■防災警察常任委員会(10月5日)
<質疑一覧>
 防災意識の啓発について


<質疑>
 私からは、神奈川県として、住民に対する防災意識の啓発ですとか、また、災害時にみずからの身を守るための知識の周知、そういったものをどうやっていくのかという点について、質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど藤間委員の質問でも触れられていましたが、ちょうどきょうから1箇月前の9月5日に、先ほど話があったように震度5弱という強い地震が、紀伊半島と東海地方、立て続けに一晩に2回襲ったということで、紀伊半島沿岸では、大体90cmの津波が観測されたわけであります。このときに、早いところでは大体20分ぐらいで津波が到達して、特に2回目の地震の後に津波警報が発令されて、そうすると漁民の方であれば、自分の船がどうなっているかというのが心配で、海辺に出ていっちゃう。また見物人も一緒に出て行くということで、かなりの方が、住民の方が漁港や海岸に集まって、消防署員が、もうとにかく危ないから避難をしてくれと言っても、なかなかそれに応じないというようなことがあったようです。いわゆる津波のときの危険行動というふうにいうらしいんですが、去年の9月にマグニチュード8.0の大きい地震が北海道の十勝沖を震源として発生をいたしましたけれども、そのときも、ある調査によれば、津波危険地区住民の44.2%が避難をしていない。28.6%が、川とか海の様子や、港や船の様子を見にいくとか、あとは車を動かしに行っちゃうとかも、そういう危険な行動に出ていた。その調査をされた大学の教授は、とにかく東南海、南海地震というのは、もっとでかい津波が来るんだと。とにかくまず逃げろというお話をしています。北海道の奥尻島の津波は、わずか2、3分で到達しましたが、本当に侮ってはいけないということだと思うんですね。そのあたりのことを念頭に置いて質問をさせていただきます。
 神奈川県でも、万が一の災害に備えて、県ないし市町村において、さまざまな場面を想定した住民への意識啓発というのを行っていると思うんですが、果たして現実の災害のときに、住民が適切な行動をとれるのかどうかと。今回の1箇月前の地震の例が示すように、大変難しい面もあるというように思っております。
 そこで、この神奈川県における住民の防災意識啓発、またみずからの身を守るための知識の周知、そういったものがどのように行われているのかということを、何点かお伺いしたいと思います。
 まず初めに、防災局として、そういった意識や知識の啓発、また周知にどのように取り組んでいるのかというところについて、お伺いします。

<答弁> 防災対策担当課長
 住民の意識の啓発につきましては、住民に身近な市町村がさまざまな取組を行っているところでございますが、県としましても、広域的な観点から取組を行っております。
 1つは、厚木市にございます総合防災センターとの取組でございまして、これは平常時におきます防災意識の普及啓発の場として位置づけてございまして、皆さんの県内調査でお立ち寄りいただいたわけでございますが、地震の体験コーナーとか、それから風水害の体験コーナー、こういうのを設けたり、また展示コーナーを設けまして、いざというときの役立つ知識やノウハウ、こういうものを身につけていただくというような場を設けてございます。
 また、9月の1日を基準とします防災週間におきまして、訓練の実施とか新聞紙上へのPRの掲出、それから防災をテーマとしましたTVKテレビの放映、こういうような取組を行っているところでございます。




<質疑>
 大体災害というのは、地震というのを一番想定していると思うんですね。その地震が起きて、そのときに数秒間から数十秒間、どういうふうに自分が振舞えばいいのかというか、それをどうやって生き延びるかが、実は一番大きな関心事なんではないかなと思いますね。きょうは委員会ですが、本会議のときに、本会議場でずっと上を見ていて、こういうのは、でかい地震きたらどうすればいいのかなと、本当思うわけですよ。上から降ってきそうだし、何か余り柱もないようなでかい空間ですから、どうなっちゃうのかなと。机の下に潜ればいいのかなとか、そういう、いざというときの行動ですよね、地震が発生したときの。確認の意味も込めて、具体的な場面をいろいろ想定して、どうしたらいいのかというようなことをお伺いしたい。例えばオフィスにいるときとか、町歩いているときとか、電車乗っているときとか、地下鉄の駅にいるとか、地下街にいるとか、いろんなことが想定できるわけですが、そういった、それぞれの場面、その場面によって、それぞれ何に気をつけて、どういうふうに行動すればいいのかみたいな、そういう広報といいますか、そういう活動は実際に行われているか、進んでいるかしているんでしょうか。

<答弁> 防災対策担当課長
 今おっしゃいました、いざというときの場合の広報という部分では、総合防災センターの方にパンフレットをつくってもらって、その中で、今、委員がおっしゃいました、例えばオフィス街を歩いているときとか、そういうときは割れたガラスに気をつけようとか、それから電車の中、地下街等、そういう部分を具体的に写真等をつけまして、パンフレットにして、配布をいたしているところでございます。




<質疑>
 私もいろんな自治体で、どういうふうにやっているのかなと調べたりするんですが、主に、そんなに数多くないんですが、市町村だったり東京特別区だったり、こんなときにはどうしましょって、非常に簡単なものですけれども、ホームページ等で公開しているんです。その厚木で配布する、総合防災センターで配布する以外に、例えばそんなことも考えられるかなと思うんですが、それはいかがですか。

<答弁> 防災対策担当課長
 本県の防災局としてのホームページの中には、今言いましたような個別の指標というのは掲載しておりません。




<質疑>
 そうした、今私も申し上げたような、個別のさまざまな行動パターン、場面別の行動マニュアルみたいなものというのは、これは策定をしていないというように考えてよろしいですか。

<答弁> 防災対策担当課長
 そういう、例えば大地震に遭遇したような場合の行動規範といいますか、パターンといいますか、こういうものにつきましては、地震に遭った場所とか、それから時間帯、それから周囲の状況とか、あるいは1人でいるかどうか。いろいろこの時々の状況によって変化するということで、最適な行動パターンがあらかじめ位置づけられていないことがございまして、国等でも、なかなか規範というようなものを一つに当てはめていくということは、現在ではやっておらないのが現状でございます。
 なお、先ほど委員の方から、ホームページ等への掲載等につきまして、御意見ございました。これにつきましても、ちょうど現実的には現在、今のところ取組はやっておりませんが、一つの方法として、そういうことも検討してければというふう考えております。




<質疑>
 本当にいつ起きるかわからないし、どんなところに起きるかわからないわけで、そういった研究は、これ県だけにというのは、確かに大変かもしれないですけれども、国も含めて、これは進めないといけないんじゃないかなというような気はしています。そういう意味では、災害の備えといいますか、いざというときどうするかというのは、やはり一番的確に教えてくれるのが、現実の災害の教訓だというように思います。
 阪神・淡路の大地震から早10年の年月が過ぎようとしているわけでありますが、地震、大災害の経験からも、この教訓が酌み取れるんじゃないでしょうか。例えば、先ほども申し上げましたが、国において、この阪神・淡路の大災害のどういう分析をしているか。教訓等を体系的に取りまとめる、そんな作業は行われているんでしょうか。お聞かせください。

<答弁> 防災対策担当課長
 今の御質問でございますが、国の防災会議の方で、そういう取組を、阪神・淡路の震災と5年経過した時点で、大震災の教訓の情報資料集というような形で、取組は進めております。ただ、その内容につきましては、委員から御提案がありました個別の人のパターン、行動パターンというようなものとは、かけ離れまして、震災によって発生した事態とか、それへの対応、こういうものを関連文献から収集しまして整理したものでございます。
 ただ、これも対応策については、やはり必ずしも正解があるわけではないということから、それに加えて阪神大震災というのは、災害事例であった。こういうことから、普遍的な教訓としては、なかなか取り扱えないんじゃないかということで、あくまでも資料を収集したものの中から、いかに教訓を読み取っていくかということが、その読み手の方に任されているというのが現状でございます。
 例えばそういう中で、やはり阪神・淡路で一番死者が多かったのが、建物倒壊による圧死ということで、そういうものの中から読み取るというと、やはり建物の耐震性を向上させるとか、一般的でございますが、家屋の中の家具等の倒壊を防ぐために固定をさせると、こういうような教訓が得られたじゃないかなと考えております。何しろこの教訓という、400ページぐらいですね。相当なボリュームのあるものでございまして、大変貴重な資料だというふうな形で考えております。




<質疑>
 今、400ページとかそういう教訓集ができているというお話でしたが、それら教訓、かなり膨大な数だと思いますが、この神奈川において、それが実際意識啓発の取組に生かされているのかどうかということがあるんですが、これはいかがですか。

<答弁> 防災対策担当課長
 この教訓、情報資料集の中からの取上げ方ではございませんが、例えば先ほど申しました総合防災センターにおきますパンフレットの中にも、阪神・淡路大震災の5つの教訓というような形で、この教訓を取り入れております。
 それとまた、総合防災センターの、先ほど言いました体験コーナー、展示コーナー等につきましても、阪神・淡路の方を、いろいろ工夫をした形で取り入れた形をとっております。




<質疑>
 いろいろ県民への意識啓発に生かされているということですが、現実に地震に遭遇したときに、我々1人1人がとっさに適切な行動がとれるかどうかというのは、非常に心配な面もあるんですが、そのあたりへの施策というのはあるんですか。

<答弁> 防災対策担当課長
 1つはやはり意識啓発というものを、地道ではございますが、繰り返しやっていくのが一番の効果があるものかなと。そういう意味では、来年阪神・淡路大震災から10周年を迎えるということでございますので、その10周年を踏まえまして、また若干意識が風化しているというような事例も見えますので、もう一度重点的に啓発行為を行っていきたいなと思っております。
 そのほかは、防災訓練等で、これはなかなかその場ですぐ身につくというものではございませんが、やはり訓練を繰り返して行っていくことで、いろいろな知識等を身につけることができますので、そういうものの繰り返しがやはり必要ではないかというふうに考えております。




<質疑>
 今、防災訓練のお話が出ましたが、基本的に防災訓練というのは、市町村とか、あと自治会とか、そういった単位で行われるものが多いのかなというふうに承知しておるんですが、例えば県の防災訓練、住民の参加を得てというのは、これは例えばことし藤沢で県と市のタイアップによって防災訓練がありましたが、ほかにもあるんですか。

<答弁> 防災対策担当課長
 ことし9月に行われました藤沢での県と藤沢市との合同総合防災訓練で行われた実地訓練以外については、県としてはございません。ただし、市町村が行います訓練に資するような県と市町村との図上検討会とか、そういうのはやってございます。




<質疑>
 そういう県と市町村が検討会を行うとかということでお話があって、大変に大事なことだというふうに思うんですね。我々はよく、市でやっている、また私横浜ですから、区で行っている防災訓練、また連合自治会等で行っている防災訓練、よく見させていただくんですが、非常にレベルにばらつきがある。レベルというか、内容ですね、ばらつきがあるような感じがするんですね。ですから一定の均一化といいますか、一定のレベルに、どこの地域の防災訓練も達することができるように、今後もそういう意味では、県がかかわっていっていただけるといいがなあというふうに思っています。
 あと、先ほどの、地震のときの、一刻を争う行動が必要だというふうに、津波の例がありました。本県も非常に長い海岸線を持つ県でありますので、津波を想定した訓練というのはどのように行われて、また、住民がそこにどういうふうに参加しているかということをお聞きしたい。

<答弁> 防災対策担当課長
 津波対策の訓練のことでございますが、県としましては、平成元年以来、これまで9回実施しております。これまでの津波対策訓練は、県内の各地の海岸を想定しまして、  合同で海水浴客や住民の方々の参加を得て、避難の方法等を習得していただく避難訓練などを実地に実施してまいりました。先ほどもございましたが、本年度は、1、2の市町に限らず、全県的に津波対策の充実を図るために図上検討会を6月に実施してきたところでございます。
 津波対策というのは、まず避難が重要でございます。この検討会で迅速な避難を図るために、確実な情報伝達や避難対象者としまして、沿岸近くにいる住民や海水浴客、サーファー、釣り人、ドライバーなどを対象としまして、避難対策の検討会をしてきたところでございます。いわゆる住民に対する訓練としましては、市町等が住民参加の実地訓練を行い、住民に体験を通じての啓発を図っていただくように要請しているところでございます。




<質疑>
 また、地域での防災訓練、拝見していますと、なかなか若い方の参加が少ないのかなというふうに思うこともあるのですが、今後県として、どういうふうに住民の防災訓練の参加について取り組んでいかれるのか、そこのあたりもお聞かせください。

<答弁> 防災対策担当課長
 若い人の防災訓練への参加ということであります。今後、県市町村合同防災訓練におきましては、直接住民を対象としまして、災害時の状況や資機材の取り入れ、住民の方々の実際的防災行動に結びつく訓練を実施してまいりたいと考えております。また、この訓練は展示体験コーナーもありますので、大いに若い人もフリーで来られまして、防災意識の向上を図るように、いろいろ広報等をしている実態でございます。
 そのほかの訓練におきましても、本年度の震災対策訓練などに、県は市町村を巻き込んだ訓練を実施しまして、その結果を踏まえて、市町村が住民対象に行うという方法が、県の役割の上から、効率的に県民の防災能力の向上につながる適切な方法であると考えております。
 また、県が限られた市町村と合同で訓練を実施するに当たっては、その周辺の市町村から、そのようなボランティア等ございます。そういう方も含めまして、市町村に対する普及啓発となるよう、訓練への見学を要請するなどして、広く市町村、さらに県民の防災能力の向上につながるよう、反映してまいりたいと考えております。
 さらに、市町村に対し、住民参加型訓練の実施を明確に呼びかけてまいりたいと考えております。どのような訓練でありましても、県のたよりやポスターなど、広く広報に努めることはもちろん、住民の方々が参加し、自助、共助の観点からできることを体験していただく。それが各人に蓄積されまして、災害発生時にとっさに適切な行動ができるような実践的な訓練になるように取り組んでまいりたいと考えております。




<要望>
 その各地で行われている防災訓練のレベルをどういうふうに高めていくかということも、県の大事な仕事だと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
 ことしは、先ほどからお話の出ている台風の当たり年ということですけれども、地震も多いのかなと。ちょっとさっき調べましたら、10月1日だけで6個の地震が起きているんですね。震度1から3までですけれども。3日に3つ、4日に2つ、5日に、今のところ3つかな。地震、これが実際、例年と比べて多いのか少ないのか、私わからないんですが、地震もかなりの、こう見ると頻繁に起きているんだなあというふうに思います。神奈川の場合は、従来から地震対策には熱心に取り組んでいるのかなというふうにも思っておりますし、また地震災害に対する県民の意識というのも、決して低くはないというふうに思っているんですが、いざというときに、先ほどのお話のように、1人1人が適切に行動できるのかということがすごく大事だろうと。今、被害想定で何千人死ぬとか何万人死ぬというふうに言われていますけれども、それを少しでも被害を少なくすることを考えていかなければいけないし、県民1人1人が自分の命を助ける行動にとっさに出られるかどうかというのは、大変な重大な問題だと思うんです。
 今、気象庁が、ナウキャスト地震情報というのを推進していると聞いたんですが、これは地震は、最初の小さな揺れと、その後に来る本格的な大きい揺れと、二つあるということで、その最初にP波という小さな揺れをキャッチして、震源の位置とか、あと地震の規模を算出すると。それで本格的な揺れが来る、その間、何十秒というその間に、予想の震度とか、横浜で震度幾つだとか津波がどう来るだとかという非常にリアルタイムな震災情報、地震情報を提供する。新聞記事によると、これ気象庁が今推進しているということで、何か今、今までに80箇所ぐらいの、そういうナウキャストという大型地震計というのがつけられて、ことし平成16年度も43箇所分の経費を見込んでいるというようなんですね。そうなってくると、ますますあと、例えば数十秒後に大きい地震が襲ってくるというような、そういう予報が可能になってくればくるほど、その揺れているときに、実際に大きい地震が起きたときに、どういう行動をとれば自分の命が助かるのか、また家族の命を助けることができるのか、まず、そういう、どういう行動をとればいいのかなということが、すごく大事になってくる、また現実味を帯びてくるというふうに思うんですね。ですから、そういった意味で、国の流れもよく見ていただきながら、県としても、県民一人一人が、いざというときにどういう行動をとればいいのか、それをうまくガイドしてあげられるような、そんな仕掛けができるといいなあというふうに思いますので、今後とも被害を最小限に食いとめるための周知徹底、また意識啓発に、さらに取り組んでいただけるように要望いたしまして、私の質問を終わります。