■防災警察常任委員会(7月22日)
<質疑一覧>
 原子力施設の安全対策について
 花火事故の防止について


<質疑>
 先ほど来各会派の委員の皆様から、今回の新潟、福島、福井の水害被災者の方々へお見舞いの言葉がございましたが、私どもといたしましても全く同じ思いでございます。今回の惨状を見るにつけ、予測を超えた事態に備えての防災体制の重要さというものを痛感しているところでございます。
 私からは、大きく2点について質問させていただきます。時間も大分いいころ合いになってまいりましたので、是非当局の皆様には簡潔明瞭な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず1点目は、原子力災害対策についてでございます。
 9日ほど前になりますけれども、7月13日午前11時ごろ、川崎市川崎区浮島にございます東芝原子力技術研究所の臨界実験装置が自動的に停止をいたしました。すぐさま文部科学省から現地に原子力保安検査官が派遣されまして、また県も直ちに現地に職員を派遣したというふうに聞いております。幸い従業員への放射線被爆、また環境への影響はなかったと聞いておりますけれども、本県においてはほかにも原子力関連施設が立地しておりますし、こうした施設においての事故等から県民を守るためにも、日ごろの原子力災害に対する備えが重要であると考えております。
 そこで、原子力災害対策について何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、今回の東芝原子力技術研究所の事案というのはどのようなものだったのか、その概要をお伺いしたいと思います。

<答弁> 酒井災害対策課長
 先週の7月13日に事故が起こったわけでございますけれども、事業者が実験を行うために原子炉を起動しまして出力を上昇させたところ、中性子検出器の1台において、安全運転のためにあらかじめ定められた設定値を超えた値が検出されたために、炉内の安全盤が自動的に作動しまして、炉内の水が抜かれず自動停止に至ったというような状況でございます。
 この臨界実験装置の6台に中性子の検出器がついておりまして、他の5台の検出器の指示値には全く異常がなかったということで、1台だけ異常が見つかったということで、現在原因を究明しているところでございますけれども、推測によりますと、原子炉本体からのものではなくて、検出器が湿気によりまして作動したためにこういう事故が起こったということでございます。現在原因を究明しており、今月末にはその結果を文部科学省に報告するということを聞いております。




<質疑>
 神奈川県内には、今お話しがあった東芝の臨界実験装置以外にどのような原子力施設があるのかお伺いいたします。

<答弁> 酒井災害対策課長
 原子力災害対策特別措置法という法律がございまして、その法律の対象となる施設が4箇所ございます。1つは核燃料加工施設でございまして、これは横須賀市にございますグローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンというもので、ここで二酸化ウラン粉末を形成して加工しまして、原子力発電所に使用される燃料体を製造しております。
 次に、試験研究原子炉施設でございますが、先ほどの事故がありました川崎市浮島の東芝の原子力技術研究所、これは熱出力200wの臨界実験装置でございます。同じ敷地内に東芝の研究炉管理センターがございまして、ここでは熱出力100kwの原子炉がございます。この原子炉につきましては、設置目的を達成したということから既に国へ解体届を出しているという状況でございます。
 またもう1つ横須賀市にございます立教大学の原子炉でございますが、これが熱出力100kwのものでございまして、これも当初の設置目的を達成したということで、15年8月には既に使用済みの燃料を国外に搬出しております。今申しましたこの二つのものにつきましては、現在文部科学省から原災法の適用除外の指定を受けていないということから、いまだに法の適用施設となっているという状況でございます。
 また、このほか法の対象になっていない施設としましては川崎市にございます武蔵工業大学の原子力研究所、それから川崎市麻生区にございます日立製作所の原子力事業部の王禅寺センターというところにまだ解体されたものが残っているという状況であります。




<質疑>
 そういうことで、確認いたしますけれども、今運転している原子力施設というのはどこですか。

<答弁> 酒井災害対策課長
 現に動いているのは、事故を起こしました川崎市浮島にございます東芝の原子力研究所の施設でございます。




<質疑>
 東芝原子力技術研究所の施設についてですが、平常時はどのような安全対策が講じられているんでしょうか。

<答弁> 酒井災害対策課長
 この施設の安全確保につきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、一般的に炉規法と言っていますけれども、この法律に基づきまして国が事業者に対して検査を実施したり、事業者自ら検査を実施するというような形をとっております。
 まず、国の原子力保安検査官による検査でございます。これは川崎にございますオフサイトセンターに常駐している検査官でございますけれども、年1回、施設の水質検査を行っております。また、保安検査という検査を年4回実施しております。施設の定期検査と保安検査については、その結果を国がそれぞれ公表することにしております。さらに保安検査官につきましては、原子力施設内を週1、2回程度巡視して、例えば安全な管理状況の記録の確認や自主検査の立ち会い、こういうものも行っているということでございます。
 また、事業者による検査でございますが、これは法に基づきまして施設の検査を実施しておりまして、その検査結果についても保安検査結果として公表しております。基本的には、原子力施設の安全規制は国の所掌事務でございますので、県には法律上このような検査を行う権限はございませんけれども、県民の安全確保に万全を期すために、平成12年3月に、県内の3箇所の原子力関連施設と安全確保に関する協定というものを締結しておるところでございます。




<質疑>
 仮に原子力災害というものが発生した場合に、国と県と市と事業者と、それぞれどのような対応をすることになっているんでしょうか。

<答弁> 酒井災害対策課長
 先ほども答弁いたしましたが、特に県内には2箇所のオフサイトセンターというものを設けていまして、川崎に1箇所、横須賀に1箇所でございます。そこに国の現地災害対策本部というものが、災害が発生した場合には設置されます。そこに国、県、市、事業者、こういう関係者が一堂に会しまして、相互に連携をとり合って行われたり、それから避難、応急対策を行うと、こういうような対策を迅速かつ的確に講じることにしております。
 災害時の初動体制においては、国は、オフサイトセンターに常駐しております先ほどの原子力保安検査官が中心となりまして、緊急モニタリング結果の評価、災害状況の把握、それから住民がとるべき措置に関する支援、助言、こういうような業務を行うことになっております。
 県、市は、それぞれ災害対策本部というものを設けまして、国の災害対策本部、それからオフサイトセンターにあります現地対策本部、こういうところと連携して緊急時のモニタリングを実施したり、医療救護活動を実施したり、あとは住民の避難誘導、それから避難所の運営、こういうような応急対策を実施することにしております。
 また、事業者につきましては、基本的には先ほども申しましたように、国、県、市、それから事業者ということで連携してやらなければいけませんので、実際にオフサイトセンターに来ていただきまして、情報の共有をするとか詳しい情報の提供を求めるとか、そういうものの対応をしていただくということになっております。




<質疑>
 いざというときには、オフサイトセンターに国と県と市と事業者が一堂に会してというお話だったんですけれども、有事の際というか、何かあったときのシミュレーションみたいなものは、常に想定して対策を考えているのか。
 また、日ごろの訓練というのはすごく大事だと思いますが、実際に国と県と市と事業者が連携をして、原子力災害に対する防災訓練というものは行っているんでしょうか。そのあたりの実施状況、防災訓練の実施状況とか、また成果とか、残されている課題とか、そういうものがありましたらお答えいただきたいと思います。

<答弁> 酒井災害対策課長
 まず訓練の実施状況でございますけれども、先ほど申しましたように、横須賀、川崎、それぞれオフサイトセンターがございますので、そこを活用しまして、平成13年度に横須賀市と合同で訓練を実施しております。また、昨年15年度には、川崎市と合同で、川崎市と合同ということは、事業者も含めてという意味合いでございますが、訓練を実施しております。それでまた、横須賀市が毎年、原子力災害の防災訓練を実施しています。ここにも、県としても毎年訓練に参加して、実際の連携を図っているところでございます。
 課題といたしましては、やはり実際に放射線量などのモニタリングをしなければならないというところで、資機材の取り扱い、こういうものはなかなか日常できないわけでございますけれども、実際に訓練でそういうことをやりますと、なかなか1回の訓練では習熟し切れないものであるというような課題がありますので、今後、適時個別の訓練を実施していきたいなと考えております。
 また、より迅速、的確な対処のために、やはり原子力に対する職員の知識というものも必要でございますので、研修会の参加等を通じまして、そういう職員の知識の向上も図っていく必要があろうかと思います。
 成果でございますけれども、実際に訓練をやりまして、情報の受伝達、あるいはオフサイトセンターの初動の立ち上げ、こういうものにつきましては、3回程度やっておりますので、大変手順ができ上がってきたなというように感じております。それとまた、そういう訓練を通しまして関係機関との連携、こういうものも図られてきたのではないかと考えます。




<質疑>
 いい方法でございますけれども、本当に原子力災害というのは万が一にもあってはいけないというふうに思っておりますが、それから県民を守っていくためには、施設周辺のモニタリングポストを活用して、日ごろから監視体制をしっかり整えていくということ、また、今お話がございましたオフサイトセンターを中心とした国、市町村、そして原子力事業者との連携が大変重要であるというふうに考えております。
 今回の東芝原子力技術研究所の事案というのは、幸いにして極めて軽微な不具合にすぎなかったということが分かったわけですが、ほかの災害も確かに恐ろしいんですが、原子力災害というのは底の見えない不気味さがありまして、県民、国民が非常に不安に思っていることでもございますので、今後も是非油断をせずに、緊張感を持って引き続き原子力防災対策に当たっていただくよう御要望をさせていただきます。
 2点目は、花火大会の安全対策ということでございます。今、花火、シーズンたけなわでございます。また、最近は夏とは言わず、例えば大晦日のカウントダウンですとか、屋外のコンサート会場で打ち上げるなんていうこともあります。ただ花火というのは、当然ながら危険がつきものでありまして、この時期になると必ずと言っていいほど、新聞紙上に花火で事故の記事が載るわけでございます。大会でなくても、最近はサラリーマンが花火師の資格などを取って、プライベートな花火大会を行ったりとかということも盛んになってまいりました。
 そこで、花火の打上げに関する手続でありますとか、また神奈川県の花火に対する安全対策ということについて、幾つか伺いたいをさせていただきたいと思います。
 まず花火の事故なんですけれども、ここ数年の全国、そしてまた神奈川県の事故の発生状況について、主たるもので結構でございますので、お伺いしたいと思います。

<答弁> 工業保安課長
 御質問の花火大会等で打ち上げられる花火、これにつきましては、これを規制している火薬類取締法では、煙の火と書きまして「煙火」というふうに読んでおります。全国におけます最近5年間の煙火の事故発生状況でございますが、平成11年が21件、12年が23件、13年が28件、14年が20件、15年が22件というふうになっております。
 なお、県内におきましては、直近の事故が平成6年8月でございまして、その後約10年間、煙火の事故は発生しておりません。
 主な事故の事例ですが、昨年8月に鳥取県で死亡事故が発生してございます。これは納涼祭りで花火を打ち上げていたところ、花火を打ち上げる筒の中で、直径15cmほどの不発の玉が暴発をいたしまして、近くにあった83発の玉に誘爆したということで、この打上げに当たっていました従業員の方1名が亡くなって、ほかにも1名の方が負傷したというような事故がございました。
 今年に入りましては、県内では事故は発生しておりませんし、全国的にも、燃えかすが観客の目に入った程度の軽い事故が3件ほど報道されているといった状況でございます。




<質疑>
 花火の打ち上げについては、その規模によって様々な許可というものが必要になってくると思うんですが、許可件数というのは年間どのぐらいあるものなのでしょうか。また、その許可を得るためにはどんな手続が必要なのかも、あわせてお伺いしたいと思います。

<答弁> 工業保安課長
 委員のお話のとおり、一定数以上の煙火を使用する場合、例えば直径6cm以下の小さな球ですと50個を超えるような、それぞれ件数が決められておりますが、そうした場合には、法律に基づきまして都道府県知事の許可が必要となってございます。平成15年度に本県で許可した件数は101件となってございまして、近年、大体この程度の件数で推移してございます。
 次に、許可についての手続ですが、まず事前に相談をお受けするということにしてございまして、花火大会の主催者の方に、県でこういった手続等々ですとか提出書類、それから安全対策等について説明をした手引きというものを作成してございます。この手引きをお渡しして、そういった事項のいろいろ御説明をまずさせていただく。そして主催者から許可申請書が提出されましたら、公安委員会に意見を照会して、地元の警察署と合同、また状況によっては消防との合同で現地調査を実施しまして、花火の打ち上げ場所ですとか方法、それから観客席、建物との距離、当日の警備体制や連絡体制、こういったことを確認して、これらが法令あるいは県で定めた基準に合っているかどうかといったことを審査した上で、許可を行っております。




<質疑>
 今、花火大会の現場の立入検査も行っていると。また主催者に対する指導も行っているということがありましたけれども、その内容について改めてお伺いしたいと思います。

<答弁> 工業保安課長
 主催者に対する指導という中で特に私ども重視してやっておりますのは、保安距離の確保ということでございます。保安距離といいますのは、法令では花火を打ち上げる場合に、通路、人の集合する場所、建物等に対して安全な距離をとることというのが定められておりまして、この安全な距離、これを保安距離というふうに申しております。県では、打ち上げる花火の種類ですとか大きさ等によって、それぞれ具体的な保安距離の基準を定めております。例えば、打ち上げ花火で直径9cmのものですと、もう140m。30cm、いわゆる尺玉というやつですけれども、それですと300mの保安距離が必要というような基準を定めておりまして、この距離を確保するということを特に重点的な指導として行ってございます。
 このほか大雨ですとか強風、そういった悪天候の場合、花火大会の開催中止の判断を的確に行っていただく必要がございますので、そういった指導もしてございますし、花火大会全体の警備、これについては警察署によく相談するように、また火災予防については、消防の方に届け出を行って指導を受けるようにというようなことを指導いたしております。許可時においてこういった指導を行いますとともに、許可後においても、当日現場において立入検査を実施して安全確保に努めております。




<質疑>
 今様々なお話がありましたが、これは打ち上げる現場でのいろいろな指導とか規制だとかということだと思います。以前、花火工場が火事になって大変な災害になったというニュースも見たことがありますが、そういった事例というのはどのぐらいあるんですか。

<答弁> 工業保安課長
 花火工場での事故の事例でございますが、県内では昭和51年以降、事故は発生してございません。全国では、最近5年間で言いますと、平成11年はゼロ、12年が1件、13年がゼロで14年が3件、15年1件と、この程度の件数でございますが、今、委員からお話しのように、昨年4月に鹿児島県で非常に大きな事故が発生してございます。この事故は鹿児島市の花火工場で起きまして、火薬の配合所、一時置場等々が爆発して、従業員の方9人が死亡、1名は重体で、その15日後にこの方も亡くなられたと。さらに2名の方が軽傷。従業員以外の周辺の住民方1名が重傷、1名が軽傷。花火工場だけでなく周辺の建物にも被害が及んだという非常に大きな事故がございます。この事故は火薬の配合中に静電気などの何らかの原因で爆発が起こったのではないかと推定されておりますが、非常に被害が大きくなったということから、原材料庫ですとか一時置場等に、法律で認められている以上の火薬類を保管していたということも考えられております。




<質疑>
 今のお話は他県の例ではありますけれども、大変大きな事故だというふうに思います。神奈川県内に花火工場というのはどれだけあるのか、ちょっと私も承知していないんですけれども、こういった他県での大事故を受けて、神奈川県として、花火工場に対して何らかの指導はなされたんでしょうか。

<答弁> 工業保安課長
 鹿児島県でのこの事故の発生の情報を受けまして、直ちに県内で花火、それからコンビニなんかで売っています、いわゆる玩具煙火、おもちゃ花火という、そういったものを製造しております工場、これは6工場ございます。この工場に対して直ちに注意を喚起いたしまして、また6工場について立入検査を実施いたしました。そして火薬類の使用状況ですとか保存量、それから静電気の防止措置など、法令で定められています基準との適合状況の確認を行いまして、法令違反はなく、適正であったということを確認してございます。
 その後の対応でございますが、これら6工場を含めまして火薬類の製造所につきましては、毎年県が保安検査を1回と立入検査を2回実施しております。また事業者自ら定期自主検査を年2回行うこととなっておりまして、こうした検査を通じて保安の確保を図るということをしてございます。
 また、国においても昨年の鹿児島県の大きな事故を受けまして、静電気防止対策等を内容といたします火薬類取締法の省令施行規則、これをことしの3月31日付で改正いたしました。そこで先月、6月29日に、事業者と行政の合同研修会というものを開催いたしまして、この省令改正の内容等を説明いたしまして、事故防止の徹底を改めて図ったというところでございます。




<要望>
 今お話を伺っておりまして、神奈川県では、最近では花火工場でありますとか花火大会での事故が発生していないということで、大変心強く思ってはおります。主催者、打上業者、また花火製造業者、そして神奈川県が、それぞれの立場で安全確保に努めてきた成果ではないかというふうに私も思っております。
 全国的には、先ほどのお話にもありましたが、事故が毎年のように起こっているという状況にありますので、今後も花火の大会の主催者、製造業者、打上業者に対しての指導、そしてまた保安啓発に引き続き努めていただきまして、県としても、県民や観光客、その皆様が安全に、そして安心して花火大会を楽しむことができるように、引き続き安全対策に取り組んでいただきたいと御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。