■文教常任委員会 優れた教員の認証制度について(平成18年9月28日)
<質疑一覧>


<質疑>
 私からは、大きく分けて四つのテーマにわたって質問させていただきたいと思います。時間も限られておりますので、簡潔明りょうな御答弁をいただきたいと思います。
 まず、指導力に優れた教員の認証制度について伺います。
 本年1月、当常任委員会におきまして、私ども公明党から、教員の質の向上が必要であり、生徒の立場からすれば分かりやすい授業が重要であるということで、例えば愛媛県で既に実施しております鉄人先生のように指導力に優れた教員を認証する制度につきまして、神奈川県における検討状況について確認させていただいたところであります。その際、学校現場や市町村の意見なども取り入れて検討し、できるだけ早く制度を固め、実施できるよう努めていくというような御答弁をいただきました。
 そこで、その後の検討状況についてお伺いしたいと思います。
 まず、現在どのような形で検討が進められているのかお伺いします。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 指導力に優れた教員を認証する制度の検討状況についてお答えいたします。
 愛媛県で実施しております鉄人先生のような卓越した指導力を有する教員を認定し、功績をたたえて表彰するという制度につきまして、本県でもこうした制度の導入に向け、昨年度、局内の関係所属の担当者レベルで検討会を設けさせていただき、他県の状況の調査を行いました。それを基に制度構築に向けまして課題点の整理を行ってまいりました。本年4月からは学校現場や市町村の意見を取り入れるために、市町村教育委員会の代表、学校種ごとの学校長の代表、PTAの代表などを構成員といたしました「指導力に優れた教員の認定制度に関する検討会」を立ち上げさせていただきまして、教員全体の教育力の向上及び教員のモチベーションアップを図るための制度構築に向けて検討を行っているところでございます。
 検討会はこれまで4回開催させていただきまして、現在、検討会としての中間報告を取りまとめている状況でございます。




<質疑>
 今、中間報告を取りまとめているというお話がありましたが、その検討会で具体的にどのような意見が出ているのですか。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 検討会では、構成員全体の共通認識といたしまして、教員全体の教育力の向上や教員のモチベーションアップを図るということは非常に必要だというような認識でございました。指導力に優れた教員の認定制度構築の検討に当たりまして、一つ目として経験豊かな教員の持つ教育指導力の継承といった観点、二つ目として個々の教員の資質の向上といった観点、三つ目として教員自らが意欲を持って能力向上に努めていくという教員のモチベーションアップという観点から検討を行ってまいりました。
 そういった中で、教員の本分は授業である、個々の教員の授業力の向上が教員全体の教育力の向上に欠かせないということ、そのためには学校現場における授業改善、授業研究の体制整備の充実が必要であるという意見が大勢を占めたところでございます。一方で、教員の励みになるような優れた授業を実践している教員を褒めるということも重要であるという意見が出されたところでございます。
 こうした中で、検討会では学校現場における授業改善、研究体制の充実を図る制度や、優れた授業を実践している教員を褒める制度といった二つの制度について議論を進めてきたところでございます。




<質疑>
 中間報告の内容は、どういったものですか。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 現在、取りまとめを行っております中間報告の概略でございますが、方向性を申し上げますと、学校現場における授業改善、研究体制を充実させるためには学校現場において授業改善や研究をコーディネートしていく役割を果たす能力が求められております。そうした中で、優れた授業を実践する能力と、授業改善、研究をコーディネートしていく能力といったものは必ずしも一致しないという状況がございますので、選ばれる者も違ってくるということになります。そのため、本検討会ではこの二つの制度を切り分けて検討を進めていくことといたしました。
 優れた授業を実践している教員を褒める制度につきましては、既に実施しております職員の功績表彰制度から教員の本来業務でございます授業力に特化した表彰制度を特出しする形で、新たな表彰制度を創設していくこととしてございます。さらに、この表彰制度に関しましては、今後、検討会のもとにワーキンググループを設置いたしまして、具体的な推薦基準や選考手続等の検討を進め、できれば平成19年度からの実施を目指すこととしてございます。
 なお、検討会では、指導力の優れた教員の職の位置付けについても、引き続き検討していきたいと考えてございます。




<質疑>
 二つに切り分けるというお話を伺いました。
 一つは、優れた授業ができる先生を表彰していくということと、何らかの職制というところに位置付けていくというようなことなのかなと理解しましたけれども、県の教育長、トップとしても同じような考え方ですか。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 検討会の委員の中には教育委員会のメンバーが入ってございますし、そういった検討会の意見を尊重しながら、同様の方向性で取り組んでまいりたいと考えてございます。




<質疑>
 学校現場における授業改善、研究体制を充実させる制度については今後引き続き検討していくということですが、具体的にはどのような方向性を考えているのでしょうか。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 学校現場における授業体制、研究体制の充実でございますけれども、それをコーディネートしていくところが重要になってくるところでございます。こうした役割は、総括教諭が担う部分が大変大きいと思っておりますが、今年は導入の初年度というところでございまして、段階的に導入する予定でございます。
 授業改善、研究をコーディネートする役割や、校内体制自体が各学校でまだ明確になっていないというような意見もございまして、今後、総括教諭制度の定着状況を見ながら、授業改善や研究体制を充実させる制度につきまして引き続き検討していきたいと考えてございます。




<質疑>
 優れた先生を表彰していくということですが、具体的にその先生が学校の中で果たす役割に関して、どのようなことを考えているのですか。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 表彰を受けた教員の役割についてですが、検討会の中での意見では、優れた授業を実践している教員はなるべく学校現場の子どもたちから引き離さないようにするのが良いというのが検討会の意見の大勢を占めてございました。
 しかしながら、優れた授業を実践している教員のノウハウを他の教員にも共有させるということも非常に大事なことだと認識しておりますので、余り表彰を受けた教員に過重な負担をかけることなく活用できるように、例えば勤務校における普段の授業の公開などを担ってもらうべきであるという意見が多かったという状況でございます。




<質疑>
 例えば表彰を受けた先生に対しての処遇について、何か具体的なことを考えられていますか。

<答弁> 教職員人事制度担当課長
 表彰者にはモチベーションアップの観点から、何らかの処遇が必要であると考えてございます。例えば給与面の対応や自分の資質をさらに高めるために研修の機会の付与などが良いのではないかという意見が検討会でございました。具体的なものにつきましては、今後ワーキンググループでの検討の中で整理していくということとしてございます。




<要望>
 本県が実施した「教育に関する学校関係者向け意識調査報告書」というのがございます。保護者等が求める望ましい教員像についての回答結果として、「子どもをよく理解し適切に対処指導してくれる教員」、また、「分かりやすい授業をしてくれる教員」といった回答の割合が多くなっております。
 先ほど教員の本分はあくまでも授業であるというお話がありました。何よりも分かりやすい授業を行う、できるということが重要でありますし、また、そのことが子どもたちにとっても有益だと思います。そうした優れた授業を実践している先生、教員に対して、さらなるモチベーションの向上を図ること、そして、もちろん教員の方々個々の質を向上させるためにも、より良い制度を構築することができるよう努めていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移ります