1.税財政問題について
(2)道路特定財源の一般財源化と税源移譲について。

<質疑>
 政府・与党は、道路特定財源を2009年度から一般財源化する方針を決定いたしましたが、これについても地方の立場から考えてみたいと思います。
 道路特定財源のうち、揮発油税等租税特別措置法により徴収されている税については、いったん国が徴収し、道路事業のための国庫支出金として地方に配られています。そこで私が心配するのは、それが一般財源化すると、必ずしも国庫支出金として地方に渡す必然性がなくなる、ということなのです。国も財政難です。膨張する医療費、年金等、お金がいくらあっても足りない状況は、地方とまったく同じです。5月22日の朝日新聞では、地方分権改革推進委員会委員でもある露木順一開成町長が「一般財源化が決まったとたんに、省庁間で財源のぶんどり合戦の様相を見せている」と語っています。
 一般財源化は結構なのですが、これまでの地方財源分と同規模の額が地方に回ってくるかどうかが問題です。その額が減れば、その分、地方の歳入は減り、どこかで施策事業を縮小せざるをえなくなる。そこを強く懸念しているのであります。
 知事は道路財源について“各政党が道路整備における具体的な案をマニフェストに掲げ総選挙を行い、国民の信任を得た政策を計画的に実行すべし”とおっしゃっていますが、選挙の争点は道路だけではありませんし、選挙を待っていると手遅れになるかもしれません。地方の立場を代表し、知事自らが積極的に声を上げていかれることを願っています。
 また、今回の道路特定財源をめぐる混乱で、国の動向に大きく左右されてしまう地方財政の問題が明らかになりました。財源の配分を国のさじ加減に任せたままにしておくと、また、今回のような問題が起きないとも限りません。
 政府の地方分権改革推進委員会が5月28日にまとめた第一次勧告でも、道路特定財源の一般財源化にあたり、税源移譲を含めて地方自治体の税財源を充実強化する方策を講じる、とされています。地方分権推進のために、国庫支出金という形ではなく、より住民に近いところで仕事をしている自治体の財源へと税源移譲を進めるよう、国に働きかけていくべきであると思うのです。



 そこで知事に伺います。

 道路特定財源の一般財源化や、それにともなう地方への税源移譲をどのように考えているのでしょうか。また、財源の獲得や税源移譲について、地方から積極的にアクションを起こしていくべきではないかと考えますが、知事の所見をお聞かせください。。

<答弁> 松沢知事
 道路特定財源の一般財源化と地方への税源移譲についてのお尋ねがございました。
 議員お話しのとおり、道路特定財源は今年の税制抜本改革時に廃止し、来年度から一般財源化することが閣議決定されましたが、地方が主体的に使途を選択できる一般財源化は、地方分権改革を推進する上からも望ましい方向と考えています。しかしながら、地方の道路事業の現状は、交付金や補助金を含めても、道路特定財源だけでは必要な事業を実施することができず、地方債の発行や一般財源を投入している状況にございます。したがいまして、一般財源化に当たりましては、地方の道路整備に必要な財源が確保できるよう、国に対して地方への税源移譲を求めていく必要がございます。
 なお、道路行政やその財源のあり方は自動車ユーザーの受益と負担の関係や国と地方の道路整備における役割とその財源のあり方など、国論を二分するような大きな政策課題であります。そのため、各政党は私ども地方の主張も踏まえ、道路に関する政策をマニフェストで明らかにして、国民の信任を得た上で計画的に実行することが民主政治のあるべき姿と考えています。
 次に、地方分権の観点から、税源移譲を進めるよう国に対し積極的なアクションを起こすべきではないかとのお尋ねについてであります。
 道路特定財源の一般財源化に伴う地方への税源移譲につきましては、本県はもちろん、地方全体にとって何としても実現すべき大変重要な課題であります。そのため、私自身、これまでもさまざまな機会をとらえ、一般財源化に当たっては、地方税財源を拡充する必要があると主張しておりまして、5月に開催された関東地方知事会議ではこうした私の主張に賛同いただき、会議の議決事項として国に対し要望をしたところであります。
 来月7月には本県で全国知事会議が開催されますので、この場でも活発に議論が行われ、都道府県としての意見が集約されるよう、私も力を尽くしてまいります。今年は税制の抜本改革が検討されておりますので、地方が道路事業を主体的に実施するための税財源の拡充について、地方六団体などと連携しながら、国に対しさらに積極的に働きかけてまいります。