■商工労働常任委員会(平成17年8月23日)
<質疑一覧>
 雇用情勢について


<質疑>
 失業率については2003年の後半以降緩やかに改善しているのが特色と言えるところですけれども、最近もその傾向が続いていると。それ自体は大変、歓迎すべき状況だと思いますけれども、特に厳しいと言われている若年層、そしてまた雇用形態別に見たときにこれはどうなのか、細かくなりますけれども個々の状況を確認したいと思います。また、それらの状況を踏まえてどういう取組をしているのか、またこれからしていくのかということをお尋ねしたいと思います。
 それでは、1番目の質問です。
 先ほど申し上げましたけれども、雇用情勢について全体としては完全失業率もまた有効求人倍率も共に改善傾向にあるということでありましたけれども、例えば年齢階層別に見たときにそれはどうなっているのか。また、有効求人倍率、これも雇用形態を踏まえたときにどういったことが言えるのか、もう少し詳しい説明をお願いしたいと思います。

<答弁> 雇用対策課長
 完全失業率の年齢別状況ということでお答えさせていただきますが、先ほど御報告の方で平成16年度全国の状況では全体的に4.7%ということなのですが、年齢別に見ますと15歳から24歳までですと9.5%、25歳から34歳までですと5.7%と、35歳から44歳までが3.9%、45歳から54歳までが3.4%、55歳から64歳までが4.5%、65歳以上というのがございますが2.0%というような完全失業率の状況でございます。
 次に、有効求人倍率の関係でございますが、先ほど御紹介させていただきました有効求人倍率につきましてはパートタイムを含む一般職業紹介の状況でございまして、  報告の方で、平成16年度は0.83倍というのが県内でございますが、これはパートタイムを含む状況でございます。パートタイムだけの職業紹介というのがございまして、日雇いパートタイムを除いているのでございますが、1.05倍というような状況にございます。こうしたことで企業におけるパートタイムの雇用に係る求人が多いのかなと考えてございます。




<質疑>
 有効求人倍率については、パートタイムを含むという説明がありました。失業率の改善というのは、当然その背景に労働分配率が低下しているということがあると思うのですね。その一つは、企業が経営の効率化や売り上げの改善を図って付加価値額が増加しているということがあると思うのですが、もう一つは人件費の削減がどんどん企業で進んでいるということが失業率の改善と裏腹の現象としてあると思うのですね。ですから、先ほどパートタイムの有効求人倍率が1.05倍ということでこれはいわゆる常用というか、常に働いているということなのか、確認をさせてください。

<答弁> 雇用対策課長
 非正規雇用というような言い方をさせていただいてございます。




<質疑>
 非正規雇用の中でも恐らく時々にやるというのではなくて、非正規雇用というのは常にパートとして常態的に雇用されているということだと思うのですけれども、どんどん正規雇用の人から移っていくというか、非正規雇用が増えているということが言えると思うのです。
 最近の非正規雇用を占める割合が高くなっているということなのですが、非正規雇用の状況を詳しく説明していただけますか。

<答弁> 雇用対策課長
 総務省が労働力調査というものを行っていますが、役員を除きます雇用者におけるパート、アルバイトあるいは派遣社員、契約社員をまとめて非正規雇用というような言い方をしてございますが、2004年の調査で、その割合が31.4%ということです。比較という意味で1995年の調査がございます。その時点の非正規雇用の割合が20.9%ということでございまして、10年間で10.5ポイント非正規雇用が増えていると。そうした傾向は今も依然として続いているというようなお話でございました。これは先ほど委員のお話にございましたように、景気低迷から回復するため、人件費を初めとしたコストの引き下げで、そういう雇用形態を一つ採用されているというようなことがあるのではないかと考えてございます。




<質疑>
 私の手元にある資料でもいわゆる常用雇用ベースのパートタイマーの比率というのは、1995年から2003年まで見ても8ポイント上昇しているということがあるので、やはりどんどん非正規雇用の方々が増えていくのだろうと。
 例えば人材派遣会社というのがあって、そこに登録をするという方も増えているのだと思うのですが、人材派遣会社に登録している方に関して、実際に企業に入った段階、仕事についた段階で就労とみなされるのか、それとも人材派遣会社に応募して契約をした段階で雇用とみなされるのか、ちょっとその辺は分からないところがあるのですが分かりますか。

<答弁> 雇用対策課長
 人材派遣法の関係は神奈川労働局の方で所管をしており、私の方で分かる範囲でお答えさせていただきますと、いわゆる登録型という人材派遣の形態が一つあるのと、もう1つ、常用雇用型というのがあるそうでございます。人材派遣会社が同一業種の会社にかわって自分のところで人を集めて、足りないところへ送るという常用雇用型があるそうです。確かにお話の派遣型というのは、その人の持っている個人の能力をスポット的に必要なところへ行かせるという意味ですから、絶えず業務があるというわけではないというようなことでございますが、常用雇用型の方は大体ほとんど就職されていくと聞いてございます。




<質疑>
 先ほどの完全失業率について、いわゆる中高年と言われる方々に関してはそんなに数値が高くないということだと思うのです。ただ、実際には中高年が1回失業すると、その後もう一度雇ってもらうのが難しいとかという問題もありますけれども、中高年失業者の一番のウイークポイントというか、課題というのはどこにあり、どういう認識をされていますか。

<答弁> 雇用対策課長
 中高年の失業率につきましては、全国平均を下回っているような状況でございまして、若者に比べますと数字の上ではそれほど厳しいという状況にあるのではございません。委員お話しのように、一たん離職されるというようなことがございますと、中高年の場合家計を担うという役割といいますか、立場というものが大きいものですから、再就職の際、どうしても御自分が希望する職種だとか業種あるいは労働条件、賃金なんかも含めまして、求人側と求職者側とでミスマッチが生じやすいというような状況でなかなか再就職が難しいというような状況がございます。
 そこで、私どもといたしましては、中高年向けの支援としまして中高年実践就労講座というのをやっております。これは就職に結びつけやすいようにという形で、団体に委託いたしまして20日間程度でございますけれども、いろいろ技術の習得などをしていただいて、その後、無料の職業紹介を私どもで行っております。
 それと、労働センター等にキャリアカウンセラーを配置してきめ細かなカウンセリングを行うのがございます。
 もう一つは、今年度から民間活力を使うのですが、セミナーとカウンセリングと職業紹介を一貫して行います中高年者就職活動支援事業というのを始めていまして、まだ最終的な職業紹介までは時間的にいっていないのですが、これは民間の会社に委託して行ってございますので、その辺の成果は見守っていきたいと思っています




<質疑>
 それと、先ほど若年者の問題については飯田委員の質疑の中でも出てきたと思いますが、私も子供のときからの就業意識の醸成というのはすごく大事なことだと思っているのですね。ただ、先ほどの答弁を聞いていますと、いざ就職というときになって、就職をもう目前にしてから様々な職業についてのガイダンスとかそういったことが行われているのかなと思うのです。これはどちらからというと教育局、教育委員会の仕事だと思うのですけれども、ほかを見ても例えば環境教育なんていうときに、これは教育委員会だけでは当然できなくて、環境問題を所管する部門が協力したり要請をしたりして行われることだと思うのですね。やはり職業観だとか労働観といいますか、言いかえればこの世の中はどんな人たちの仕事によって成り立っているのか、そういったことを知識として身に付けてもらうためには、教育委員会だけではなくて労働を所管する商工労働部から、しっかりと協力なり要請なりをしないと教育現場での職業観醸成というのはできないのかなと思うのですね。
 そういったことで、先ほど連携の一部ということで御説明があったと思うのですけれども、小学校高学年とか、中学生とかそういう子供のときからそういった様々な職業について、仕事というものについて教育する方法というのはないのかなと思うのです。
 おととしの11月に村上龍さんが「13歳のハローワーク」という本を出して、物すごく分厚い本で税別2,600円もする本なのですけれども、まだ2年たたないのですが今、37刷り、108万部という部数が出ている。ちょっと子供が読むには中もずっしりと文字も多いですし、そんなに簡単な本ではないのだけれども、学校の図書室だとか、親御さん、お母さんが買っていくとかというケースが多いみたいなのですね。それだけ需要もある。求める気持ちはあるわけで、先ほどミスマッチの話が出ましたけれども、ミスマッチ失業率がどうしても4%ぐらいはあるのだというような実態も聞いています。そうすると、子供のときから職業、仕事というものに対する認識を強く持ってもらうために、子供のときから教育というのを商工労働部と教育委員会と協力して神奈川の場合は進めていく必要があると思うのですが、その点についていかがでしょうか。

<答弁> 雇用対策課長
 委員お話しのとおりだと、私は個人的には思ってございます。世界にといいますか、日本にといいますか、仕事というのはもう何万種ぐらいあると。本の紹介でも500だとか1,000だとかということございますので、そういう意味では我々サラリーマンを含めて、子供たちの仕事の感覚というのは育たないかなという感じは個人的にも思っています。
 小学校というのはなかなか私どもとしては意識しづらいのですけれども、中学というレベルでは文部科学省の方が少し重い腰を上げたというと表現は悪いかも分かりませんけれども、実は今年度からキャリア教育実践プロジェクトというのを実施していくと。これは全国展開していくということで、中学生を中心とした職場体験、いわゆるインターンシップということで、5日以上の実習を内容としましたキャリアスタートウイーク推進知育事業を始めるというようなことでございまして、全国的には兵庫県ですとか、富山県はもう既にやられているような事業だと思いますが、県の教育局ではこれを受けましてスタートウイーク支援会議というのを9月に設置する予定になってございます。私ども雇用対策課とかながわ若者就職支援センターの職員もその委員に予定されてございます。その会議におきまして、若者をめぐる雇用情勢ですとか就職支援センターの事業の周知などを図ってまいりまして教育局と連携を高めてまいりたいと思ってございます。




<要望>
 今、伝統の技を持った職人さんたちもほとんどいなくなって、農業も後継者がいないということになって、もちろん神奈川でも大変な問題です。職業選択の自由とはいっても、子供たちは会社員と公務員ぐらいしか知らない世の中にどんどんなってきてしまうということがあるわけですよ。そういった中で世の中、様々な仕事で成り立っているということは、当然、子供のときからしっかりと知っていて欲しいし、文部科学省で重い腰を上げたというようにありましたけれども、是非、神奈川はその先頭を走っていただきたいと思っています。
 最後に、要望を申し上げて私の質問を終わりますけれども、先ほど雇用情勢についていろいろお話をいただきました。全体的には改善傾向にあるとはいっても、今の推移の中で分かりましたけれども、いわゆる非正規雇用というのは当然、解雇規制も緩いですし、景気変動とか業績変動も、ある種調整点みたいな形になっているわけで、決して安定した雇用でもない。また所得の面でも正規雇用に比べて低いという実態を見ると、有効求人倍率が改善したとか、失業率がだんだん改善されているといっても、やはりまだまだ手放しで喜べるような状態には当然ないと思っています。
 また、若年者はもとより中高年、そして障害者が就業するに当たって困難な状況のある方々はたくさんいらっしゃるわけで、そういうところに対しては今後とも様々な形で支援が必要であろうということで、引き続き御努力をお願いしたいというように要望を申し上げまして私の質問を終わります。