削除部分をホームページに掲載いたします。

 防災関係

 本県が大規模に被災した場合に、円滑に応援を受け入れるための体制を、前もって整備する必要があることは、今回改正される地域防災計画の中にも記載したとのことです。今後、受援計画を作成する上で、県と県内市町村との間で締結する相互応援協定の仕組みを取り入れるとともに、民間の力も含め、支援を円滑に受け入れることにより、迅速な応急救助が図られるよう、体制を整備してください。

 福祉関係

 本県の保育所待機児童はその8割以上をゼロ歳児・1歳児を中心とする低年齢児が占めております。その中で、保育所のゼロ・1歳児の部屋の面積基準に関し国が示した新たな解釈通知は、待機児童対策に逆行するものであり、県は政令市・中核市とともに、国に対し実態を訴え、強く改善を求めるべきであります。また、平成24年度も引き続き安心こども基金を活用して認可保育所の新増設が進められる予定となっていますが、多様な保育施策という観点から、優良な認可外保育園への支援体制を強化するとともに、「保育ママ」と呼ばれる家庭的保育者の活用を図るために、例えば「保育ママバンク」のような機関を県で創設するなど、市町村を超えて事業のコーディネートに乗り出すべきと考えます。

 医療・保健関係

 医療のグランドデザイン策定プロジェクトチームの最終報告書に神奈川版ACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)の検討が提言されました。わが会派は、第3回定例会の厚生常任委員会で、その創設を提案したところであり、本提言を歓迎するものであります。また、予防接種の勧奨には、ワクチンの確保が必須ですが、ワクチン開発は経営リスクが大きいという側面があります。ワクチンの開発や製造を活発化させるためにも、国際戦略総合特区という特性を生かし、本県らしい、全国初のACIPが設置されることを要望します。

 ストレスや精神的な疾病などを原因として、ひきこもりがちな人たちを対象とした「こころといのちを守る訪問支援(アウトリーチ)事業」は、非常に重要な事業であり、平成24年度のみならず、25年度以降も継続的な取り組みが必要であると考えます。また、この事業の財源は国が全額負担することになっていることから、今後は、県独自の事業展開も図るよう要望します。

 建設関係

 的確な公営住宅の整備管理について意見を申し上げます。
 住宅団地のライフサイクルコストを低減しつつ、長寿命化を図るためには、中長期の修繕計画を立て、それに基づいて建物を傷みから守っていくことが不可欠と考えます。入居者が安心して快適に暮らせる住環境をつくるとともに、県の財産である住宅団地の資産価値の保全を図っていただくよう要望いたします。


 交通、建設関係の項目については、一部、3月16日付の建設常任委員会意見発表と重複しています。