■平成20年度2月定例会 県民企業常任委員会(平成20年3月17日)


 <意見及び要望>
 公明党といたしまして、本委員会に付託されました定県第1号議案、平成20年度神奈川県一般会計予算のうち県民部関係ほか諸議案について、賛成の立場から意見を発表いたします。
 まず県民部関係について申し上げます。
 男女共同参画、県民との協働、広報・広聴など、県民部の施策は多岐に渡っておりますが、全体として、着実に施策を進めていく意欲が見られ一定の評価をしたいと思います。併せて、個別の事業について要望を交えて所感を申し上げます。
 最初に、団体表示図書類制度について申し上げます。
 平成20年度当初予算には、新規事業として青少年ゲームソフト対策推進費が計上され、併せて、青少年保護育成条例の一部改正も議案として提出されています。今回の団体表示図書類制度は、表現や販売の自由に対する新たな規制ではありますが、あくまで業界の自主規制を尊重しているという点、また憲法に保障される表現の自由に対しても目配りをしつつ、青少年の社会環境の健全化を図ろうとする点で評価させていただきたいと思います。ただ、関係業界や販売店舗だけでなく、広く県民に努力義務を求めるということですので、周知啓発が特に重要と考えます。特に、青少年のいる家庭や保護者の理解も大変重要と考えます。
 暴力は、古今東西の文学や芸術表現において主要なテーマともなってきましたが、人間はだれしもその中に暴力性を内包しているということ、それを認めながらどのようにコントロールするか、そういうことを含めた啓発があって、この条例の意義がより深いところで理解されていくのではないかと思います。なぜZ区分のゲームソフトを子供に与えてはいけないのか、そこを広く深く理解してもらえるよう、条例の実効性の確保に向けて努力をしていただきますことを要望いたします。
 続いて、文字・活字振興と文化芸術振興条例について申し上げます。
 文字・活字文化を一層振興していくためには、学校教育あるいは図書館などを所管する教育委員会の取組が重要であると考えますが、文化行政という観点からの取組も大変重要であり、着実に取組を進めていただきたいと思います。
 文字・活字振興法は平成17年に制定されましたが、とりわけ若年層の活字離れはとどまる様子がなく、国語力の低下も懸念されているところです。
 県民部は、神奈川近代文学館という貴重な施設を所管しておりますので、これまでの展示に加え、同時代性や新しい切り口を取り入れた文学展を企画するなど、その機能を最大限に活用しながら、広く県民が文字・活字文化に親しむことができるよう工夫をこらしていただきたいと思います。
 また、文化芸術振興条例につきましては、素案を見ると完成度は高く、景観を文化の基盤としている点なども評価したいと思います。今後は条例を踏まえ、どのように施策や予算の充実につなげていくか、さらには、企業メセナ等を活発化させるかという実効性が大変重要と考えます。
 これまでも文化芸術関連予算は、十分確保されず、厳しい神奈川県予算の中で、どちらかというと後回しにされがちだったと思います。今回、条例をしっかりと制定することで、より実効性のあるものにしていっていただきたいと思います。今回の素案を最終的に精査されるとのことでありますが、早期制定と着実な実施に向けて作業を進めていただくようにお願いをいたします。
 また、県民ホールの改修につきましては、先送りされたことは大変残念に思いますが、施設のリニューアルは避けて通れない課題でありますので、引き続き早期着手ができるよう県民部として努力を続けていただくことを強く要望いたします。
 最後に、国際施策推進指針について申し上げます。
 神奈川県も外国籍県民が年々増加している中で、多文化共生社会の実現に向けて県としても積極的に取り組まなければならないと考えています。今回の改定指針の中では、医療通訳派遣システムなど、新しいニーズや課題に対応した取組も位置付けられており、今後の本県の国際施策を進めていく上で、今回の改定は大変重要なものであると受け止めているところです。この指針に盛り込まれた施策を着実に推進するなど、全国にも誇れる神奈川ならではの国際施策の展開について、強く要望したいと思います。
 以上、県民部関連諸議案についての我が会派の意見と要望を申し上げました。
 続きまして、企業庁関連の諸議案について、賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 まず平成20年度の経営状況ですが、水道事業会計では約10億円の当年度利益剰余金を、電気事業会計では、平成19年度に引き続き約5億円の利益剰余金を、また公営企業資金等運用事業会計では約4億円の利益剰余金をそれぞれ見込んでいるとのことであります。
 経営環境が厳しい中、それぞれの事業において、企業庁経営改善計画に基づきコスト削減等を図りながら、利益を計上した当初予算案については一定の評価をしておりますが、何点か要望しておきます。
 水道事業の経営においては、神奈川県内広域水道企業団受水費の負担が大きなウエイトを占めますが、今回、単価は実質3%程度引き下げられ、料金改定への影響では約4億円の減額が可能になったとのことであります。これは企業庁をはじめとした構成団体が企業団の経営改善に対して強く働き掛けてきた結果であり、今後3年間受水費が軽減されます。
 しかし、企業団の累積欠損金を解消し、安定した経営状態にしていくためには、今後も一層の経営改善を図る必要があるということが、企業庁の水道事業経営計画の着実な推進にも大きな影響を与えますので、他の構成団体とも協調を図りつつ、引き続き強い姿勢で企業団との協議に取り組まれるよう要望いたします。
 次に、災害時における応急給水などの災害対策活動について申し上げます。
 災害時のライフラインの確保が重要であることは改めて言うまでもありませんが、特に約270万人の県民への給水を担っている県営水道の役割は大きいものであります。水道施設が被災した際には、水道事業者として施設の応急復旧活動に力を注ぎ、一日も早く事業を再開する必要があるわけですが、まずはそれまでの間の県民の生活用水の確保が重要であります。
 応急給水そのものが、地域防災計画の上では市町の役割となっていますが、いざというときには、日ごろ各家庭に給水している県営水道の支援・協力は欠かせないものであります。今後とも、市町等とよく連携して、必要な訓練等を行っていただくようお願いいたします。
 また、ソフト面だけではなく、ハード面も重要です。現在、市町は応急飲料水の確保のため、公園などの広域避難場所に、また、県は応急活動のため広域防災活動拠点に、それぞれ非常用貯水タンクを設置しているところですが、今後も様々な工夫をしながら施設の整備が円滑に進むよう、支援・協力をしていただきたいと思います。
 水道事業は、県民の快適な生活と社会経済活動を支えるライフラインであり、水道事業計画の柱である、災害対策の強化・充実や安全でおいしい水の供給、経営改革の徹底を念頭に置いて、引き続き事業を着実に推進するようお願いいたします。
 最後に、企業庁の水源かん養林についてであります。
 県が推進しております水源環境保全・再生施策による上流域の森林整備は、水の恵みによって事業を行う企業庁としても、積極的にかかわらなければならないものと考えますが、新たに取り組まれる水源かん養林の調査委託事業では、企業庁が保育している山林について、分収林契約満了後の整備の方向性について調査・検討を始めるとのことであります。今後の県全体の水源の森林づくりにも有意義な示唆を与える大事な取組であると考えますので、十分な検討を行うようお願いいたします。
 以上、意見と要望と述べまして、企業庁関連諸議案についても賛成をいたします。