条例が先か、「禁煙思想」の普及が先か。
人に危害を及ぼす喫煙がダメなことはわかるけど。
(4月1日)
 私はたばこを吸わない。正確に言うと、お酒を飲んだときなど、ゆっくりとたばこや葉巻を味わってみたくなるときがある。それでもせいぜい月に2〜3本だ。
 だから、個人的には全ての施設が禁煙になっても、別段困らない。むしろ、おいしい食事はきれいな空気の中で楽しみたいと思うし、列車も禁煙車両を選んで乗ってきた。
 当然、他人のたばこの煙を吸わされたり、においを嗅がされたりするのはまっぴらという人たちの気持ちはわかるし、それと同じくらい、一杯やるときまで目くじら立てなくてもいいじゃないかという心情も理解する。
 去る3月24日の本会議で「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が成立した。
 知事原案に対し、さまざまな立場の県民から寄せられた意見を反映させた修正案を議会側がまとめ、自民、民主、公明、県政会、共産、神奈川ネットなどの賛成を得て可決、成立したものだ。
 修正案は「公共的施設」を、施設の性質によって「第1種施設」(病院、学校、劇場、官公庁など)と「第2種施設」(飲食店、ホテル・旅館、カラオケボックスなど)に区分した上で、「第1種施設」は禁煙、「第2種施設」は禁煙又は分煙を選択(2分の1以上は禁煙)とするが、「第2種施設」のうち次の施設は「特例第2種施設」とし、この条例による規制は努力義務とした。
  1. 調理場を除く床面積が100平方メートル以下の小規模飲食店及び床面積700平方メートル以下の宿泊施設。
  2. パチンコ店、マージャン店など風営法対象施設。
 また、条例の施行は来年4月からだが、罰則の適用は、十分な周知を図るため、1年後の再来年4月からとなった。
 完全なる禁煙社会を目指している人にとっては大いに不満だろうが、法や条例は大多数の人びとの理解を得なければ、円滑な運用はおぼつかない。たとえば、喫煙依存症のみならず、喫煙行為そのものが病気であり、喫煙者は患者であるという考え方は、医学的に真実であったとしても、わが国の「禁煙思想」の現状を考えると”先進的”すぎるだろう。
 ビートルズの名盤『アビイロード』のジャケット写真で、ポール・マッカートニーが指にたばこを挟んでいるのがけしからんと、アメリカではCG処理でたばこが消されたらしいが、日本の「世論」は、これについてどんな反応をするのか、ぜひ聞いてみたい。