■平成25年第1回定例会 議案の採決に先立ち、討論を行いました。 (平成25年3月25日)

 <賛成討論>
 3月25日(平成25年第1回定例会最終日)議案の採決に先立ち、討論を行いました。

 私は、公明党神奈川県議会議員団を代表し、定県第1号議案 平成25年度神奈川県一般会計予算およびその他の諸議案について、所管常任委員会の審査結果に基づき、賛成の立場で討論を行います。あわせて、県政の諸課題についても意見と要望を申し述べます。

 臨時特例企業税について

 臨時特例企業税の創設にあたって、県は、総務省などと協議して公平な税制度の設計を進め、平成13年6月22日に総務大臣の同意を得て、同年8月1日から施行したと承知しています。
 国と綿密に協議し、地方税法に基づいて総務大臣の同意も得ていながら、敗訴ということになるのであれば、地方自治体は課税自主権を行使することに躊躇せざるを得なくなります。本県の使命として、地方自治体の課税自主権を保証する法整備を、国に強く求め続けていくべきであると考えます。

 緊急財政対策について

 県立図書館の統合、廃止を巡る迷走は、県民の県政に対する信頼をさらに揺るがす結果となりました。これまでも、県有施設の原則廃止という方針は、その発表の方法や手順を間違えると、県民の反発を招くだけで、大山鳴動鼠一匹になりかねないと指摘してまいりましたが、今回の県立図書館についても結局、大ナタは振るえず、迷走の跡だけが残りました。
 なぜ、毎回といっていいほど、このような混乱が起きるのか。私どもは、指摘すべき点が二つほどあると考えます。
 一つは、見直しの基準が明確になっていないため、いたずらに不安が煽られてしまうという点です。これについては、6月議会に明確な基準を提出するよう、あらためて要望します。
 二つ目は、「取材不足」ではないかということです。県立図書館について、知事は過日の予算委員会で、「県立の2つの図書館の貸出冊数は、県内の公共図書館全体の0.36%で、あまり利用されていないと思った」という趣旨の発言をされています。
 このところ打ち出される県の政策には、ややタイトル先行、見出しジャーナリズム的な印象を受けることがあります。それでも何とか、タイトル通りの記事が作れればよいのでしょうが、取材を進めていくうちに、現実とズレが生じてきます。これは、最初に結論ありき、タイトル先行で記事を作ろうとすると、まずは予定した結論を導きやすい、都合の良い情報ばかりを取り入れようとするからです。初めから、逆のトレンドを示す情報をしっかり押さえた上で筋書きを構築していれば、迷走や混乱は避けられます。反対論も想定しつつ、多面的な取材で確証を得てから発信しても遅くはないのではないか、と申し上げておきます。

 防災施策について

 東日本大震災の経験からも明らかですが、大規模な災害が発生した場合、被災地では、地元自治体だけでは対応能力に限界があります。県として、広域応援部隊の活動が円滑に展開されるよう、受援体制をしっかりと構築していただくことを要望します。
 さらに、東日本大震災から2年が経過する中で、被災地からの県内避難者を取り巻く状況や抱える問題も多様化しておりますので、避難者それぞれの状況に合わせた支援を継続し、避難者の自立促進と被災地の復興に貢献できるよう努めていただくことを要望いたします。

 若者サポートステーションについて

 長い間就労していない若者が職業的自立を果たすには、支援が必要であり、また、その支援においても、当事者の性格や状況にあったものを提供できることが望ましいと考えます。
 県内5か所のサポートステーションには、それぞれの特色があり、これらが連携し情報を提供し合うことは、より当事者にマッチしたサポート体制の構築に繋がると考えます。連携構築に向けた対応を要望いたします。

 水道事業経営計画の策定について

 平成26年度を初年度とする「神奈川県営水道事業経営計画」の策定については、厚生労働省の「新水道ビジョン」をうけて策定されると承知しておりますが、その新水道ビジョン案では、取組の目指すべき方向性として、安全・強靭・持続の観点から施策を展開するとしています。具体に目標到達点を設定し、推進されますよう要望いたします。

 エネルギー政策について

 スマートエネルギー構想の中でも、省エネルギーは県民がそのメリットを最も享受しやすい施策と考えます。住宅向けのHEMSや事業所向けのBEMSの導入支援、さらには中小規模事業者向けの省エネモデル構築事業については、ぜひ着実に成果を上げていただきたいと考えます。また、HEMSについては、スマートメーター等との連動により、高齢者の見守り等にも役立てることを考えていただきたいと思います。

 畜産業支援について

 本県には、関東地方屈指の和牛ブランドがありますが、牛枝肉相場の長期的な下落や素牛価格の上昇により和牛肥育経営は厳しい状況に陥っています。時あたかもTPP交渉への参加を安倍総理が決断しました。県として、和牛肥育経営緊急支援事業を着実に進めるとともに、和牛以外の県内畜産物についても、ブランド力を高めるための施策を積極的に推進するよう要望いたします。

 アレルギー疾患対策について

 東京都調布市において、食物アレルギーを持つ児童が給食を原因とするアナフィラキシーショックを起こし亡くなりました。本県においてはNPOとの協働により、食物アレルギーを持つ児童生徒への対応について教職員に対する研修を進めてきましたが、東京都の事故を教訓として、25年度は、研修の一層の充実を図るとともに、地域の消防機関と情報を共有し、緊急時の救急対応を徹底するとしたことは、評価いたします。ついては、私立学校、幼稚園、保育所、児童養護施設等においても、同様の対策が図られるよう、各所管部局における取組を要望いたします。
 また、現在のNPOとの協働事業が25年度をもって終了することから、保健福祉局、教育委員会、県民局など関係部局とNPOや専門医等による協議体を作るなどして、本県のアレルギー疾患対策が停滞することのないよう、強く要望いたします。

 障害者の地域生活支援施策について

 県では、在宅重度障害者等手当の大幅削減と併せて、平成22年度から、「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」に基づき、障害者の地域生活支援施策の充実を目指すとしてきました。しかし、手当の支給額は平成21年度の約43億円から平成25年度は6億円弱と、約37億円も削減されているのに対し、そこから障害者の地域生活支援施策に充てられている金額は、約15億円にとどまっています。手当をカットして生み出した財源を支援施策に活用するという約束は、未だ十分に履行されているとは言えません。プログラム大綱の実施期間は26年度で終わります。施策の大胆な見直しが必要と考えます。
 また、今回の緊急財政対策においては、障害者の地域生活を支えるための、いくつもの重要な事業が市町村への交付金化の検討といった形で見直し対象になっています。その一つ一つが、まさに黒岩知事の「いのち輝くマグネット神奈川」を先取りしたともいえる政策です。慎重な検討を求めます。

 高齢者グループホームにおける事故対策について

 大手介護サービス事業者が運営する「認知症高齢者グループホーム」において、骨折事故が多発しているとの事案が発生しました。県としても市町村が所管するグループホーム内での骨折事故報告などを取りまとめ、施設内での事故再発防止への注意喚起を行うなど、積極的に対応するよう要望します。

 障害者雇用の促進について

 さがみロボット産業特区の認定を契機に、インベスト神奈川2ndステップによる取組みを拡充し、県版特区による規制緩和と併せて、企業にとって魅力的な誘致策を総合的なパッケージとして再構築することは、大いに評価するところです。しかし、障害者雇用については、施策パッケージの中に、それを促進するインセンティブが不十分と感じます。
 知的障害者の職域拡大等も含め、障害者雇用においても先進的といわれるよう、神奈川県の誇りにかけて施策の充実を図ってください。

 中小企業に対するBCP普及啓発と策定支援について

 新聞報道では、横浜市内でBCPを策定している中小企業は依然、13.7%程度にとどまっているとあり、県としては来年度も無償で作成支援等に取組むとのことです。その取組み自体は我が会派が要望してきたものであり評価いたしますが、県ができる支援には予算面などで限界があり、普及促進のためにも自治体間の連携が重要となります。今後、特に横浜市等の政令市とよく調整をとり、普及目標の数値化も含め、効果的な事業推進に努めるよう要望いたします。
 また、インベスト制度やさがみロボット産業特区等における企業誘致の取組みと連動させることについても要望しておきます。

 県発注工事における中小建設業者への支援対策について

 中間前金払いも含め、公共工事における支払手続きの簡素化など、ぜひとも、新年度の事業を進めるに際しては現場の実情に合わせた執行に努められるよう要望いたします。
 併せて、原油価格の高騰等も懸念されていますので、適時、適切に単品スライド条項などの適用についても検討していただくことを要望しておきます。

 図書館協議会に代わる意見聴取の場について

 県立の図書館の運営や在り方などについて、広く関係者や県民からの意見を聞く場として、かつては、
図書館協議会が本県にも存在していましたが、現在は県民の意見を聞けるような場が実質的にはありません。
 このたびの予算委員会で教育局長は、「県民との意見交換会の場を設けて公開し、提案をいただいて運営に役立ててゆく」と表明されましたので、今後は、県民や図書館関係者と丁寧な意見交換を行い、県の図書館政策にしっかりと活かしていただくことを要望いたします。


 以上、意見、要望を申し上げ、公明党県議会議員団として、本定例会に上程された諸議案に対し、所管常任委員会の審査結果どおり賛成することを表明し討論といたします。