■文教常任委員会 校内における携帯電話の使用について(平成18年9月28日)
<質疑一覧>


<質疑>
 先日、ある県立高校の授業を見せていただきまして、多くの生徒はもちろん授業に前向きに取り組んでいる様子が伺えましたけれども、机に突っ伏して寝ている生徒が3分の1以上いるというクラスもありました。なかには先生が授業している目の前で、悪びれることもなく携帯電話でメールをしたりゲームをしているという生徒がいたり、また、机の上には缶ジュースの飲みかけの缶がそのまま置かれていたりといった状況が見受けられました。先生も半ばあきらめていらっしゃるのか、それともこれまでさんざん言ってきて、それでも駄目なのか、よく分かりませんけれども、注意をするような様子もなかったのです。
 教育長が一般質問に対する御答弁の中で、ぶれない指導ということをおっしゃっていました。その中でも、今、例として申し上げた携帯電話の使用に関する指導についてお伺いしたいと思います。
 まず、高校生の携帯電話の所有状況というのが県教委の方で分かっていましたら、教えてください。

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 平成16年9月に県立高校20校60学級を対象にしまして、携帯電話、PHS等の所有状況についてアンケートを行っております。回答は約2,000人でございましたけれども、この調査結果によりますと、生徒の95.7%が携帯電話を所有しておりました。男女別で見ますと、男子が94.1%、女子では97.1%ということでございます。




<質疑>
 ほとんどの生徒が持っていると考えていいのですね。そのとき、例えば一人当たり1箇月幾らぐらい携帯電話に費やしているかという調査はされましたか。

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 これは携帯電話の適正な利用方法に関する指導のためということでございますので、金額の調査まではしてございません。




<質疑>
 学校によって携帯電話の使用について、また、持ち込みについて様々な指導を行っていると思うのですけれども、県立高校においてどのような指導を行っているのか教えてください。

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 携帯電話につきまして各学校でどのような取扱いをしているのか、平成17年2月に調査を実施しております。
 その調査によりますと、対象は高校、課程別に行っておりますので175課程でございましたけれども、携帯電話について指導方針ということで、校則、生徒心得あるいは校内規定など明文化されているという学校は57.7%でございました。残りの42.3%につきまして、明文化はされておりませんでした。明文化されている学校のうち、学校へ機器の持込禁止としている学校が4.0%でございます。また、授業中や学習活動中の電源オフなど機器の使用禁止、つまり授業中の使用禁止が75.2%、迷惑行為とならないよう注意ということが12.9%、その他が8.9%です。その他と申しますのは、試験中や校地内で電源オフする、つまり学校の中に入ったら電源オフということでございます。
 なお、明文化されていない学校につきましても、すべて日常の指導の中で授業中の使用禁止等、口頭により指導しております。したがいまして、明文化されているか否かの相違はあるものの、すべての高校において授業中の携帯電話の使用は禁止ということでございます。




<質疑>
 様々な指導の中に、迷惑にならないようにというのがありましたけれども、これは具体的にどのようなことなのでしょうか。

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 これは表現の仕方の違いだと思いますが、使用禁止だと思います。




<質疑>
 授業中でも迷惑にならないように使えば良いということではないのですね。
 例えば授業中でも隠れてこそこそ操作するぐらいのことは、しようがないところもあるかなと思ったのですけれども、先生が授業をしているときに机の上に出して、手に持って実際に操作をしているわけです。それを先生が何のとがめもしないというのが、本当に驚いたのです。
 授業中の基本的な生徒指導の問題だと思うのですが、基本的に県の教育委員会としてはどのように考えていますか

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 各学校におきましても、学校の授業中といえども生徒指導におきましては、その基盤となりますのは社会のルールであり、マナーであることは間違いございません。授業中のマナーや態度が好ましくない生徒に対しましては教員が改善を指導するということは当然でございますが、指導をしても生徒の中には教員の注意を無視したり、反発したりする者もございます。このような生徒に対しまして、教員は幾つか選択をしなくてはいけないわけでございます。一つは、その場で指導を繰り返して改善させる。もう一つは時間と場所を改めて指導する。もう一つは、他の教員により組織的な指導をするというように、生徒の状況に合わせて最適な方法で指導するわけでございますが、授業中に携帯電話を操作しているが教員が何もしなかったということでございますけれども、そのような生徒につきましては、教員が繰り返し注意しても改善が見られない場合は、授業に取り組む他の生徒への影響も考慮しまして、その場の授業をそのまま進行し、授業終了後に改めて生徒を呼び出して指導するというようなことも考えられるかと思います。
 いずれにしても、注意、指導に従わない生徒に対しては、教員も様々な経験をもとに、一番適切な指導方法を判断して、その場に応じて対応するということで、一切指導しないということはあり得ないということでございます。




<質疑>
 一切指導しないことはあり得ないということは当然のことだと思います。
 教育の専門家が多くいらっしゃる中で、このようなことを言うのは僭越かもしれませんが、一番適切な指導というのは、その場で携帯電話をきちんと取り上げることだと私は思います。私物ですから、取り上げたままでは良くないのかもしれませんけれども、例えば授業が終わるまで預かるということであれば、弁解の余地がないというか、生徒も先生にあらがう理由がないのではないですか。適切な指導を考えると、その場で携帯電話を取り上げることができないものなのでしょうか。

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 一時預かるというようなことでございますけれども、あらかじめ指導方針を明確に定め、生徒本人あるいは保護者に対し明示して、理解を得ることにより行うことは可能であると考えております。しかし、この場合、携帯電話には個人情報がたくさん入っておりますので、取扱いには十分注意しなくてはいけませんし、指導終了後には速やかに返還するということを忘れてはならないと考えております。




<質疑>
 授業のルールを無視しているわけですから、生徒と保護者に理解を得る必要はないと思います。個人情報うんぬんというのは本当に屁理屈でしかないですが、先生ももちろん中をのぞいたりしてはいけないと思います。これは教育者として当たり前のことです。
 もう一度伺いますけれども、そのようなときに一時的にでも携帯電話を預かるということは本当にできないのですか。

<答弁> 高校教育課長
 十分可能であると考えております。そのような実践もしばしばあることは見聞きしております。しかし、問答無用ということではなく、学校の方針、授業の方針というものはきちんと前提があって、十分に生徒の方へ伝えてあるという中での指導が一番良いと思います。そうしないと別のトラブルに発展してしまう心配もございますので、そのようなことをしながら現場では指導を日々重ねていると承知しております。




<質疑>
 例えば、携帯電話を操作しているときは多分おとなしく授業を受けているわけだと思うのですが、取り上げることで逆に切れてしまい、今度は授業が混乱をするというようなことも本当に考えられないことではないので、それは現場の先生の判断にお任せするしかないことなのかなと思いますが、明らかにマナー違反だということに対して強い指導をしていくときに、現場の先生、また学校に対して教育委員会がしっかりと支援していくということも必要だと思うのです。それに対してどのように考えていらっしゃるのかお尋ねしたいと思います。

<答弁> 子ども教育支援課児童生徒指導室長
 今年の6月に文部科学省から、「児童・生徒の規範意識の醸成に向けた生徒指導の充実について」という通知が出されております。その中で、生徒指導に当たりましては、指導の基準をあらかじめ明確化し、指導基準に基づき、してはいけないというき然とした粘り強い指導を行うことと示されております。また、教育委員会に対しましては、指導に当たっての方針やマニュアルを示して、学校における生徒指導の運用面の支援を図ることと示されておりますので、本県におきましても各学校が自信を持ってき然とした、いわゆるぶれない指導を行うことができるよう、生徒指導の指針やガイドラインを早急に作成いたしまして各学校に示すことで支援してまいりたいと考えております。




<要望>
 当たり前の話ですけれども、人としての評価というのは学業だけで決まるものではないと思います。勉強は駄目だけれどもサッカーが上手だとか、音楽の才能に優れているとか、人を笑わせるのが本当に上手など、いろいろな能力があって単一の物差しではかってしまってはいけないと思うのです。
 ただ、それを承知の上で申し上げるわけですけれども、学校において何より大切なのは授業であると思います。その授業をまじめに受けるのが生徒の本分であると思うのです。しかし、現在の入試制度では、授業がなかなか理解できない生徒が多く集まってしまう高校も出てきてしまうのだと思います。
 それでも、先生は何とか真剣に授業を受けさせなければいけないと努力されているのだと思うのです。現場の先生にとって、厳しく生徒を指導していくためには、自信や確信がどうしても必要になってくると思います。自信や確信が、だれもが自ら築き上げられればそれに越したことはないのですけれども、そういうものでもないと思いますので、そこを県の教育委員会がしっかり後ろから支えていただきたいと思います。
 また、そのためには学校も教育委員会とともに、しっかりとぶれない指導の方針を定めていく。そして、根気強く指導を継続することで、初めて学校の秩序が守られて、まじめに取り組む生徒への学力保障にもつながっていくのだと思います。各学校の先生方が教育という情熱を失うことなく、様々な教育活動に従事できるよう教育委員会として一層の支援をお願いしまして、私の質問を終わります。