■平成20年度2月定例会 県民企業常任委員会(平成20年2月29日)
<質疑一覧>
 青少年保護育成条例の改正による団体表示図書類制度の創設について
 文字・活字文化振興法の取組について
 かながわ国際施策推進指針の改定について


 青少年保護育成条例の改正による団体表示図書類制度の創設について
<質疑>
 この2月定例会に、いわゆる粗暴性、残虐性を有する家庭用ゲームソフトから青少年を守るという目的で新たな取組がなされることになりました。この定例会には、青少年保護育成条例の改正による団体表示図書類制度の創設について提案がなされているところであります。
 この団体表示図書類制度については、昨年の秋以降、当局から条例改正の骨子案並びに改正素案の報告がなされて、そしてこの委員会でも議論を重ねてきたところです。本定例会で提案がなされた条例改正の趣旨は、業界が実施している自主規制について、条例上、団体表示図書類制度として位置付ける、そして努力義務を課すという制度であると理解をしています。
 この団体表示図書類制度というのは、家庭用ゲームソフトに関して、CEROという団体が、A、B、C、D、Zと五つの区分をして、その中で、Zという18歳以上のみを対象としたソフトを想定していると理解をしています。
 ただ、私たち一般県民の意識からいっても、卑わいというか、わいせつなゲームソフトというのは比較的分かりやすく、例えば親が子供のやっているところを見付けても、すぐに注意を与えたり、やめさせたりするということが想像できますが、意外と暴力に対しての危機感や、モラルというものは、わいせつと比べてまだまだ意識が深まっていないと思います。
 ゲームというのは、現実社会でできないことを疑似体験でき、スリルやそのような感覚が不可欠だと思います。バーチャルな高揚感などは大変制限することが難しいものでもありますので、要は、この条例改正の趣旨をどうやって徹底させるのか、また、実効性をどう確保していくのかということが大きな課題になっていくと思います。それで今回示された改正条例案については今私が申し上げた点を中心として、施行に向けての確認という面も含めて数点お伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、これは当然のことながら、この改正条例が施行されるということは、粗暴性、残虐性を有するという理由で、現実に市販されている家庭用ゲームソフトに対して行政が新たな規制をかけるということになります。11月の常任委員会で、私はこの問題について質疑をさせていただいたときも、表現の自由というものに対して最大限配慮しながら、条例改正に向けて制度設計をしていただきたいと申し上げました。表現の自由、また商業活動、営業の自由といった憲法上の問題や、他の法令との関係についてどのように整理されているのでしょうか、そこからまず聞いていきたいと思います。

<答弁> 青少年課長
 家庭用ゲームソフトの団体表示図書類と行政が規制を行うことについてですが、まず表現の自由と営業の自由との関係を申し上げたいと思います。
 まず表現の自由ですが、青少年の保護上の規制についても、表現の受け手が狭まるという意味合いで一定の制限をするということになります。ただ、表現の自由は憲法上、大変重要な項目ですが、無制限の自由ではないので、青少年の保護の目的のためにはやむを得ないとされております。
 最高裁の判例を申し上げますと、「青少年保護の目的での規制は、表現の受け手が青少年である場合に、その知る自由を制約するものであっても、通常の場合と同じ基準が適用されると考える必要がない」、このように判例が出ており、青少年保護を目的とする有害図書類等の規制はやむを得ない制限として憲法に触れないとされています。
 一方、営業の自由の制約につきましても、表現の自由により基本的な定義ではありますが、営業の自由と同様に青少年の保護の規制はやむを得ない制限とされておりまして、憲法に触れないという裁判例もあります。
 このようなことから、団体表示図書類の規制につきましては、有害図書類等の規制と同様に、青少年の保護を目的としていますので、表現の自由、営業の自由の点については、やむを得ない制限として憲法に触れないという一定の整理をしています。
 また、業界を法的に縛るとどのような影響が生じるかについての検討をいたしました。この点につきましては、団体表示図書類制度は、業界の自主規制に対し、条例の努力義務を課すというもので、法的な権利、義務を発生させるものではありません。このため他の法令に関しても、特段の問題は生じないと整理をさせていただいております。




<質疑>
 次に、この条例に基づいて、実際にCEROという団体を指定して、そのCEROが18歳以上のみと対象としているZ区分というものを団体表示図書類とする手順を踏むわけですが、今後どのような手続が行われることになるのか、それを確認させてください。

<答弁> 青少年課長
 今後の手続ですが、この改正条例案を今定例会で可決をいただいた場合は、公布後に条例において規則にゆだねられる部分がありますので、すなわち、団体指定の基準ということと区分陳列の方法について、青少年保護育成条例施行規則を改正して定めるということになります。
 この規則の改正の手続ですが、まず規則改正骨子案を作成し、その骨子案についてパブリックコメントを実施して、県民の皆様から御意見をいただきます。それから、その結果を踏まえて、規則改正の素案を作成し、その素案に基づいて、神奈川県児童福祉審議会の御意見をお聞きした後に規則を改正する手続を進めていきたいと考えております。
 規則改正後は規則に基づき、CEROを指定するということになるわけですが、それについては、児童福祉委員会に諮問をいたします。そして、指定について妥当という答申をいただきましたら、CEROを審査団体として指定することとし、それから、CEROのZ区分の表示について告示をいたします。これによりまして、Z区分のゲームソフトは団体表示図書類ということになります。
 改正条例につきましては、可決いただいた場合には平成20年12月1日の施行を予定しておりますけれども、それまでの間に広く情報提供をしていく考えです。




<質疑>
 今、御答弁いただいたCEROという団体が、指定団体として想定されているわけですけれども、この改正条例案ではCEROに限らず、審査団体等が18歳以上のみを対象と判断をすれば、自動的に県の条例上、団体表示図書類として努力義務は課せられるわけですけれども、これから知事が指定しようとする団体の信頼性というのは大変重要になると思います。
 これは、私も11月の常任委員会でいろいろとお尋ねをさせていただき、この改正条例案では、団体を指定する際の基準は規則で定めるということでしたが、どのような基準を考えているのか、それを伺いたいと思います。
 なぜかと言いますと、先ほどの御答弁の中で、今回、表現の自由に一定の制限をかけるというのは、最高裁の判例にも出ているようにやむを得ないという考え方でとのことでした。こういう問題を論ずるときに、タカ派とかハト派とかという分け方は当たっているかどうか分からないですが、どんな世界でも先鋭的な主張を持っている団体があって、どちらかというと、規制をもっと積極的に使っていきたいと思っている人たちも、もしかしたらいるかもしれない。き憂に終わればいいですが、そのような心配もあるので、この団体を指定する際の基準というのを、再度聞いておきたいと思います。

<答弁> 青少年課長
 団体を指定する際の基準は2点あります。
 まず第1点として、指定団体としての信頼性が必要と考えております。その内容といたしまして、一つは団体が法人格を有する場合、民法や特定非営利活動促進法の法令に基づいて設立された法人であるということです。団体が法人格を持っていない場合は団体としての組織、規律、役員構成等が整備されて、かつそれらが公開可能という基準を考えています。
 それから、2点目として、その団体の審査にかかわる信頼性の基準も必要と考えております。その内容としましては、審査に係る権利規定や審査手続等の制度が整備されて、かつ公開可能といったようなこと。もう一つは、そうした団体が関係する実質的な取組についても公開されていること。こうしたことを考えております。
 ゲームソフトに関してはCEROを指定することを想定しておりますけれども、指定の際には、このような基準に照らして、児童福祉審議会に諮問して答申をいただいた上で指定するということになります。




<質疑>
 一つは、団体として様々な体裁が整っているかどうかということ。もう一つは、審査についての基準がしっかりと定められているかということ。その2点と理解いたしましたが、この規制の問題について、抽象的な言い方になりますが、規制というものに対する考え方をどのように持っているのかということを理解するために、例えば、過去のレーティングの実績等も気になるところです。その辺りの点についてもしっかりと調べる手はずは整っていますか。

<答弁> 青少年課長
 当然、レーティング等の実績を調査いたしまして、規則の基準に照らして適当ということになれば、事務局として諮問いたします。




<質疑>
 実際に、青少年が手にとる場所というのは、先ほども言ったように販売店であると思いますが、販売店での陳列場所や陳列方法というのは、大変重要になると思います。この改正条例案では「条例や規則で定めるところにより、他の図書類と区分して陳列するよう努めなければならない」となっていますけれども、具体的にはどういう陳列方法を定めようとしているのか教えてください。

<答弁> 青少年課長
 陳列場所などの陳列の方法ですが、現行の条例や規則に有害図書類の制度があり、そこに陳列方法について規定があります。
 その内容を申し上げますと、間仕切り等によって仕切られた場所に陳列する、ビニール包装などにより容易に閲覧できないような形で、かつ他の図書類と棚から60センチメートル以上離す、10センチメートル以上の仕切り板を設けてまとめて陳列する、カウンターの上でまとめて陳列する、こうした方法が規定されております。
 今回は新しくゲームソフトについての団体表示図書類制度を創設するということですけれども、ゲームソフトにつきましては、商品の特性上、図書類と違いまして、商品を手にとってみるだけでは中身が分からないということですので、Z区分のゲームソフトが、ほかのゲームソフトと明確に区分していればそれで足りるのではないかと考えており、そうした考えから、現在業界が区分して陳列するときの方法を自主規制として示しております。
 具体的には、今の区分方法として、床の上から150センチメートル以上の高さの位置に仕切り板を設けて、ほかのゲームソフトと区分してまとめて陳列することや、あるいは施錠されたガラスケース等に収納して区分する方法をとっておりますので、このようなことも規則で規定していくことを考えております。




<質疑>
 雑誌類と違って立ち読みしたりできませんから、最終的にはレジのところで購入させないようにするということはできると思いますが、これは扱いとしては、知事が指定する有害図書類に準ずる陳列方法ということで理解をしてよろしいですか。

<答弁> 青少年課長
 規制の内容は、当然、有害図書類の方は禁止であり、ゲームソフトの団体表示図書類は努力義務ということになりますので、その違いはあります。ただ、目的として、青少年を守るということでは同じですので、陳列方法の点で申し上げますと、有害図書類の方法でも、今、行われている業界の方法でも良いという考え方です。




<質疑>
 この改正条例案を見ますと、今いろいろ御説明いただいたように、審議会の諮問と答申を経てCEROという団体が指定されて、CEROがレーティングを行った上で、Z区分になったゲームソフトが団体表示図書類となり、その時点で何人にも、つまり販売店だけではなくて、保護者を含めた県民全体にこの努力義務が課せられるわけです。青少年に対して団体表示図書類を販売したり貸し付けたり、あるいは見せたり聞かせたりしないように努めなければならないというところまで広げてあると理解をいたします。
 販売や、レンタル等を行う店舗だけではなくて、すべての県民にこのような努力義務を広げなくてはならなかった理由といいますか、逆に、すべての県民に努力義務を課すことにした、ねらいというのはどのようなことですか。

<答弁> 青少年課長
 青少年保護についての目的ですが、第1条に「青少年の健全な育成を図るため、これを阻害するおそれのある行為を防止すること」という定めがありまして、また、第3条には県民の責任として、「すべての県民は、青少年が健全に育成されるように努め、これを阻害するおそれのあるあらゆる行為から青少年を保護しなければならない」という定めをしてあります。
 こうした趣旨から、現行の条例におきましては、有害図書類は、青少年の目に触れない環境を社会全体で築いていくという趣旨で、何人も青少年に対し、販売、貸付け、交換、贈与し、または読ませ、聞かせ、見せてはならない、こうした義務を課しているところです。
 今回新たに団体表示図書類の規定を置きますが、この新たな制度につきましても、このような趣旨から、有害図書類と同様に青少年に対し、販売したり貸し付けたり、または読ませ、聞かせ、見せてはならないという努力義務を販売店や店舗等に限定せず、保護者をはじめといたしまして、何人に対しても課すということにさせていただきました。




<質疑>
 大変対象を広くとったということで、その分、周知・啓発というのは大変なことになっていくと思いますが、それはどのように取り組んでいくお考えですか。

<答弁> 青少年課長
 ただいま委員からお話がございましたように、条例の趣旨からして、今後、団体表示図書類の取扱い等の周知・啓発が大変重要であると考えております。
 また、さきに八都県市のゲームソフトに関しての協議会を開催いたしましたが、その場におきましても、業界団体から自主規制で進めております年齢別レーティング制度がまだ広がっていないため、特に、保護者に対する意識啓発が必要だという認識が示されております。
 それで、来年度更に関係業界と協働して、広く県民の皆様に対する周知啓発事業を展開するということで、250万円の予算を計上させていただいております。その内容ですが、まず保護者に対する啓発や保護者がZ区分の意味を知らないまま、子供に買い与えたり遊ばせたりとしないことが大変重要だと考えております。そのため保護者への周知・啓発に重点を置いた取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 具体的には、こういった区分のゲームソフトは粗暴性や残虐性を有しているものであり、そのようなゲームを操作して遊ぶことが子供に悪影響を及ぼすおそれがあることをまず知っていただく必要がありますので、そのような点を分かりやすく説明した啓発用のリーフレットを作成して、学校を通じて広く保護者の方々に配布したいと考えております。このほか、PTAの研修ですとか会合の場に県や関係業界の職員が出向いて直接説明することも検討しております。
 また、県民の皆様には、県のたよりやホームページなど各種の広報媒体を活用した広報を積極的に行ってまいりたいと考えております。また、販売店等の現場というのは、やはり重要ですので、店頭に表示するためのステッカーを作成し配布いたしまして、お店はもちろん、来店者の方々に対しても周知を図ってまいりたいと考えております。
 この点については、業界の関係団体、加盟店舗、団体と共同して取り組みたいと思っております。その一方で、団体に加盟していない非加盟店は自主規制を徹底しにくいと思いますので、こちらの方は職員の立入調査と合わせて周知を図ってまいりたいと考えております。




<要望>
 今回、この団体表示図書類の制度については、第一に業界の自主規制を尊重しているということ、また先ほど答弁いただいたように、表現の自由というものに対しても目配りをした上でやっていくということ、その上で、青少年の社会環境の健全化を図っていこうということで、新たな規制の在り方としては評価をさせていただきたいと思います。
 ただ、関係業界とか販売店舗だけではなくて、大変広く努力義務を求めるということなので、先ほど申し上げたように、周知・啓発というのは大変重要な問題だと思います。家庭の理解、保護者の理解というのは大変重要だと思いますが、臭い物にただふたをするということではなかなか難しいような気もするのと同時に、教育現場や家庭の中でいろいろな事件が起きていますが、人間の中にある暴力性みたいなものを認めながら、どのようにコントロールしていくのかということを含めた啓発があって、はじめてこの条例の意義が、より深いところで理解されていくと思います。こういうゲームソフトを子供になぜ与えてはいけないのかということを理解してもらえるように、条例の実効性やその確保に向けて努力をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。




 文字・活字文化振興法の取組について
<質疑>
 さきの本会議の代表質問で、我が会派の藤井団長が文化行政推進における文字・活字文化振興について取り上げさせていただきました。確かに、最近の若い方々の活字離れというのは大変深刻だと思います。大規模で立地の良い書店は相変わらずにぎわっておりますが、小規模の書店は次々とつぶれており出版業界も大変厳しい状態です。また、電車に乗っても、新聞や雑誌や本を広げている人よりは、携帯の画面に向き合っている人のほうが多いというような印象も受けます。
 時代の流れですから、電子媒体で文字を読むということを否定するものではありませんが、文字・活字文化というものが廃れるということはどういうことかということを、教育、文化の世界の中で考えると大変不安なものを感じるわけです。書籍だけではなくて新聞、雑誌なども含めて、文字・活字に親しむきっかけづくりを行っていく必要があるのではないかと痛感しているところであります。
 教育面では、国語力というのは、すべての学力の基礎であると言われておりますし、また、国語力がすべて文字や活字で養われるとは思いませんけれども、確かに重要なファクターであると思います。文字・活字文化をいま一度振興していくために、学校教育あるいは図書館でも教育委員会所管の取組が大変重要であるということはもちろんですけれども、文化行政という観点からも、着実に取組を進めていただきたいと考えていますので、これに関して何点かお伺いしたいと思います。
 まず文字・活字文化振興法が平成17年に制定されていますが、それ以降、県では様々な文字・活字文化振興の取組を進めてこられたと承知をしております。これまでの取組、また、平成20年度の取組はどのように予定されているのか確認しておきたいと思います。

<答弁> 文化課長
 文化行政推進の観点からのこれまでの取組ですが、文字・活字文化あるいは文学の振興という観点から、神奈川近代文学館を拠点といたしまして資料の収集、それから様々な文学展の開催を実施しております。
 今、委員の方からお話がありましたように、平成17年に文字・活字文化振興法が制定されましたので、これを機に従来の取組に加えまして、平成18年度からですが、近代文学館の文字・活字文化振興事業を実施しております。
 具体的には講演会、講座あるいは朗読会などを開催、特に子供を対象といたしました読み聞かせ会や映画会の開催、県内の図書館等と連携いたしましたパネル文学展の巡回事業、それから10月27日が文字・活字文化の日とされておりますので、この記念事業として座談会を開催するほか、その日は観覧料を無料にする取組等を実施してきたところです。
 平成20年度ですが、ただいま申し上げましたような様々な取組に引き続き継続して取り組んでまいりたいと考えております。図書館と連携したパネル掲示等につきましても、従来のパネルに加えまして新しいパネルを制作することにより、より多く参加していただくように働き掛ける等の取組も含めて考えております。
 なお、今後の文字・活字文化振興事業ですが、平成18年度から19年度の2箇年間、県の委託事業として実施してまいりましたが、今年度の事務事業の評価の中で、近代文学館の本来業務として指定管理業務の中で取り組む方がより効率的・効果的にできるのではないかというような方向性が示されましたので、予算上の整理としては、平成20年度からは指定管理者への移管という形で、従来の取組を更に継続実施していくこととしております。




<質疑>
 今、御説明がありました神奈川近代文学館は大変貴重でありますし、また、すばらしい施設を神奈川県は持っているということです。せっかくですから、その機能を達成していくということが望まれるわけですが、そのためには、神奈川近代文学館の最も基本的な事業であります文学展により多くの皆さんに足を運んでもらえたらと思います。
 様々な文学展が開催されていると承知しておりますけれども、その観覧者数はこの数年どのような状況にあるのか。また過去の文学展を眺めたときに、どういったテーマであれば、お客さんを呼べるのか、その辺りのところを教えていただきたいと思います。

<答弁> 文化課長
 近代文学館の文学展の観覧者数の実績ですが、過去3年程度で申し上げますと、平成16年度は2万7,509人、平成17年度は3万3,513人、平成18年度が2万7,584人ということで、おおむね3万人前後です。
 この観覧者数で大きな割合を占めますのが、概ね年2回程度ですが、特別展を実施しております。この特別展1回で、平均的には6,000人ないし8,000人の入館者が訪れます。特に観覧者が多い例と申しますと、平成16年度の芥川龍之介展が1万2,000人を超えています。それから、平成17年度の三島由紀夫展が1万5,000人です。それから、少し前ですが、平成14年度の夏目漱石をテーマにしたときには2万人が訪れました。このような人気の作家には集客力があり、多くの方に御覧いただいているという実績があります。




<質疑>
 今の御説明ですと、やはり広く知られている作家を対象するということが、集客力につながるということは分かります。ただ、お話に出てきた作家というのは、本当に近代文学の古典というか、重量級の人たちばかりです。
 先ほど申し上げたように、最近の若い人たちの活字離れということを考えたときに、確かに近代文学館と銘打っていますので、どこまでできるのかということは分かりませんが、例えば村上春樹のような、特に、子供たちや若年層に来ていただくような文学展というものを今後企画する必要があると思いますが、そのテーマ設定についてどのような考えをお持ちなのかお聞かせください。

<答弁> 文化課長
 文学展のテーマ設定ですが、文学館は県の施設ですので、過去に優れた業績を残しながらも、なかなか光が当たらない文学者を取り上げるということも、一つの使命だと考えております。やはり多くの方々に文学館に足を運んでいただき、文学あるいは文字・活字に触れていただくことが何よりも大切なことであり、そのような観点で、いろいろなテーマを企画していくことは当然重要な課題と考えております。
 現在、指定管理者の神奈川近代文学振興会でいろいろな企画を立てていますが、私どももそのような議論に参加させていただき、先ほどお答えいたしましたような、知名度のある作家や話題性のある作家を積極的に取り上げていくということが重要と申し上げています。
 先ほど、委員から、近代や現代の作家もテーマとできないかというお話もありましたが、現代の作家ですとなかなか評価が定まらないことや、あるいは資料収集が難しいといった面もあります。今年度は児童文学ですが、佐藤さとる展を開催いたしました。この方は確か80歳ですが、現在、御存命で、今も大変な人気のある作家でありまして、このような方の御協力があれば現代作家の方も取り上げることは可能だと思います。そのような知名度がある方を取り上げるというのが基本になります。
 さらに、ジャンルを超えて、例えば、食と文化や動物と文化等のテーマで、文学には余り関心のない人に対しても、動物や食物と文学を関連付け、文学への関心を高めていくようなテーマ設定ができないだろうかと検討もしています。
 もう一つは、児童文学です。これはやはり子供と若い親が一緒に見るということが重要なテーマであると考えております。このような児童文学をテーマとする等の視点で、より幅広い方、あるいはこれまで足を運んでいただいていない方に来館のきっかけをつくっていく工夫をしていきたいと考えております。




<質疑>
 必ずしも作家でくくるのではなくて、例えば食と文学や動物と文学等のテーマ設定も考えているということをお聞きいたしまして、大変重要な切り口だと思いますので、実現することを楽しみにしたいと思います。
 次に、この文字・活字文化振興に関連いたしまして、今回報告があった文化芸術振興条例についてお伺いをしたいと思います。この文化芸術振興条例の素案は国の文化芸術振興基本法なども踏まえておりまして、県でしっかり条例を定めていくということについては評価をさせていただきたいと思いますが、今申し上げた文字・活字文化振興ということについては、この基本的施策の中に、文化芸術の振興という項目があり、その冒頭で県は、文学、音楽、その他もろもろの振興を図るため、以上の措置を講ずるという形でしか触れられていませんが、これはどのような考え方によるものなのでしょうか。

<答弁> 文化課長
 文化芸術振興条例の素案と、それから文字・活字文化振興の関係ということでのお尋ねですが、まず国の文字・活字文化振興法について申し上げますと、この法律では、国の施策と合わせまして、地方公共団体が取り組むべき施策ということが示されています。例えば公立図書館の設置、運営体制の整備、関係する団体の支援、その他必要な施策の実施です。こうしたことで、地域における文字・活字文化の振興に取り組むということです。この法の規定を踏まえまして、先ほどお答えいたしましたような施策に取り組んでいるというところです。
 一方、国の文化芸術振興基本法ですが、法律は、基本的には国が取り組むべき施策を定めています。その中で、地方公共団体につきましては、国の施策を勘案し、その地域に応じた必要な施策の推進を図るという趣旨の規定がありまして、具体的な施策は地方公共団体にゆだねられています。こうした規定を踏まえて、今回、文化芸術振興条例の素案をお示しし、制定に向けた取組をさせていただいています。




<質疑>
 今回の条例素案を読ませていただきましたが、完成度は高いものではないと思います。景観を文化の基盤とする点なども評価をさせていただきたいと思いますが、ただ、この条例を制定して、どのような効用があるのでしょうか。私はこういった文化芸術関連の予算というのは、これまでにもなかなか十分確保されていなかったこともあり、苦しい県財政の中で、どちらかというと後回しにされがちであったと思います。
 ただ、今回この条例をしっかり制定することによって、文化芸術関係の施策や、また予算の充実につながっていき、はじめて実効性が出てくると思います。確かに素案の中には、企業等からの寄附や、その他支援の活発な活用を行うということも含まれており、そのような観点から、この条例の実効性についてどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

<答弁> 文化課長
 条例の実効性ということですが、条例制定を機に私どもとしては、文字芸術施策の取組に一層努めていくということは当然の責務と考えております。時限型の条例ということもありますが、私どももできるだけ、基本的な施策についても、明確にして施策を網羅的に盛り込んでいます。
 もう一つは、条例の仕組みとして、基本理念あるいは施策の基本方向を踏まえて、計画を策定しています。したがって、まず具体的な施策を位置付けた計画をしっかりつくることと、この計画に基づいて、毎年度の事業に結び付けていくということ、さらに、計画を毎年度しっかり進行管理していくこと、このようなプロセスを通じまして、施策面あるいは事業面での条例の実効性を高めていきたいと考えております。




<質疑>
 担当部局としては、平成20年6月定例会にこの条例を提案予定ということです。条例が成立した場合に、この条例に基づく審議会の設置等があると思いますが、制定後の取組について現時点で分かる範囲で結構ですのでスケジュールをお示しいただきたいと思います。

<答弁> 文化課長
 今後のスケジュールですが、法制面から再度検討をいたしまして、6月定例会に条例案を御提案させていただく準備をしてまいりたいと思っております。
 6月定例会で条例案をお認めいただけましたら、できるだけ速やかに施策の調査、審議のための文化芸術振興会議を設置させていただきまして、そして文化芸術振興計画の素案作成に着手したいと考えております。
 この計画ですが、可能であれば平成20年度末までに策定したいと考えておりまして、それに基づく施策を平成21年度から実施するような方向を現時点では想定しています。




<質疑>
 分かりました。この文化行政に関連して、更に県民ホールの改修についてお伺いをしたいと思います。
 昨年9月のこの常任委員会で県民ホールの改修についてお尋ねをいたしました。その際、神奈川力構想の戦略プロジェクトを踏まえ、できれば平成22年度に改修に着手するというスケジュールを念頭に置いて、検討・調整を進めたいという趣旨の御答弁をいただきました。そこで、この県民ホールの改修について、平成20年度予算案でどのようになっているのかをお伺いをしたいと思います。

<答弁> 文化課長
 お話しの県民ホールの改修ですが、委員御指摘のとおり、昨年策定いたしました神奈川力構想に基づいて取組を進めてまいりたいと御答弁を差し上げたところです。
 こうした中で、平成20年度の予算編成については、県民ホールの改修に向けた設計費の措置を検討したところです。特に平成20年度以降、県立音楽堂の耐震補強工事や、県立新ホールの整備等々、県立の文化施設につきまして、ハード整備をかなり集中的に行う状況もありますので、県民ホールの改修は改めて工事の規模、内容あるいは整備スケジュールを議論する必要があるという結論に達しまして、最終的には、平成20年度の予算計上を見送ったというのが経過です。
 ただ、県民ホールの施設や設備の老朽化対策、バリアフリー対策、舞台機器等の更新等の必要性は認識していますので、引き続き改修に向けた庁内調整に向けまして、精力的に作業を進めて、できるだけ早い改修をしたいと考えています。




<要望>
 それでは、御要望を申し上げたいと思いますが、まず文字・活字文化振興につきましては、近代文学館の機能を最大限活用して、引き続き充実した取組をされるように要望したいと思います。
 また、文化芸術振興条例については、今回の素案をよく精査していくことが大事だと思います。早期制定と着実な実施に向けて作業を進めていただくよう、重ねて要望をさせていただきます。
 最後の県民ホールの改修ですが、これが先送りされたということは大変残念であります。しかし、今、御答弁いただいたように、施設のリニューアルというのは避けて通れない課題であると思います。引き続き、間断なく早期に着手ができるように、県民部としての努力を続けていただきたいと要望させていただきます。




 かながわ国際施策推進指針の改定について
<質疑>
 昨年9月のこの県民企業常任委員会に改定素案が報告されまして、その後、パブリックコメントなどを経て、今回改定案が報告されたと承知しております。外国籍県民が年々増加し、その中で多文化共生社会の実現に向けて、県としても積極的に取り組みをしていかなくてはならないと考えていますし、また、そのような施策を進めていただいていると思っております。
 今回のこの指針というのは、今後の神奈川県の国際施策の進むべき方向を示すものとして大変重要であると受け止めておりますので、この改定案について数点お伺いしたいと思います。
 まず、外国籍県民が大変増加をしているということは、県の施策を決め、また進めるに当たっても、外国籍県民の皆さんからの意見も踏まえていく必要があると思います。この指針の中にも外国籍県民かながわ会議との連携が挙げられていますけれども、この会議の概要について、まずお伺いしたいと思います。

<答弁> 国際課長
 外国籍県民かながわ会議ですが、外国籍県民の方の県政への参画を促進し、ともに生きる地域社会づくりを進めるという目的で、外国籍県民の方自身に委員となっていただきまして、御自分の問題を協議していただき、知事に提言を出すといことを目的に平成10年に設置をしております。この会議は、公募により選ばれました20名の委員で構成されまして、2年間の任期の中で様々な協議を行っていただき、提言をいただいています。現在は、第5期目の会議を開いていただいております。
 第1期から第4期までの合計で71項目提言をいただきました。具体的には教育や福祉、医療、就労、住まい、出入国、相談体制の充実など多岐にわたっています。この提言を受けて、庁内の関係部局や市町村に働き掛けをするほかに、国への要望活動などを行いまして、提言の施策化に努めているところです。
 この結果、施策化に向けた取組が進んでいるものといたしまして、居住支援システムの整備、医療通訳派遣システムの整備、県庁内の庁内案内板の多言語化の促進、公立高校における外国人特別募集実施校の拡大、県のホームページでの10言語による生活情報の提供、相談体制の充実、災害時支援体制の整備といったものがあります。




<質疑>
 今の御答弁で、外国籍県民かながわ会議からの提言を受けて施策化されたこともあるということですが、今回の改定についていえば、その提言から新たに位置付けられた取組というものがあるのかお答えいただきたいと思います。

<答弁> 国際課長
 この指針に新たに位置付けました取組ですが、まず医療通訳の派遣システムの整備というのがあります。これは、日本語が十分でない外国籍県民の方々に安心して医療を受けていただくように、医療通訳に対応できる人材を育成するともに、病院と医療通訳をコーディネートする仕組みをつくるべきだという提言を受けたものです。
 それから次に、多文化ソーシャルワーカーの養成というのがあります。これは、外国籍県民の増加、定住化が進む中で教育やDVや離婚といった家庭内の様々な問題が多様化また複雑化しておりまして、このような問題に対して、相談から問題の解決まで一貫した対応ができる人材の養成、多文化ソーシャルワーカーと呼んでいますが、その多文化ソーシャルワーカーを養成してほしいという提言がありまして、今回はそれを取り入れたいと思います。
 そのほかには、外国人居住支援システムの充実・強化、言葉の壁という不自由さを低減させる意味で、多言語による生活情報の提供、それから災害発生時における外国籍県民への情報提供等に取り組む災害支援対策体制の充実といったものも取組に位置付けたところです。




<質疑>
 医療通訳の派遣システムについてと、今、御説明がありました、多文化ソーシャルワーカーの養成についてもう少し詳しくお願いします。

<答弁> 国際課長
 医療通訳の派遣システムは、平成15年度からNPOと協働して、かながわボランタリー活動推進基金21を活用した協働事業として実施してまいりました。
 このシステムは、まずボランティアを募り、医療通訳者として専門的な医療用語や医療現場における注意事項などを身に付けていただきまして、病院に派遣して、診察に立ち会い、医療通訳として活躍していただいているものです。
 この研修は定期的に実施して通訳者の資質向上を図っています。対応言語ですが、英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、カンボジア語、ラオス語と多彩な言語で対応しています。この通訳ボランティアの数の現在の登録者数は173名です。
 これまでに県内17の病院と協力協定を結びまして、その病院を利用する患者さんを対象とし、病院が通訳を必要とする場合に連絡をいただき、通訳を派遣しているという制度です。ちなみに、平成18年度の派遣実績を申し上げますと、年間で2,161件派遣をいたしました。これは、月平均にしますと約180件です。内訳として、言語別で申し上げますと、一番多いのはスペイン語で50%、2番目がポルトガル語の15%、そして中国語の11%となっております。
 診療科別で申し上げますと、一番多いのは産婦人科で23%、内科16%、小児科8%となっております。なお、かながわボランタリー活動推進基金21による協働事業ですが、平成19年度をもって終了いたしますが、非常にニーズの高いこともあり、平成20年度以降は県の事業として位置付けをさせていただき、通訳派遣費用に係る病院等の負担も一部導入をさせていただきながら、県の先導的な取組として、このシステムを引き続き維持していきたいと考えております。
 もう一つお尋ねいただきました多文化ソーシャルワーカーですが、外国籍県民の継続的な増加、定住化の中で、先ほど申し上げましたとおり家庭や職場、あるいは学校などを巡る問題が大変増加して、また複雑化している状況にあります。従来から相談窓口を設けて実施しておりますが、なかなか相談窓口だけでは解決が難しいという問題も生じております。このため相談の内容に応じまして、例えば就労のあっせんや医療保険などの制度の活用、さらに教育や労働関係などの専門的な機関との調整を行って問題を抱えている方に個別に対応して、解決するまで一貫して支援できる多文化ソーシャルワーカーを養成していきたいと考えております。
 今後の計画ですが、来年度以降、3年間で100名の多文化ソーシャルワーカーの養成を行う予定です。なお、養成をした後、多文化ソーシャルワーカーの皆さんには、例えば県や市町村での相談窓口にいていただいたり、あるいは外国籍県民支援に取り組むNGO団体の中で活躍していただいたり、また外国籍県民の多く住んでいるコミュニティーに入って活躍していただきたいと考えています。




<質疑>
 大変な事業だと思います。自分が外国に行って、そのような立場に置かれたときに本当に頼りになると思います。特にわらをもつかむ思いという人は大変助かると思います。その担い手ですが、この医療通訳には173名が登録されているということですが、多文化ソーシャルワーカーの皆さんの報酬はどのようになっていますか。

<答弁> 国際課長
 ボランティアベースでお願いしていまして、1件あたり3,000円、交通費程度ですがお払いをしています。




<質疑>
 本当に頭が下がるというか、大変なことだと思います。
 次に、報告資料の15ページに記載をされております今回寄せられたパブリックコメントに目を通しておりますと、おおむね今回の指針の改定については肯定的な御意見が多いと思いますが、過去の基本目標の最初のところに記載されていますオールドカマーとニューカマーでは、在日期間などにより抱えている問題なども違うことから、それを踏まえて対応を図ってもらいたいという意見もあるようです。
 これは抱えている問題がいろいろと違いがあるということですが、どのような違いがあり、またそれを県はどのように受け止めているのかを説明してください。

<答弁> 国際課長
 いわゆるオールドカマーといった方々ですが、高齢化が進んでおりまして、日本人と同様な問題、例えば医療や介護といった問題が生じていると思われます。また、制度的に年金のない方がいまして、そのような方々には十分な医療福祉サービスが行き届かないとも聞いています。
 一方、ニューカマーの方々は、住まい探しや日本語が十分でないことから生じます教育、就労というような様々な問題を抱えています。また、このオールドカマーの方、それからニューカマーの方に共通する課題もあり、例えば外国人登録の問題、在留資格の問題、子供たちへの母国語や母国文化の継承というような問題もあると聞いております。
 こうしたことから、県といたしましては、例えばオールドカマーの方々の無年金状態の高齢者、いわゆる制度的無年金者に福祉給付金を支給している市町村に対して県から補助をする事業も行っております。また、その制度的無年金という方々を救済するように、国にも要望も出しているところです。
 それから、ニューカマーの方々の問題につきましては、日本語学習や就労支援に取り組むNGO、NPOへの支援をこれから行っていきたいと考えております。また、教育局において、公立高校における外国人特別募集の実施校の拡大といった取組も進んでおります。
 それから、共通する課題である在留資格の問題は、国に引き続き制度改善の要望をしておりますし、また、小中学校への就学や自治会への加入の問題といったことは、主に市町村が所管する問題でありますので、市町村とも十分連携をいたしまして、解決を図る方向で取り組んでいます。




<質疑>
 また、同じパブリックコメントの中に、日本人と知り合う機会が少ない、日本人との交流会が数多く開催されるとよいという意見や県にイニシアチブをとってもらいたいというような要望もありましたが、様々な地域で、県が主体となって交流の会をつくっていくということは大変難しいことだと思います。地域をそれぞれ見てみると、民間の多文化、多国籍の交流拠点になっているようなところ、例えばエスニックレストラン等が見受けられますが、そのような情報を提供するということも効果的だと思いますし、それは県という単位で担ったほうが、より広域的な情報の提供になると思うのですが、どのように考えているかお聞かせください。

<答弁> 国際課長
 委員のお話に出たエスニックレストランですが、料理というのは、まずその国の文化を理解する上で大変有益であり有効な方法です。そのようなことでエスニックレストランは海外の料理に関心のある日本人客も増え、レストランの数自体も増えています。
 このようなレストランは、外国籍の方と日本人が交流できる場所にもなってくると考えております。このようなエスニックレストランについては、現在、かながわ国際交流財団のホームページで紹介しています。
 それから、また、交流イベントというのが県内各地で開催されていまして、例えば地球市民かながわプラザにおきましても、毎年あーすフェスタかながわというものを開催していますし、横浜市や川崎市、その他市町村でも様々な交流イベントが行われていまして、こうしたイベントの情報についても、かながわ国際交流財団のホームページに掲載して紹介をさせていただいております。
 さらには、外国籍県民と日本人とが常時交流できる場所として、市町村などが国際交流ラウンジを設置しております。この点につきましては、今後、ホームページでも分かりやすい形で積極的に御紹介をしていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、こうした情報を提供するということは、身近な地域で外国人の方々と日本人との交流の機会の増加の拡大につながるものと考えておりまして、今後とも情報の収集に努め、情報提供の方法を工夫し、多くの県民の方々に的確に情報が伝わるような形で努力をしてまいりたいと考えております。




<質疑>
 それでは、最後の質疑にいたしますが、この指針を改定、策定後も、この指針に立てられた施策の実効性を担保していくためには、多くの県民の方々に県の国際施策を理解していただく必要があると思いますし、また同時に、NGOですとか市町村等の様々な主体と協働、また連携していくことが大変重要であると思います。今後どのように取り組むのか、県民部長に是非お伺いをしたいと思います。

<答弁> 県民部長
 神奈川は、日本の表玄関である横浜港を擁する産業貿易の中心点として、また横浜、鎌倉、箱根を控える国際観光県として、さらには県内に数多くの米軍基地がある県として、戦後、国際社会の激動を身近に受け止めながら発展してきたという節もあると存じます。また、世界に開かれた神奈川として、これまでも各種施策に取り組んでまいりました。
 2004年の現指針策定以降におきましても、羽田空港の国際化に向けた取組やアジア地域の著しい経済発展、また県内における外国籍県民の増加、定住化が引き続き進むという状況を踏まえまして、今回指針も改定しようとするわけですが、ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、指針の策定後、その内容を県民の皆様に十分御理解いただくということが、まず一番大切です。
 そういう意味で、指針策定後その内容はホームページをはじめとする各種の県の広報媒体等を通じて、県民の皆様方にお知らせすると同時に、県の機関あるいは市町村、さらには民族団体、民族学校、インターナショナルスクール、NGO、NPOの方々にも、できるだけ広くお伝えしてまいりたいと考えております。
 また、必ずしも日本語が十分でない外国籍県民の方々もおられます。今回、パブリックコメントの資料も多言語で作っていただきましたが、指針の内容につきましても、多言語で概要版等も策定してまいりたいと考えておりますし、それらの配布方法等についても、委員からの御指摘を踏まえながら考えてまいりたいと考えております。
 また、指針に基づく施策の推進に当たりましては、指針の中でも推進体制ということで入れさせていただいていますが、神奈川には、大変先進的な取組をこれまでも行っていただいたNPO等も多々あります。そういう意味で、NGOかながわ国際協力会議、外籍県民かながわ会議などを通じて、NGO、NPO、外国籍県民の方々などとの連携、さらには市町村、また他都道府県との連携、このようなことにも十分留意しながら、幅広い協働と連携による平和な多文化共生社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。




<要望>
 最後に要望を申し上げたいと思いますが、今回の指針が改定されることによりまして、今、御説明いただいた医療通訳派遣システム等、新しいニーズまた課題に対応した取組が位置付けられるということで、今後の神奈川県の国際施策を進めていく上で、今回の改定は重要なものであると受け止めております。そのため、この指針に組み込まれた施策を着実に推進していくということが重要だと思いますので、全国に誇れる神奈川の国際施策の展開を強く要望させていただいて、私の質疑を終わります。