原材料価格の高騰が続く中、中小企業が収益を確保し、事業を継続・発展させていくためには、取引先との価格交渉で、仕入等のコストの増加分を適切に転嫁することが重要です。
県ではこれまでも、発注側の企業に対し、下請企業との取引に際して買いたたきを禁止することなどを規定した、いわゆる下請法を遵守し、適正な価格決定に十分配慮するよう要請してきました。
また、公益財団法人神奈川産業振興センター、KIP(きっぷ)では、「下請けかけこみ寺」を設置し、下請企業からの価格交渉の相談等に幅広く応じています。
こうした取組に加え、県は企業間取引の適正化を進める「パートナーシップ構築宣言」の普及を通じて、中小企業がコストの増加を適切に価格転嫁できるよう、今年2月に、県内経済6団体と連名で、県内企業に対し緊急要請を行いました。
また、この宣言を行った企業に対するインセンティブとして、ビジネスモデル転換事業費補助金の審査において加点措置を講じるとともに、新たな制度融資を創設するなど、宣言のさらなる普及と実効性の向上を図っています。
こうした取組の結果、本県の宣言企業数は、要請前の769社から2倍以上の1,778社に増加し、中小企業が価格転嫁しやすい環境が整備されたものと考えています。
今後は、9月の価格交渉促進月間に向けて、広報・周知を強化するとともに、下請企業が価格転嫁するためのノウハウや、価格交渉の際に必要となる資料作成支援ツールなどを取りまとめ、ホームページで公表します。
さらに、商工会・商工会議所が個別に企業を訪問する際、経営者から価格転嫁の状況をヒアリングし、課題がある場合は、KIP(きっぷ)の専門家相談窓口につなげ、着実に解決できるよう、支援機関との連携を強化します。
こうした取組により、厳しい経営環境にある県内中小企業をしっかりと支援してまいります。