盲ろう者への支援について


<質問要旨>

 盲ろうという障がいが、未だ身体障害者福祉法に規定されていないこともあり、当事者の困難がまだまだ多くの県民に理解されていないと感じている。盲ろう者の社会参加をさらに促進するためには、より一層、普及啓発に取り組むことも必要と考える。
 本県は、当事者目線の障がい福祉を推進し、地域共生社会の実現を目指しているところだが、「神奈川県盲ろう者支援センター」の開設から5年が経過する今こそ、将来を見据え、最も重い障がいであるともいえる盲ろう者の目線に立って、さらに踏み込んだ支援を進めるべき時ではないかと考えている。

 そこで、県として、盲ろう者への支援のより一層の充実を図る必要があると考えるが、どのように取り組んでいくのか、所見を伺う。


<答弁> 黒岩知事

 視覚と聴覚の両方に障がいのある盲ろう者は、令和5年3月末現在、県内に476名で、県は、盲ろう者の総合的な支援拠点である、盲ろう者支援センターを令和元年9月に設置し、相談支援等を行っています。
 昨年度は、当事者やその家族からの、延べ570件の相談に対応し、支援の中心となる通訳・介助員を延べ3,410名派遣しました。
 また、通訳・介助員の養成を進め、現在、センターに登録されている通訳・介助員は、昨年度の養成研修の修了者24名を新たに加え、390名となっています。
 しかし、盲ろう者のニーズに対応するためには、通訳・介助員の養成を今後も進めていく必要があります。
 あわせて、一人ひとり異なるコミュニケーション方法に応じて、適切に支援できるようにするため、通訳・介助員のスキルアップも図っていく必要があります。
 また、県が設置する、障がい当事者のみで構成する会議では、盲ろうの当事者委員から、「盲ろうを知ってほしい」、「盲ろうという障がいをしっかりと定義してほしい」といったご意見をいただいています。
 そこで、県は、一人でも多くの方に通訳・介助員になってもらえるよう、視覚障がいや聴覚障がいの関係団体、福祉関係の学校などに、養成研修への参加を積極的に呼びかけていきます。
 また、資格取得後に受講する現任研修に当事者の声を反映して、プログラムの充実を図ります。
 さらに、当事者からいただいたご意見を踏まえ、より一層の理解促進を図るとともに、盲ろうの定義の確立に向けた検討を、国に働きかけてまいります。

<要望>
 盲ろう者への支援について、5年前に中区山下町の合同庁舎に、盲ろう者支援センターを作っていただきました。当初は、面談による相談の他に、当事者や当事者団体が打合せなどで利用できるように、個室の貸し出しも行うということにしていたと記憶していますし、そういう報道もありました。ただ、横浜市西区岡野にある合同庁舎に移転した今では、特定の団体が会議などで使用することはできない、とされてしまっています。また、以前の山下町の庁舎と比べると駅からもやや遠いですし、当事者が最も多い横浜にせっかく開設した支援センターなのですが、当事者の方々からは、開店休業状態だと言われることもあります。
 財政面も職員の数も違う東京都との比較は本意ではないのですが、東京都のセンターは、先ごろ移転・拡充しまして、ゼロから18歳、生まれながらに、あるいは生後間もなく盲ろうになった子ども、物に名前があることさえ認識することが難しいわけですが、親もどう関わってよいか戸惑うことも少なくない、当然、教育や療育にも独自の専門性が求められるわけですが、そうした子どもたちへの相談機能、支援機能も持たせるようになったのです。
 また、盲ろう者に特化した地域作業所というのは県内に1か所、横浜市神奈川区の反町にありますけれども、多くの盲ろう者の方は遠方から通っています。作業所への通所には同行援護が使えないのです。そういう仕組みもどうかと思いますが、信号も見えない、自動車の音も聞こえない、そんな状態で通ってくる当事者の怖さを想像すると胸が苦しくなります。これは何らかの支援を考えていただくよう、知事に強くお願いをしたいと思います。