4.商店街の再生を担い得る専門的な人材の発掘と活用について。

<質疑>
 平成10年度に中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法、改正都市計画法のいわゆるまちづくり三法が制定され、7年が経過いたしましたが、依然として、いわゆる「シャッター通り」と化した商店街も少なくなく、必ずしも期待した成果が上がっておりません。そのため、今般、中心市街地活性化法と都市計画法の改正が行われたところであります。
 改正法に基づく新しい制度を見ると、市町村が策定する中心市街地の基本計画については国が直接認定し、また、そこに国が支援していく形となっています。すなわち、改正まちづくり三法等に基づく中心市街地活性化策や商業集積施策は、一義的には市町村が主体となって行うということであります。
 そうした中で、広域行政を担う県として、果たすべき役割は何かが改めて問われていると思います。今回の法改正によりTMOがなくなりましたが、旧まちづくり三法やTMOがうまく機能しなかったのは、法の中身やTMO構想自体の問題というより、まちづくり、にぎわいづくりを総合的にプロデュース、コーディネートする人材が不足していたためとも言われています。その反省を踏まえ、県は、人材面から、商店街再生を初めとする商業の活性化を支援していくべきであると考えます。例えば、県は商工会・商工会議所の経営指導員等の人件費として、年間15億円余りを助成しておりますが、この経営指導員等の業務の多くが、個々の商工業者の相談や記帳指導に割かれているというのが実態のようです。せっかく多額の県費を投入しているのですから、この経営指導員等のスキルアップを図り、商店街の再生を担う人材として活用する方策を、県として検討すべきではないでしょうか。
 また、深刻な低迷状態にある商店街に対しては、大企業の経営再建によく見られるような大胆な手法も必要となってくると思われます。その場合、地元の利害関係や過去のしがらみにとらわれることなく、これまでとは全く別の視点から、客観的に商店街を見ることができる人材が必要となります。企業経営や商業活性化に関する専門的な知識やノウハウを持ち、商店主の方々を啓発しながら盛り立てていけるような、いわば「商店街再生請負人」とも呼べる人材です。そのような人材の発掘とネットワークづくりに、今こそ県として取り組み、商店街再生に活用できる態勢をつくるべきと考えます。



 そこで、知事に伺います。

 今後、商店街の振興を図っていくためには、地域の身近な人材である商工会・商工会議所の経営指導員等のさらなる資質向上を図った上で、商店街再生のために活用することが有効と考えますが、県として、どのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。また、広域行政を担う県として、商店街の再生を担い得る専門的な人材の発掘と活用を推進する必要があると考えますが、あわせてご所見をお伺いいたします。


<答弁> 松沢知事
 まず、商工会、商工会議所の経営指導員を商店街再生のために活用することが有効であるとのご提案をいただきました。これからの商店街につきましては、単に物を売るというだけではなく、地域の方々に対してさまざまなサービスを提供するという視点が、活性化に向けたポイントであり、その実現のための重要な要素の一つは人材であると考えております。
  商工会・商工会議所の経営指導員は、個々の店舗の経営相談に応じる中で、地域の実情を把握しております。ご提案にありましたように、こうした経営指導員が、まちづくりや地域づくりの視点から、商店街の課題解決に取り組むことは、より効果的な人材活用策であると考えられます。
 県では、中心市街地活性化の情報交換の場として、TMO研究会を設けて、商工会・商工会議所とさまざまな意見交換を行っておりますので、今後このような場において、それぞれの商店街の実情に応じた取り組みができるよう、経営指導員の資質の向上と活用についても提案してまいりたいと考えております。
 次に、商店街の再生を担い得る専門的な人材の発掘と活用についてでございます。
 県では、これまでも商店街振興のためのアドバイザー派遣制度を設け、イベントの開催や商店街施設の整備計画、空き店舗活用など、さまざまな取り組みに対して支援を行ってまいりました。しかしながら、商店街に期待されている役割がますます多岐にわたっている中にあって、商店街活性化の計画づくりからその実施に至る一連の取り組みについて、より総合的な支援を行うことが重要になっております。そのような支援を行うためには、さまざまな分野ごとの専門家が求められるとともに、これらを取りまとめる中核的な役割を担う人材も必要であると考えております。
 そこで、地域の実情や求められる解決策も多様でありますので、地域の商店街団体や市町村のご意見を伺いながら、専門的な人材の発掘と活用の方策について検討を行い、商店街の再生を初め、広く活性化に結びつけてまいりたいと考えております。