これじゃ無法地帯になるわけだ。

(2007年2月)
 2月5日、文部科学省は都道府県・政令市教育長等への通知の中で、体罰についての考え方を示しました。(「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」
 教育再生会議の第一次報告(1月24日)には、「暴力など反社会的行動を繰り返す子どもに対する毅然たる指導、静かに学習できる環境の構築」を実現するため、旧法務庁から1948年に出された体罰についての考え方を見直すべきであるという主張が盛り込まれていましたが、これを受けての通知とも考えられます。
 内容を見ると、「いかなる場合においても、身体に対する侵害(殴る、蹴る等)、肉体的苦痛を与える懲戒(正座・直立等特定の姿勢を長時間保持させる等)である体罰を行ってはならない」と、従来どおり体罰を禁じていますが、一方で、
● 放課後等に教室に残留させる
● 授業中、教室内に起立させる
● 学習課題や清掃活動を課す
● 学校当番を多く割り当てる
● 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる
等は体罰に当たらないとしています。そして、通達の最後には、授業中に携帯電話を用いてメール等を行っている児童生徒から、携帯電話を取り上げ一時的に預かり置くことは、教育上必要な措置として差し支えない、ともあります。(ただし、「保護者等と連携を図り」という条件付き)
 どの項目も、私には至極真っ当なものと思えるのですが、皆さまはいかがでしょう。しかし、逆から見れば、これまでは、こんな当たり前の「懲戒」さえ、許されなかったのです。教室が無法地帯と化すのも、わかるような気がします。
 授業中の携帯電話の使用については、私も今年度の文教常任委員会で取り上げました。ある県立高校の授業を覗かせていただいたとき、先生の目の前で携帯を取り出しメールやゲームに興じている生徒を目撃。先生は、さして気にするふうでもなく、授業を進めています。ほうっておくのが一番という考えも理解できないわけではありませんが、それでは教育の放棄にも等しいと思うのです。なぜ、取り上げられないのか。教育委員会の見解は、「携帯電話には個人情報が詰まっているので、勝手に預かれない」「以前、一時的に取り上げたら、後で保護者に怒鳴り込まれた」……。ま、今回、通達も出たわけですから、これからは遠慮なくビシビシ「預かって」やってください。