■平成19年度6月定例会 県民企業常任委員会(平成19年12月17日)
<質疑一覧>
 相模貯水池のしゅんせつ土砂の養浜材の活用について
 企業庁の環境報告書について


 相模貯水池のしゅんせつ土砂の養浜材の活用について
<質疑>
 前回に引き続き企業庁の関連の質疑をさせていただきます。
 まず、相模貯水池のしゅんせつ土砂の養浜材の活用ということでお尋ねしますが、私が所属します環境総合対策特別委員会でも、先般この問題について活発な質疑がされたところであります。しかし、これまで養浜材として活用してきたという実績がありますが、いつごろからどのぐらいの量を運んだのか。東京都の小河内ダムのたい砂率は先日の質疑の中で約2.9%ということでしたが、相模貯水池の中にどのくらいのたい砂があって、そのうちどれくらいをしゅんせつし、どれくらいを養浜材に活用しているのか、そのことも合わせた数字でお答えいただければと思います。

<答弁> 利水課長
 養浜材ですが、平成13年度から試験的に実施しており、昨年度までの実績ですが、平成18年度までの6年間に茅ヶ崎海岸と二宮海岸に約2万9,000立方メートルを運搬しました。このほかにも平成18年度には県土整備部が単独事業として1万立方メートルを茅ヶ崎海岸に運搬し、養浜材として活用しております。合わせて約4万立方メートルになるわけですが、しゅんせつ量は、平成5年の大規模建設改良事業が始まった時点からの合計で約356万立方メートルとなりますので、養浜材への利用は約1.1%に当たることになります。また、現在のたい砂率は平成18年度末で29.0%です。




<質疑>
 膨大な量がたい積していて、しゅんせつしたうちの1.1%が養浜材としての活用ということですが、平成19年度から新しい取組が始まったと聞いています。その内容を教えてください。

<答弁> 利水課長
 平成18年度まで、しゅんせつ土砂を養浜材として海岸まで運搬するのは、企業庁と県土整備部がそれぞれの既存事業の枠の中で単独で実施しておりました。平成19年度からの新しい取組では、県土整備部が行う海岸浸食対策事業について、企業庁としましても連携、協力するということで、相模湖の仮置き場から茅ヶ崎海岸までの運搬を県土整備部が行い、企業庁がその費用の2分の1を負担金として県土整備部に支払う方法で実施することで協定を締結しております。ちなみに、今年度の養浜材としての活用予定ですが、県土整備部が相模川の沿岸で施工する約5万9,000立方メートルの養浜材のうち3万立方メートルを相模ダムの貯水池のしゅんせつ土砂で充当する計画となっております。




<質疑>
 養浜事業は県土整備部の事業で、それに企業庁が協力しているということですが、今後企業庁としてどのようにこの事業を進めていこうとされているのかお伺いします。

<答弁> 利水課長
 海岸浸食につきましては、様々な要因が複合して起きていると考えられていますが、ダムによる土砂供給量の減少もその一因であるということから、企業庁としましても、流砂系の健全化という観点から試験的な養浜活用に協力してまいりました。今回の新しい取組につきましても、相模川沿岸の海岸浸食対策は県の重要な施策であるということから、県土整備部が行う海岸保全対策としての養浜事業に、企業庁の相模貯水池大規模建設改良事業として対応が可能な範囲の中で協力することとしたものです。今後の進め方ですが、県土整備部が平成22年度までに、相模川全体を含めた本格的な養浜計画を策定する予定と聞いており、現在の協定に基づく養浜活用は、この計画が策定されるまでとなっております。また、しゅんせつ土砂を有効活用していただくという点では、ダムを管理する立場から期待するところで、その後につきましても、ダム管理者としての役割分担の中で可能な限り海岸保全対策に協力してまいりたいと考えております。




<要望>
 海岸保全というのは、山と川と海の連続性が保たれてこそ成り立つと思います。また逆にその関連する機関の協力がないと成り立たないということでありますので、企業庁の取組には大変期待があるところであり、今後も関係機関との連携を図って、水源と海岸、双方の保全が促進されるように要望します。




 企業庁の環境報告書について
<質疑>
 この環境報告書ですが、いつから、どういったねらいで作成しているものなのでしょうか。これを作成するに至ったきっかけがあったら、それも教えてください。

<答弁> 企業庁総務課企画広報室長
 環境報告書ですが、企業庁におきましては、事業実施に伴う環境への負荷あるいは環境負荷の軽減効果を数量化しました環境会計を平成13年度から作成し、公表してまいりました。また環境問題に関する社会的関心が高まる中、環境省が環境報告書ガイドラインを平成16年に改訂しております。こういったことを契機としまして、企業庁におきましても更に取組を強化するということで、平成17年度から環境会計を発展させて環境報告書としたところです。
 この環境報告書ですが、企業庁における環境配慮の方針あるいは取組状況、環境負荷の低減効果などを総合的、体系的に取りまとめたものです。




<質疑>
 この報告書の中に幾つも環境負荷の低減ということに対しての取組が書かれているわけですが、その中で8ページ、浄水処理発生土の再資源化というところで、県営水道には二つの大きな浄水場があります。そこで、浄水処理をする中で発生する土について、これまではセメントの原材料として再資源化していたということですが、寒川浄水場でPFIの事業が導入されたことにより、施設の更新があり、消石灰を使用しない方法を採用し、例えば園芸用土とかグラウンド用土などにも使えるようになったと書いてあります。環境という観点から見たときに、セメント産業というのは良い意味で悪食であって、何でも受け入れてくれるというところがあるわけです。そこで、PFIを導入して新しい処理方法が寒川浄水場で始められ、これによって環境への負荷がどのように変わったのか、今ひとつ報告書を読んでも分からないのですが、その辺りを説明していただけますでしょうか。

<答弁> 浄水担当課長
 PFI事業として実施しております寒川浄水場の排水処理施設ですが、今回無薬注方式の脱水機あるいは乾燥機、また、処理した発生土を粒状に調整する造粒機を備えており、この施設により効率的な処理が可能となり、次のような点で環境面に貢献できたと考えております。
 1点目ですが、これまでは汚泥に消石灰を注入し、加圧脱水した処理をしておりましたが、今回の事業では消石灰を注入しない無薬注方式の脱水設備を導入することにより、これまで1年間で発生しておりました1万200トンの発生土が5,400トンと半減しました。これによりまして搬出の負担が減少したことで環境面に大きな貢献ができたと考えております。
 次に、乾燥機の導入により、園芸用土に適した土ができ、園芸用土として有効な活用ができたということです。
 次に、3点目ですが、造粒機を導入したことにより、粒子の大きさがそろった土が製造できることから、学校などのグラウンド用土として利用価値が高まってきたということです。




<質疑>
 今私の手元にあります環境報告書は平成17年度決算版ですが、平成18年度決算版も間もなく出てくると思います。恐らくこの中には、これからのいろいろな新しい取組なども書かれると思いますが、平成17年度決算版と比べて何か特筆すべき点があるのかどうかということと、それも含めてこれから企業庁が環境への取組についてどのような姿勢で取り組んでいくのか、そういった基本的な考え方についてお伺いします。これは是非、大変環境面の取組に御熱心であります企業庁長から御説明をいただけばと思います。

<答弁> 企業庁長
 まず、私どもの基本認識を申し上げますと、企業庁の仕事というのが水の恵みに依拠していると申しましょうか、私どもの仕事そのものの基盤が水にあります。水道事業はもとより、電気事業も水の力を利用して発電しているわけです。そもそも相模ダム、津久井ダムでは、多くの移住者が発生する中で建設されているわけで、その人たちの御理解を後世の私どもが、更に次の世代にしっかりと引き継いでいくためにも、水の恵みということをしっかり生かした取組を進めなければならないと考えているわけです。今、水の流れを見てみますと、浄水場に至るまでの間、そして水を浄水した後もずっと流れています。その水の力を利用した小水力発電について考え、浄水場の更に上流のところにおきましても、河川に流れ込むあるいは河川に若干段差があって発電に適している場所など、有効活用を図って発電につなげていくことができないかどうかといった取組について、今現在、神奈川県内の私どものエリアの中で適地があるか調査を進めています。
 さらに、私どもとしてできることがあるかどうか研究中ですが、青根の地域に私どもの水源かん養林があります。この水源かん養林において、私どもの基となります水源、水を量的にも質的にもきちんと確保することは大変重要なことだと思っております。しかし、そこは針葉樹林帯で、もちろん十分な手入れを行ってきたつもりでありますが、最近、荒廃がかなり進んでおり、なかなか難しい面がございますので、将来的には広葉樹を交えた混交林化を図らなければいけないと思っております。そのために枝打ち、間伐を計画的に進めていくということを考えられないかどうか、仮にそういうことを行いますと、かなり伐採等による用材が出てきて、そのまま現地に放置しておきますと、出水時に私どもの湖に流れ込むことになります。そのため、これらの処分をどうするのか。搬出もかなり大変ですが、搬出したものも正直に申し上げまして用材としてなかなか使えないものですから、ほかの地域で若干取組が始まりましたチップ化して発電することを考えられないか、今職員に研究させております。基本的にこういったものにまで目を向けつつ、私どもの企業庁というものが水というものに依存しながら仕事を行わせていただいている以上、その水を守ること、これを正に自然環境保全と一体のものとして考えていかなければなりません。基本的にはそのような姿勢で、今後更に私どもの事業の範囲の中で何ができるのか、あらゆる可能性を追求しながら、企業庁としてできるところから自然環境の保全に取り組んでまいりたいと考えております。




<要望>
 今、企業庁長からもお話があったとおり、企業庁の事業は、それぞれ環境に大変密接にかかわっているものばかりだと思います。それだけに企業庁の環境への取組は大変重要だと思います。このような環境に配慮した取組について、今後も積極的に推進されるよう、そして環境報告書は年を追うごとに内容が充実していくように要望いたしまして、私の質疑を終わります。