債権管理の適正化について


<質問要旨>

 平成26年に「神奈川県債権管理条例」を制定し、債権管理の適正化を進めてきた結果、収入未済額が減少傾向になるなどの成果が出ている一方で、令和3年度包括外部監査では、遅延損害金の調定・徴収の未実施、放置による時効完成、債権管理事務の停滞、支払督促の申立てによる債務名義取得後の不適切対応等が指摘されている。
 これらの要因としては、債権回収の知識等を身に着けるには時間がかかること、福祉給付関係業務を担当する職員が債権回収を行うことの難しさ、所管課の求めにより行われる支払督促以外は所管課が長期にわたり管理し、第三者のチェックが入りにくいこと等が挙げられる。
 こうした要因を取り除くためには、債権の管理・回収体制を一定程度見直すことも求められるのではないか。

 そこで、債権管理の適正化に向け、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 県では、債権管理の一層の適正化を図り、健全な行財政運営に資するため、平成26年に「神奈川県債権管理条例」を制定し、債権の管理・回収について取組を進めてきました。
 こうした中、令和3年度の包括外部監査では、遅延損害金の調定・徴収の未実施や債権管理事務の停滞、支払督促後の強制執行の未実施といった指摘を受けました。
 これらの指摘の背景として、困難事案に対する職員の知識・経験が十分ではなく、また、組織的な執行管理にも問題があったことが主な要因と考えています。
 債権の管理・回収を適正に行うためには、貸付等を行う際に、制度の趣旨や具体的な返済方法を債務者に説明し理解を求めること、そして、滞納となった場合には、速やかに折衝を行うとともに、組織としてその後の経過を管理することで、滞納を長期化させないことが重要です。
 そのため、経験が浅い職員でも実務に早期に対応できるようハンドブックを作成し、人材育成に努めてきました。
 今後は、ハンドブックを適宜充実させるとともに強制執行など実務に沿ったテーマによる研修を実施し、引き続き債権の管理・回収を担当する人材の育成に取り組んでいきます。
 また、包括外部監査では、回収可能性が低い債権については、柔軟に債権放棄をして、限られた資源を回収可能性の高い債権に集中させるべきとの指摘もされています。
 債権管理条例では、時効期間が経過し、債務者の所在が不明な場合など、将来にわたり回収が見込めない債権については、これを放棄できる旨を規定していますので、今後は、この規定を積極的に活用するなど、効率的な債権管理を徹底していきます。
 併せて、組織的な対応を強化するため、関係所属が連携したプロジェクトチームなど体制を整え、困難事案や停滞案件の解決に向け、債権管理の適正化に取り組んでいきます。


<要望>
 包括外部監査では一元的な管理を求める意見もございましたけれども、本県ではこれを経験したうえで、現在の事業所管課の中心の管理・回収体制になったと承知をしています。
 債務の特性や事情をわかっている所管課の方が管理・回収がうまくいくということですけれども、反面、質問の中でも申し上げましたけれども、福祉的な目的で貸し付けたものを、同じ部署の職員が回収することにやりにくさを感じる場合もあるのではないかという風に思っています。
 今回、関係所管課でプロジェクトチームなど、そうした体制を整えるということでございますので、ぜひ総務局専門チームの強力なサポートをお願いしたいと思っています。