■平成19年度12月定例会 県民企業常任委員会(平成19年12月13日)
<質疑一覧>
 県民部関連で消費生活相談の現状と悪質商法の対策について
 かながわコミュニティカレッジの取組について
 企業庁関連 貯水池への土砂流入防止の取組について


 県民部関連で消費生活相談の現状と悪質商法の対策について
<質疑>
 県民部関連で消費生活相談の現状と悪質商法の対策について質問したいと思います。先日12月5日付けの神奈川新聞に、横浜市の消費生活相談センターの今年度上半期の相談状況の記事が掲載されておりましたが、全市町村をまとめた県全体の相談件数などはまだ確定していないということなので、ここでは県の中央消費生活センターに寄せられている相談状況と、また悪質商法に対して県がとっている対策について何点か伺いたいと思います。
 まず、新聞記事によりますと横浜市の消費生活相談センターの今年度の相談の特徴として、インターネットなどの架空請求、これはオンライン等関連サービスというようにまとめられていますが、それと外国語会話教室の相談、これは恐らくNOVAの影響が強かったのではないかと思いますが、それぞれ22.2%の増、あるいは外国語会話教室では371.7%の増と大きく増えているということでありました。一方、県の中央消費生活センターでの今年度の相談件数や、内容についてどういった状況にあるのかお伺いします。

<答弁> 消費生活課長
 平成19年度上半期のかながわ中央消費生活センターに寄せられました苦情相談ですが、件数としては4,213件で、これは前年度同期に比べまして569件減少しております。率にして12%減ということです。その内容ですが、苦情相談で最も多かったものについては、横浜市と同じですが、携帯電話やパソコンを利用した架空不当請求を主な内容としましたオンライン等関連サービスが1,256件で、全体の30%を占めています。前年度と比べましても4%増え、47件増加してございます。そのあとは件数的にはフリーローン・サラ金関係が324件と続いております。そのほか増加の著しいものとしましては、外国語会話教室の86件で、この中には経済産業省から行政処分を受けたNOVAに関する相談が64件ということで、こういったことから全体の傾向としては横浜市と似通っているのかと感じているところです。




<質疑>
 いわゆる悪質商法の手口というのは日々高度化しており、また新たな手口もどんどん現れてきているということだと思いますが、今全体の相談状況というのは分かりました。悪質商法の中で、例えば今年度に入って新しくこのような手口があるとか、件数が増加して目立つというものがありましたら、内容を具体的に御説明いただきたいと思います。

<答弁> 消費生活課長
 まず、今年度に入って発生した新しい手口ということで、二つあります。一つはツークリックサイトというもので、これはパソコンのアダルトサイトの画面で年齢確認のクリックをし、次に細かい字がたくさん書いてある画面が表示されたので、よく読まずにクリックしたら、それは2回目のクリックで、正式に会員登録がされたということで5万2,000円の請求画面が表示されたという相談です。これにつきましてのアドバイスとしましては、本人が有料の認識がなく契約の確認・訂正画面もなかったということで錯誤による無効を主張ができるということで、今後はこちらから連絡しないということをアドバイスしました。
 もう一つは、会員メールによる有料サイト登録料等の架空請求という相談が新しく175件も発生しました。これは携帯電話の会員メールとして、あなたが登録した総合情報サイトの無料期間が終了したが、退会処理がされてないので登録料と延滞料金が発生しているというような画面が出て、そこでそれを信用し、1回目に2万1,000円、2回目に14万円を払ってしまったというようなことです。これは全くの架空請求ですので、アドバイスとしては、こちらから払わない、連絡もしない、警察にも届けるように助言いたしました。
 また、昨年度もありましたが、今年度の件数が増えた事例として、サイドビジネス商法、あるいは当せん商法があります。サイドビジネス商法についての相談事例としては、チラシ配りの内職で、月3、4万円が手元に入るということで契約したが、よく後で見たら登録料が76万円もするということで登録を取消したいというようなこと。それからもう一つの当せん商法については、海外宝くじを受け取る権利があるので5,000円を払うようにというエアメールが来ているけれども、信用できるのだろうかというようなことがあります。




<質疑>
 人間の欲望につけ込んだ手口があると思いますが、そういう相談が消費生活センターに苦情として寄せられると、今お聞きしたように、その場で相談員の方が的確なアドバイスをするということはもちろん大事なことだと思います。場合によってはセンターの方が相談者に代わって相手の悪質商法をやっているような事業者と交渉する場面もあると聞いていますが、センターとしては、そういったときにどのように対応されているのか。また実際にセンターの職員が中に入って、相手と交渉して実際にどの程度まで被害が軽減されたり救済されたりしているかお伺いします。

<答弁> 消費生活課長
 消費生活相談窓口では相談者の方の話を聞いて、自分で解決してもらうということを基本にアドバイスをしていますが、やはり相談の中には専門的な知識が必要なものや、複雑な案件、あるいは特に高齢者などの場合のように、自分で業者と交渉するといっても、なかなか難しい場合もありますので、そういうときは相談員が本人に代わってあっ旋するということです。
 例えば、平成19年の上半期の実績で言いますと、苦情相談全体が4,213件ですが、その中で435件、率にすると10.3%についてあっ旋を行いました。その結果ですが、95.9%は解決している状況です。最近の具体的な相談事例ですと、着物を次々と2,600万円も買わされ、クレジットで払っていたわけですが、御本人はやや認知症がある高齢者ということで、本人が事業者と交渉できる状況ではなかったことから、センターが4箇月にわたってあっ旋を行い、最終的には2,600万円のうち未着用であった1,200万円については契約を解除することができたという実績があります。




<質疑>
 95%以上解決しているということで、大変頼もしい感じがします。私も今課長から御説明いただいたそっくりのケースで、それは寝具でしたが、消費生活センターが間に入ってくれて半分ぐらい戻ってきたということも聞いたことがあり、大変尊い仕事だと思います。そういう苦情相談現場の対応の状況をお聞かせいただきましたが、一方で、悪質商法に関する苦情相談があったときに、業者は今この瞬間にもそのような悪質な営業を展開しているわけで、とにかくそういう悪質商法の根本を断つという意味から、そういった事業者に対して速やかに指導でありますとか処分を行うことも大事だと思います。先日も県が学習教材の3社に3箇月の業務停止命令を出したということですが、悪質事業者の処分というのはどのような形になっているのかお尋ねします。

<答弁> 消費生活課長
 悪質事業者の指導なり処分については三つの方法で現在実施しております。一つは、苦情や被害が少ないうちに事業者を呼び、口頭で指導するといったものです。これは任意の指導になるわけですが、これは悪質商法の芽を早いうちに摘んでしまうということで、大部分の事業者はこの段階で悪質商法をやめているという効果があります。
 二つ目は、指導してもまだ引き続き悪質行為を行う事業者も中にはいますので、そうした事業者に対しましては、消費者から事情聴取等をし、厳密に法令違反と認定した上で、文書をもって業務改善の指示処分を行い、かつ事業者名を公表するといったことです。これは平成17年度以降では、合計7件の指示処分をしています。
 三つ目は、更に悪質度が高い場合などについては、一定期間業務を停止することを命ずる業務停止命令があり、これに合わせて事業者名を公表します。この業務停止命令は強制的に業務を停止させるということで、事業者にとっては一番経営面で打撃が大きいということです。
 通常、指導、指示処分、業務停止命令の三つを順番に実施するわけですが、今回の場合のように、指導なり指示を飛ばして一気に業務停止命令というようなこともあり、今後こうした方向で行っていきたいと考えています。




<質疑>
 今回の学習教材の3社というのはステップを踏まずに、いきなり3箇月の業務停止命令ということですが、3箇月の業務停止命令というのは、重いのか軽いのか判断ができないのですが、また3箇月の業務を停止しても、また次に会社の名前を変えて同じような商売をやるということも十分考えられるわけで、その3箇月の重さについて、県としてどの程度のところと考えているのでしょうか。

<答弁> 消費生活課長
 業務停止命令の最長は12箇月ということで、その中での3箇月ですが、これまでの同等の悪質性に比べれば、処分としては重いだろうと考えています。ただ、同一の行為でもって、余り長期間の業務停止命令というのは、公平性等にかかわりますので、なかなかそれもできないという中では、一番重い処分だと考えています。さらに、業務停止命令をしても更に繰り返すという場合ですが、そうした場合には警察に告発し、そして罰則、懲役等がありますので、それを適用します。
 それから、事業者名を変えて活動するといった場合ですが、代表者の氏名等は全部把握していますので、こちらで登記簿謄本を取り寄せ、そうした者が別会社をつくって悪質行為した場合には、すぐ把握ができ、前回の処分を含めた形での処分ができるということになると考えています。




<質疑>
 いろいろな手口をお聞きしましたが、そういった手口や対応策を県民に対して注意喚起し、情報提供していく啓発活動を行っていくことも大事だと思いますが、今県としてはどのようなことをしていますでしょうか。

<答弁> 消費生活課長
 県民に対して、悪質商法の手口を知っていただくための情報提供なり啓発は、チラシや情報誌の作成ということで行っています。チラシ等については、定期的に消費生活相談レポートとして、毎月、特徴的な新しい相談内容を紹介しています。例えば新聞勧誘ですとか、引っ越しでのトラブル等につきまして紹介し、気を付けるように啓発をしています。また、2箇月に一度、「くらしのジャーナル」を発行し、県内のスーパー、金融機関などに配布しています。その他、パンフレットを配るだけではなく、講座等を開催し、その中でパンフレットを配ったり、無料で講師を派遣したりということに取り組んでいます。




<質疑>
 いろいろな対策を講じていることは分かりました。今後これらの対策につきまして、どのように進めていこうとされているのかお聞きします。

<答弁> 消費生活課長
 悪質事業者は、手を変え品を変え次から次へと新しい手口を編み出してくるわけですので、消費者としても賢い消費者、自立した消費者になっていただくことが重要だと考えています。そのために、まずは消費者が消費生活に関する正しい知識と情報を持って、何かあったときに正しく判断できることが必要ですので、情報誌ですとか県のホームページといったところで、いろいろな悪質商法の手口や契約に関する知識などを的確に情報提供していきたいと考えています。
 また、一般の県民だけでなくて、その前の中学校、高校の段階の学校教育の中で消費者教育をしっかりやっていただくといったことも必要だと考えていますので、教育委員会とも連携しながら消費者教育を進めていきたいと考えているところです。それでもどうしても引っ掛かりそうになってしまうことがありますので、そうしたときには速やかに相談できる体制の充実、相談員の質の向上を図っていきたいと思います。
 また、事業者指導として、今後更に悪質事業者については厳しい処分を考えていきたいと思います。この三つを組み合わせて今後もやっていきたいと考えています。




<要望>
 特に消費者教育について、生徒に対して、悪質商法のみならず例えば多重債務ですとかそういったことに陥ることもありますから、しっかり取り組んでいただければと思います。訪問販売や催眠商法とか、いわゆる古典的な悪質商法だけではなく、ITを使った詐欺ですとか、高齢者の自費出版のトラブルも最近聞くようになりましたが、本当に多様化し、また巧妙化していると感じます。国でも特定商取引法、また割賦販売法の抜本的見直しを検討しているということでありますが、県としても相談者に対して的確なアドバイスができるよう、また先ほどお聞きした事業者とのあっ旋による解決も、大変効果が出ていると感じました。またそういった悪質商法に対しての県民への情報提供と厳しい事業者に対しての処分といったことを是非積み重ねていただき、悪質商法はなかなか根絶ということは難しいと思いますが、消費者被害の未然防止に努めていただきたいと要望しまして、次の質問に移ります。




 かながわコミュニティカレッジの取組について
<質疑>
 今日、開設基本計画素案が示されましたので、それに関連して何点かお伺いします。
 かながわコミュニティカレッジは、地域人材の育成講座、そして特定課題講座の2種類の講座を展開するということであります。神奈川力構想の戦略プロジェクト25、多様な主体が公共を担う協働型社会の実現の構成事業に位置付けられている事業ということです。地域の課題の解決あるいは地域の活性化を担う人材を育成する、すなわちボランティアやNPOなどの人材育成に主眼が置かれた取組であると理解しております。また、以前からボランティアやNPO施策については、神奈川県は大変に熱心に取り組んできたと承知しております。そこで、まずコミュニティカレッジの取組ですが、神奈川県のボランティアあるいはNPO施策において、どのような位置付けがなされているのかお伺いします。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 本県のボランティア・NPO施策の歩みの中で整理する形でお答えさせていただきます。
 本県のボランティア・NPO施策につきましては、平成7年の阪神・淡路大震災におけますボランティアの目覚ましい活躍により、ボランティアの力やその役割の重要性が広く社会に認識されるようになりました。それを契機に、その翌年の平成8年4月に、公設の支援施設として全国に先駆け、かながわ県民活動サポートセンターを開設し、活動のための情報や場所の提供を行ってきたものが本格的な取組のスタートであったと言えます。
 その5年後の平成13年4月になりますが、NPO等への資金的な支援やNPO等と県との協働の推進を目的とし、かながわボランタリー活動推進基金21を設置し、先駆的なボランタリー活動への補助やNPO等からの提案による県との協働事業への負担などを行ってまいりました。さらに、その5年後の平成18年10月に試行を開始しましたかながわコミュニティカレッジですが、ボランティア・NPO施策の観点からは、ボランティアやNPOの活動を人材育成の面から支援する取組であるということです。
 したがいまして、かながわ県民活動サポートセンターによる情報や場所の提供による支援を本県のNPO施策の第1ステージ、かながわボランタリー活動推進基金21による資金面での支援を第2ステージとしますと、かながわコミュニティカレッジは人材面からの新たな支援の取組として、本県のNPO施策の第3ステージに位置付けられるものととらえております。




<質疑>
 大きな流れの中の一つの側面、ステージであるということは理解しました。
 別冊の基本計画素案を見ますと、10ページに昨年度の受講者の年齢分布が載っているわけでが、受講生の地域分布、県内のどの地域から集まっているのかという状況をお伺いします。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 平成18年度の8講座の受講決定者285名の住所の分布で申し上げますと、横浜市が139名で48.8%、川崎市が28名で9.8%、藤沢市が18名で6.3%、海老名市が16名で5.6%、相模原市が13名で4.6%、横須賀市が8名で2.8%、その他の地域が63名で22.1%となっており、横浜市が約半分を占めていますが、約半分は横浜市域外からの受講となっております。




<質疑>
 かながわ県民センターの中で開設するわけで、地の利ということも確かにあると思いますが、県の事業で半分が横浜の方々による受講ということも、やむを得ないとは思いますけれども、もう少し横浜市以外の人たちが受けやすいような形ということも考えられないかと思います。例えばこれからほかの地域にサテライトという形で設置するお考えはありますでしょうか。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 当面、本格開設における30講座程度の講座が円滑に行われますよう、かながわ県民センター内の講義室を中心として運営をしっかりやっていきたいと考えております。したがいまして、分校等のサテライトを設置することにつきましては、現時点では考えておりません。ただし、今年度の講座におきましても、観光ボランティアガイド養成講座では小田原や鎌倉におきましてガイド実習を行う講義も行っており、講座内容によっては必要に応じて横浜以外の地域でも実施していきたいと考えております。




<質疑>
 今の段階で力を分散させてしまうのはなかなか難しいことだとも思います。本格開設に向けて、また本格開設後、必要に応じてそのことを考えていただければと思います。
 ボランティアですとかNPOの人材を養成する講座ということで、受講者については一定のイメージを思い浮かべやすいのですが、講師というのはどういった方がされているのかお伺いします。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 今年度予定しております14講座307コマの講義につきましては、延べ246名の方が講師を務めることになっております。その内訳は、NPOの方が151人で61.4%、大学の教員などの学識者が27名で11%、公益法人等の方が26人で10.6%、行政職員が24人で9.8%、自営業者・企業の方等が13人で5.3%、その他が5人で2%となっており、NPOを中心として多様な構成になっているところです。




<質疑>
 いろいろな方々の力が集結されて成り立っているということは分かりましたが、こうした講座のカリキュラムや講師の選定というのは、どのように行っているのでしょうか。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 県がノウハウを有するテーマ、あるいは複数の団体に協力を得て実施する必要があるテーマにつきましては、庁内の関係部局や当該テーマに精通した有識者から意見や助言をいただきながら、私ども事務局の方で具体的なカリキュラムの編成や講師の選定を行っており、この形態による今年度の講座は5講座です。また民間団体のノウハウを生かして委託により実施する講座につきましては、基本的に県が講座の分野や趣旨等を設定し、具体的なカリキュラム編成や講師についてはNPOなどからの提案を公募しており、この形態による今年度の講座は9講座です。
 なお、このうち1講座につきましては、分野を含めて自由に提案できる自由企画提案講座となっています。




<質疑>
 講座自体は民間の皆さんの多様な力が生かされているということが分かりましたが、平成21年度、すなわち本格開設後には公設民営の検討も行っていくということが示されています。これについては、具体的な検討を将来行っていくということですが、その内容として、ここに指定管理者制度、事業委託、協議会・実行委員会という例が示されています。指定管理者制度や事業委託はイメージしやすいのですが、協議会・実行委員会という記述もあり、それぞれどういったメリットや課題があるのか、今分かる範囲で結構ですからお伺いします。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 現時点で考えられます利点として、まず事業委託につきましては、民間団体の持つノウハウを生かした運営が可能になるのではないかと考えております。また指定管理者制度につきましては、そうした点に加え、指定管理期間をある程度継続した期間とすることから、長期的な視点に立った運営を行うことができるのではないかと考えられます。
 また協議会・実行委員会につきましては、複数の関係団体の協力、連携による運営を行うことにより、民間の幅広い意見を反映させやすくなるのではないかと考えられます。
 一方、課題としましては、民営化共通の観点としまして、本格開設後は30講座程度を展開しますので、相当の業務量が見込まれます。また講座は多岐の分野にわたっておりますので、様々な社会課題に対する幅広い視点が求められるということもあります。こうしたことからコミュニティカレッジを円滑に運営できる団体が実際にどのくらいあるのかということが課題になってくると考えております。
 また協議会や実行委員会の場合は、単独で運営を行う団体が見当たらない場合でも、複数の団体が力を合わせて協議会等を構成して運営を行うことができる可能性もありますが、協議会等をどのように構成したらよいか、また、いろいろな方がかかわるということで、調整業務などで事務局に大きな負担が掛かってくるのではないかといったことが課題であると考えております。




<質疑>
 平成19年度の講座の中身を見ても、大変盛りだくさんで、非常に多岐にわたっていますし、一つ一つの講座の中身も、それぞれのコマによって本当に様々な内容が含まれています。これだけ幅広く、また量的にも多いものを、なかなか民営で運営するといっても引き受けてくれるところがあるのかどうか、特にまだ今は試行期間ですが、実際に本格開設されたときにどうなるのかというように思います。これから十分な検討がなされると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、今は試行という位置付けですから一つ一つ丁寧に検証しながら進めていると思いますが、今後計画が出来上がり本格開設となった後も、一つ一つ検証しながら進めていくことが大事だと思いますが、この点について担当セクションとしてどのように考えているのかお伺いします。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 ただいま御指摘いただきましたとおり、試行期間だけでなく、本格開設後も評価と検証に努め、社会状況の変化や受講生のニーズに対応する講座展開となっていく必要があると考えております。開設基本計画の素案にもそのような観点を盛り込んでおり、本格開設後は外部有識者等によります運営委員会を設置し、評価機能を発揮していただくことと、また受講生アンケートをきめ細かく継続して実施し、検証をしっかり行いながら進めていく必要があると認識しております。




<質疑>
 これは講座の中身を見て、私が感じたことですが、大変盛りだくさんであって、中身も濃そうです。それだけに1コマの授業を受けたから、その知識やスキルがずっとその人の身に付いているかというと、なかなか難しいとも思います。例えばフォローアップのように、ある講座を受けた後、もっと詳しく高度に、もっと絞り込んだ講座を受けたいという人のために、復習等ステップアップを兼ねたような講座ができないでしょうか。例えば、この中にも災害救援ボランティアコーディネーター講座ステップアップ編というのがありますが、できるだけこのような形を考えていったらどうかという点と、これは恐らく純粋なボランティアの方々の養成ということが主眼に置かれていると思いますが、今地域の中で様々な、行政に頼らない協働ということが求められていると思います。いわゆるコミュニティビジネスという観点で、それを支援するようなカリキュラムもあったらどうかと思いますが、この2点について、もし見解があればお聞かせください。

<答弁> 県民総務課NPO協働推進室長
 御指摘の最初の点ですが、今年度は災害救援ボランティアコーディネーターのステップアップ編を設定しておりますが、これは正にフォローアップをするといった観点から設定したもので、開設基本計画素案の中にも初級、中級、上級と受講者のレベルに応じた講座設定というものも検討していく必要があると記述しておりますので、今後そうした観点で検討を進めていきたいと思っております。
 2点目のコミュニティビジネスに関しましては、NPOの課題として資金というものがどうしてもあります。ビジネス的な手法でそういったものに取り組んでいく、コミュニティビジネスというものも大事な取組かと思っております。今後講座の分野を充実していく中で、そういったものも取り入れたいと考えております。




<要望>
 地域人材の育成という側面から何点かお尋ねしてきたわけですが、様々な方が講師になり、先ほどお聞きしたら61.4%がNPOの方になっていただいているということで、教えると同時に学びながらNPOの皆さんも恐らく人材育成ということを図られているだろうと思います。受講者、講師、双方が育つ場、育成される場としての機能も果たし、これから果たし得るのではないかと思います。現在は試行を重ねてブラッシュアップを図っている最中だと思いますが、今後計画が出来て本格開設された後も、しっかりと検証を重ねながら進化させ、神奈川県が全国に誇るすばらしい取組にしていただきたいと要望しまして、この質問を終わります。




 企業庁関連 貯水池への土砂流入防止の取組について
<質疑>
 相模ダムのしゅんせつについては、今回の決算特別委員会でも自民党の委員から相当子細に質疑がされておりましたが、毎年25万立方メートルもしゅんせつを行うという計画になっています。当たり前ですが、それには多くの費用とエネルギーを消費しているということであり、できればこうした大量の土砂のしゅんせつを行う前に、土砂流入を防ぐ方策を考えていくことが大事なのではないかと思います。この点については6月定例会の本常任委員会でも多少触れさせていただきましたが、時間の都合で中途半端になってしまっておりましたので、改めて何点かお伺いしたいと思います。
 聞くところによりますと、東京都水道局は奥多摩湖にある小河内ダムを抱えているわけですが、この多摩川上流域の水源林2万1,630ヘクタールについて、実に東京23区の35%に相当する面積だということですが、その水源林を整備しています。水源かん養あるいは土砂流出防止を図っているということでありますが、最初から他の自治体の話で恐縮ですが、この整備内容について、承知している範囲で教えていただけますでしょうか。

<答弁> 利水課長
 奥多摩湖すなわち小河内貯水池は、昭和32年に完成した小河内ダムによって出来たもので、総貯水量約1億8,900万立方メートルの貯水池で、東京都の貴重な水源となっております。東京都は小河内貯水池がある多摩川上流部の水源地に広がる約2万2,000ヘクタールの森林を水道水源林として管理しております。小河内貯水池の森林整備の取組の内容ですが、明治34年に東京都が水源かん養林を目的に皇室所有の森林であります御用林を譲り受け、約1万3,500ヘクタールの規模で始まった事業と聞いております。その後、順次森林整備を拡大し、昭和42年に今の約2万2,000ヘクタールの規模になりました。その整備内容は、植栽、下草刈り、間伐、崩土の整備などで、東京都では今後も森林づくりを通し、引き続き安定した水資源の確保や東京都民の重要な水がめである小河内貯水池について、更により豊かな水源林として次の世代へ引き継いでいくこととしていると聞いております。




<質疑>
 東京都の例をお尋ねしましたが、小河内貯水池の場合は今お話にあったように、大分歴史が古く、長い年月をかけて整備されてきたということで、大分効果が出てきているということで、お尋ねしました。そこで、小河内貯水池では水源林を整備するということによって、土砂の流出防止機能はどの程度発揮されていると考えられますか。

<答弁> 利水課長
 森林が持つ土砂の流出防止機能ですが、適切に管理されている森林では、落ち葉や枯れ枝が積もっていることから、雨によって表面の土が削り取られることはなく、また樹木の根が表層の土を斜面につなぎ止めるといったことから、下草が生えるなどにより、土砂の流出が抑制されると言われております。
 小河内貯水池のケースですが、水源林の公益的な機能の一つである土砂の流出防止機能の評価につきましては、ダムができるはるか前から水源林の整備が進められていたわけで、そういうことから定量的なものと言えるかどうかはなかなか難しいところですが、ダムが完成してから50年を経過した現在でも、ダムのたい砂率が約2.9%ということで、健全な状態が保たれているということは、水源林が適切に管理された効果が発揮されているのではないかと考えております。




<質疑>
 東京都の取組について、前段でお尋ねしたわけでありますけれども、翻って本県の企業庁が行っている水源林の保全に向けての取組はどのようなものがあるのでしょうか。

<答弁> 業務課長
 企業庁が行っております水源林の保全の取組の主なものを申し上げます。
 まず、道志ダムと道志造成地の上流部にある、場所が相模原市津久井町青根にある森林ですが、この森林を水源かん養の目的で企業庁がかつて植林をし、現在育成を行っているところです。また、私どもが直接管理しているわけではありませんが、横浜市が道志川からの安定取水のために道志の水源かん養林を持っております。私どもは道志ダムから取水を行っておりますので、横浜市の森林に応分の負担をさせていただいているところです。




<質疑>
 森林の荒廃と土砂流入というのは深い関連があると我々は概念としては理解しているつもりです。もちろん森林整備をすることによって、土砂のたい積に歯止めがかかると理解していますが、6月定例会でお尋ねしたときには、関連性というものについてお答えいただいたのですが、なかなか私の中ではっきりしなかったということもあります。改めて、例えばこれまで長年かけて水源林を整備してきた小河内ダムのたい砂率が2.9%と大変低い率に納まっているということも一つの実証かと思いますが、森林の整備の効果について、ダムを管理する企業庁としてどのように考えているのかお伺いします。

<答弁> 利水課長
 森林には水源かん養や土砂の流出防止、あるいは水質浄化などのいろいろ公益的な機能があると言われております。土砂流出防止機能の一例で申し上げますと、林野庁の研究会によれば、手入れをしない森林では、適切に管理された森林に比べ、スギでは4倍、ヒノキでは14倍の土砂の流出量になるなど、そのような研究結果も聞いております。しかしながら、定量的な評価になりますと、雨の降り方とか森林の所在の条件など、多くの関係因子がかかわってくることから、把握することは非常に困難であると言われております。しかしながら、森林の持つ多様な、広域的な機能を考えますと、水源地の大本の水源である森林の整備、保全が促進されるということですので、貯水池に流入する水も量と質の面から改善される、あるいは流入土砂も抑制されるといったところがあります。ダムを長期にわたり健全な状態に保全するための現在の最大の課題はダムのたい砂問題であります。そういうことから将来的には発生源対策として有効なたい砂対策につながるという認識をしています。
 したがいまして、水源地域の森林が整備されることにつきましては、ダムを管理している者からすれば歓迎されることでもあり、大いに期待をしているところです。




<質疑>
 先ほどお話をいただいたように、企業庁もこれまで、そして現在も水源林の保全に向けていろいろな取組をされています。一方でいわゆる水源環境税によって水源地域の森林整備の取組も始まったわけで、水源環境税による森林整備の恩恵を一番受けるのは企業庁であるのかと思います。当然、水源環境税による森林整備の取組というのを大変よく理解をされていると思いますが、所管ではないのでどのような形でお答えいただけるか分かりませんけれども、現在県が行っている水源林の調査でありますと、上流域の調査内容について、企業庁としてお答えできる範囲でお伺いします。

<答弁> 企業庁総務課企画広報室長
 現在、相模川には三つのダムがありますが、この集水域の約8割は山梨県内に広がっております。したがいまして、神奈川県の水源環境の保全・再生を図るためには、山梨県側の上流域対策に取り組むことが重要になっています。このため山梨県内の桂川、相模川流域におきましては森林保全対策あるいは水質保全対策について検討するための基礎資料を得るということを目的としまして、現在、神奈川県と山梨県が共同で相模川水系流域環境共同調査を実施しております。この平成19年度の共同調査の内容ですが、私有林の現況調査と生活排水処理方法の実態調査です。
 私有林の現況調査ですが、大月市と上野原市の約3,500ヘクタールを対象としまして、森林の混み具合や植生の状況、土壌浸食の状況を調査していると承知しております。
 なお、平成20年度につきましては、先ほど申しました大月市、上野原市以外の9市町村の約3,200ヘクタールを対象として同様の調査をすると伺っております。
 次に、生活排水処理方法の実態調査ですが、桂川、相模川流域にあります富士吉田市など11市町村の各世帯、事業所の生活排水の処理方法を地域別に把握するもので、地域内の人口が約19万人、世帯数が約6万8,000世帯であると伺っております。




<質疑>
 東京都は、東京都水道局が自前で水源林の整備をやっています。先ほどお伺いしたように、企業庁はこれまでずっと継続的に取り組んできたわけですが、全体的な森林整備の事業は、企業庁ではない県の方で進めているわけです。ただ、やはり水源環境税によって水源林が整備され一番影響してくるのが、企業庁が管理している貯水池だと思います。ですから私の思いとしては、この水源環境税を活用した水源地域の森林整備について、水がめを抱えて、一番実情が分かっている企業庁が主導し、いろいろな要望を出し、注文を付け、事業を推進するというような働き掛けをする必要があると考えますが、これについてはいかがでしょうか。

<答弁> 企業庁総務課企画広報室長
 水源環境保全・再生施策大綱における上流域対策ですが、先ほど申しましたように、現在、平成19年度から23年度までの第1期の実行5箇年計画におきましては、今後の具体的な取組内容を定めるための共同調査を実施するということになっております。したがいまして、県外上流域での具体的な森林整備あるいは水質保全対策というのは、この環境共同調査を基に様々な議論を踏まえながら、総合的な対応について検討されていくものと考えております。
 現在、県では水源環境保全・再生の取組の推進体制が構築されており、企業庁もその一員として参画しております。企業庁として働き掛けをということですが、企業庁もこの推進体制の一員でございますので、先ほどのような上流域対策につきましても、県のいろいろな会議の中で議論を深めていきたいと考えているところです。




<要望>
 是非、そのメンバーの中で主役を張っていただきたいと思います。
 上流域における森林整備の推進に企業庁として、更にこれからも積極的にかかわっていただくようお願いしたいと思います。