6.県営住宅ストック総合活用計画について


<質問要旨>
 県営住宅は、県の負担も大きいが、居住福祉という観点から、いつの時代でも必要な存在である。
 今回、緊急財政対策の取組の中で、県営住宅ストック総合活用計画が9月に改正されたが、既に建替えに着手している団地についても、見直しを行ったと聞いている。県営住宅全体の中で、建替えについて見直すことはあるだろうが、老朽化が進み、建替えを行っている団地の見直しまでを行うことは、現実離れだと感じる。
 状況の変化に対応する必要はあるが、計画の見直しの度に建替え事業が見直されたり、時期が変更されることがあれば、不安を持つ入居者がいるのが現実である。

 そこで、今回改正された県営住宅ストック総合活用計画においては、緊急財政対策としてどのような取組が盛り込まれているのか、また、現在行っている建替え事業に影響が出るのかどうか、伺いたい。


<答弁> 黒岩知事
 県は、今年9月、県営住宅の供給の基本方針を定めている、県営住宅ストック総合活用計画を改正し、これからの10年間で、県営住宅の効率的な利活用を図るとともに、住宅に困窮する方へ的確に供給していくこととしています。
県営住宅の経営は、県による直営方式が、民間借上方式などに比べて、低金利で資金が調達できるため、財政健全化に有利ですが、収益の出にくい収支構造であることから、改正後の計画では、緊急財政対策として、3つの手法で経営資源を見直すことにしました。
 1点目は、効率的な団地配置を目指すもので、入居者に団地内や、近隣の団地へ住み替えていただき、入居者がいなくなった建物を除却することにより、建物の集約化や、団地の統合を進めます。
 2点目は、部分建替えという手法を導入し、建替えをしない建物に住み続けたい、という入居者のニーズにも応えられるような、団地整備を行います。
 3点目は、余剰地の活用です。集約化や統合、建替えによって生まれる余剰地については、地域の実情に応じて、保健・医療・福祉サービスを提供する施設の用地として活用したり、民間事業者などに売却いたします。
 次に、現在行っている建替え事業見直しの入居者への影響についてです。既に建替えを行っている団地でも、建物の集約化や団地の統合といった見直しを行っていますが、入居者への影響については、十分に配慮しています。
 例えば、建替えを行っている旭区内の万騎ヶ原団地では、既に団地の自治会にお示ししている計画どおり、建替え前より大きな建物を建設し、これまでの入居者には、新しい建物に引き続き入居していただくこととなっていますので、影響はありません。
 増えた部屋には、新たに入居者を募集するのではなく、近隣の団地の入居者を受け入れて、団地の統合を進めることとしております。
 各団地の建替えは、県の財政状況や事業全体の進捗状況を考慮しながら、進めていく必要があります。
 県としては、今後とも、団地自治会や入居者に、建替えの内容や時期を丁寧に説明しながら事業を進め、住宅セーフティネットの役割を、しっかりと果たしてまいります。


<再質問>
 緊急財政対策がどのようにこのストック総合活用計画に反映しているのか、その方向性については理解させていただきました。
 私の地元の旭区万騎ヶ原団地について言及をさせていただきます。
 基本計画はもう準備できていて、1期から4期までの工事を進めて行くに当たっては実施設計をしなければいけない。その実施設計は、いわゆるストック総合活用計画の改定を待ったわけです。改定を待つというのは、その改定に緊急財政対策が反映されるから、それを待ってという話しだったそうです。
 今年度の下半期に実施設計の発注がずれ込んで、その為にいわゆる期またぎの形になって遅れていくわけです。
 住民の方々は、自分たちが知っていた計画からは、遅れて行っているという印象ですし、遅れているどころか、実際着工はいつになるかわからないという状況に置かれているわけです。入居者に影響はありません、というお答えをいただきましたが、私は時間的な影響が出てきてしまってきているのではないのかと思います。
 住宅のセーフティネットはやっぱり他の県民利用施設と同列に考えられないものがあると私は思っております。
 住宅政策に緊急財政対策の影響が及んでいることに対して、時系列において、大変にでていると思っていますが、知事の見解を尋ねます。


<答弁> 黒岩知事
 この旭区内の万騎ヶ原団地の件ですけれども、説明不足といったところを感じざるを得ません。
 この緊急財政対策を進めていく中では、入居者の皆さんにご迷惑をおかけしないということの配慮をしているわけでありますけれども、現場で、実際にそういうメッセージをしっかり出していたかどうかといったこと、そのあたりが若干不十分だったのかなと思わざるを得ないので、しっかりと検証し、今後にはしっかりと活かしていきたいと考えております。
 この住宅のセーフティネットというのは非常に大事なことだと私は思っております。
 この場ではお話ししませんでしたが、この老朽化した公営団地というのは高齢者の皆さんが集中的に住んでいるということであるならば、逆にそれを安全安心の場に換えていく。医療・福祉を現場に持ち込むということで、健康団地というコンセプトも出しているわけでありますから、このあたりを皆様と議論を深めながらしっかりとした安心安全の拠点に育てていきたいと考えております。
<要望>
 県営住宅の施策というのは、福祉的な要素を多分に含んでおり、大変お金がかかることだとは思いますが、しっかりと、大切であるということは知事もご認識いただいていると思います。
 今後もしっかりと取り組んで行っていただきたい。