■平成19年度9月定例会 県民企業常任委員会(平成19年10月3日)
<質疑一覧>
 「今後の水道事業のあり方を考える懇話会」について
 環境関連事業について


 「今後の水道事業のあり方を考える懇話会」について
<質疑>
 私からは、大きく3点に分けて質疑をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、「今後の水道事業のあり方を考える懇話会」についてですが、その懇話会の審議の内容についてお尋ねをしたいと思います。
 今日の企業庁長の御報告の中にも、「今後の水道事業のあり方を考える懇話会」の審議の状況について報告がありましたが、そろそろ最終局面に近づいているのかという印象を受けました。
 第12回で審議されました報告骨子案というのがありますので、それに基づいて何点か伺いたいと思いますが、まずはじめに、その懇話会ではどのような議論を経て、この第12回の骨子案に至ったのかお尋ねしたいと思います。

<答弁> 計画課長
懇話会では、まず、5事業者の経営面、施設面の実態把握、課題の抽出が行われました。その後、事業者別に聞き取り調査が行われ、他県における聞き取り調査や事例調査も実施され、また、神奈川県内の水質事故に対する対応の状況等の調査が行われました。そのような議論を経まして、水需要につきましては、神奈川県の人口動態推計も勘案しまして、将来を展望した結果、新たな水源開発の必要はないと判断をされております。
 また、水道水の水質につきましては、各事業者とも国の基準を上回るものを確保し、良好であるという判断をされてございます。
 さらに、各事業者の経営状況ですが、県営水道、横浜、川崎、横須賀の末端給水を行っている事業者ですが、これらの水道料金はほぼ同水準であり、大きな差は見られなかったというお話になってございます。神奈川県内広域水道企業団も含めた5事業者の経営状況を見ますと、すべての経営の状況が安定しているという認識が示されております。
 このように、神奈川県の5事業者による水道水の供給は、将来的に安定しており、経営の不安も抱えていないことから、経営の合理化についての諮問があったわけですが、これらに関しては緊急に事業者の経営統合などを行う必要がないという認識の下で、骨子案の取りまとめが行われております。




<質疑>
 今日の報告では、第13回で、報告書案の審議ということになっていますが、第13回はいつ行われたのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 9月25日に開催されてございます。




<質疑>
 その報告書というのが、いつごろ出来上がってくる予定なのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 前回の9月25日に報告書素案という形で示されました。その段階で、資料を後ろに付けたりとか、ここには骨子を入れてとかという報告書の作り方について、座長から、骨子を膨らます形で報告書に仕上げていくというお話がございました。
出来上がりですが、年内を目途に報告書の作成を終わらせるというお話でございました。




<質疑>
 水質事故等への対応強化を図るために、広域的な水質管理センターの設置の必要性があるということです。これは、現状もそうした水質管理システムというものがあると思うのですが、現状の連絡網でありますとか連絡体制でありますとか、また対応部署でありますとか、そういったことがどうなっているのか、あるいはこの広域的な水質管理センターという言葉は割と平易なもので分かりやすいのですが、どのような組織を想定しているのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。

<答弁> 計画課長
 最初に、水質事故が発生した場合の現在の対応の状況ということですが、連絡網等について、まず、河川上で、油が浮いているだとかいろいろな事象の事故が発見されたときは、警察署、消防署、もちろん行政機関にも一般的に通報があります。
 第一報を受信した行政機関では、県の公共用水域における汚水、廃液等による水質異常対策要綱に基づいて水質事故調査概要連絡網をつくっています。それに従いまして、水道事業者につきましては、まず県営水道へ情報が届き、そして、5事業者でつくっている相模川酒匂川水質協議会の緊急連絡体制により、情報を流します。また、最近では、インターネットを使いましてインターネットの画面上に情報を受けた状況を書き込むという情報の共有化システムにも取り組んでいます。
 報告骨子案では、この連絡網や対応部署が非常にふくそうしていると指摘しております。大きな事故に対して浄水場より後のところでは特に問題はないという判断はしていただいておりますが、そこに至るまでのところがふくそうしているという認識が示され、より迅速で的確な対応がとれるように、水質管理センターといった恒常的な組織をつくったらどうだというお話です。
 水質管理センターが、どういったものかということですが、事故情報をいかに早く取水所あるいは浄水場に伝え、適切な対応をとるのか、同じ川の水を利用している事業者同士、どのように対応するか、これはまだ詳細には決められてございませんので、報告書が出た後で、事業者間でいろいろと相談をすることになろうかと思います。




<質疑>
 同じ水源を共有した事業者同士がしっかりと連携をとっていき、また広域的な監視体制というのは大変大事なことだと思いますので、具体的な組織についても明確になり次第、教えていただきたいと思います。
 また、今回の報告骨子案では、今後の施設の老朽化に伴う大量の設備更新等を踏まえて、水道施設の全体的な整備計画の策定が必要だとありました。これはどういったことなのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 懇話会では、企業団以外の末端給水を行っている4事業者は、企業団から用水供給を受けていることから、共通の経営基盤を持っているという認識がございました。その上で、共通する経営課題、特に長期的視点で見ますと、今後30年という視点で議論をいただいておりますが、その中で浄水場の更新があります。浄水場は主に1960年、70年代の初めに大量に造られておりますので、それらの更新時期がいずれやってきます。そのときに、費用調達などを含め、具体的な更新計画を、経営基盤指針の中で持つことと、さらには、各事業者個々ではなく県全体として、安全で安心に配慮した必要な浄水能力が確保できるのか、これらをよく検討する必要があるという認識が示されております。
 そこで、報告骨子案では、浄水場管路の老朽化、大量更新が控えていることを踏まえ、この先、人口もいずれピークを過ぎて、減少していく中で、給水量の4分の3が生活用水ということになりますので、水需要もいずれ落ちていくという見込みの下に、そういう可能性も考慮した上で水道施設について、30年程度の計画を共同でつくる必要があるという御提案でございます。




<質疑>
 共同で長期的な30年程度の経営計画をつくれとされているのは、浄水場の更新ということで、この30年という期間が設定されたと考えてよろしいのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 特に浄水場と限定したわけではございませんが、長期的の視点の30年ぐらいとなりますと、委員御指摘のように、特に浄水場の大量更新があるいう点が大きいかと思います。




<質疑>
 県営水道独自でも、確か平成18年度から平成27年度までの10箇年計画で、老朽化した管路の更新なども含んだ老朽管対策について、私の数字の読み間違いでなければ、1,000億円程度の費用をかけて行うということです。これは、長期的な計画ですけれども、この県営水道の計画との整合性というのは、きちんととれているのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 平成18年度にスタートしています県営水道の経営計画の中で、平成27年度までの計画をつくってございます。これは、主に管路につきまして、毎年予算規模も決まっており、その中で耐震化等を含めながら更新をしていくというものです。しかし、浄水場の更新に関しては、平成27年度までには予定がありませんので、その計画の中では除外をして計画を立ててございます。




<質疑>
 また、この報告骨子案の中に、共通する経営問題を調整するために、広域的な経営調整機関の設置が必要ということがありますが、この広域的な経営調整というのは、具体的にどのような内容のものなのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 5事業者の浄水場の能力をそのまま、その場で同じように更新するのか、あるいはもう既に将来的に浄水場の縮小等をしたいという意向を表明している事業者もございます。そこで、全体的な浄水能力について、企業団を介して同じような水を使っておりますので、それらの調整をしっかり行うための機関として位置付けられております。ある事業者が浄水規模を縮小するなどということになってきますと、将来的に不安を引き起こし、個別被害が起きる可能性もあるだろうということから、そこについてはしっかり調整する必要があるということでございます。




<質疑>
 すなわち、全体としての浄水能力の調整と考えてよろしいのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 更新において一番金額的に大きいのは、浄水場でございますが、それ以外には、安全のための広域化についても、いろいろなパターンがあり、管路を接続し合って融通し合うだとか、浄水場につきましても、企業団が寒川浄水場で処理したりしており、そういった工夫もできるだろうという、いろいろな御意見が出ております。管路というのは、それぞれの事業者が、浄水場の手前でも大口径で持っている部分がございますが、浄水場以降については、各事業者がお客様のところに直接配る管路でございますので、それを調整するというのはなかなか難しいと思います。




<質疑>
 今報告骨子案に目を通していて、気が付いたのですが、この骨子の中に、地震対策等の強化というのがあって、県営水道と横浜市では、管路の耐震化の遅れが見られたとあります。これは、県でも、当然耐震化計画があって、今、事業を進めているところですけれども、その上で、取組強化が必要と言われていますが、今の計画では少し遅く、スピードアップしてくださいという注文は付いているのでしょうか。

<答弁> 計画課長
 確かに、取組強化が必要だと書いてございます。ただ、私どもは、平成27年度までは経営計画をお示しをして御理解いただいて、その中で財政的にも議会の御確認もいただいて進めているところでございますので、今ある計画をしっかりと確実に進めていきたいと思います。
 ここで耐震化率が低いと言われていますが、全国的に見ても、まだ全体的に低いレベルにございます。ですから、委員の中の議論でも、一部の団体で低いのは確かですが、全体的な底上げが必要だろうという意見も承っております。経営計画では、耐震化率を9.5%から16.6%までに上げようという計画にしておりますので、着実にこれを進めていきたいと考えてございます。




<質疑>
 また、この報告骨子案の中で、基幹的水道技術者の確保ということがあって、これは神奈川県の県営水道は、いろいろ資料を拝見する中で、民間に任せるところは民間に任せるということで、県内の4事業者の中でも大変少ない職員で頑張って仕事をされているということはよく承知しています。この技術者の確保については、民間委託を進めることを前提に基幹的水道技術者をきちんと確保していくべきであり、特に若年層の人材不足が目立つということが書かれているわけですが、神奈川県では、また県営水道においてはどのような対策をして、人材を確保されようと考えているのでしょうか。

<答弁> 水道電気局長
 まず、アウトソーシングできるものがどの範囲かということが大事だと思いますが、水道事業を運用する上で必要なものは、技術と人であるということは、昔から言われている話でございます。特に基幹的な技術と申していますが、事業運営をすること、また経営計画を含め、施設計画をどうするか。それから、コアに当たる部分には、浄水場の運転技術などといったものがあり、こういったものを民間に任すべきではないということがあります。その理由として、民間技術の熟度が今どの程度かというのを考えますと、個々のシステムにおいては、それなりのノウハウを持っていますが、総合的に水道事業の運用をどうするのか、あるいは浄水場の運転をどうするかという、水道事業全体をハンドリングできるほどの技術を持っているところは、まだまだありません。
 そういった意味では、メインになるような浄水場の運転計画、あるいはもっと言えば設計といったものについては、自らがやっていかなければいけないと思っております。
 もう一つは、今後どのようにその技術者を確保していくかという問題ですが、団塊の世代の2007年問題で、技術者の確保というのが話題になっております。技術者の確保といっても、本当の技術を継承するということと、熟練工をつくっていくということとは少し違っていると思っています。
 私どもの考えている技術者というのは、水道管のつなぎ方がうまいとかという熟練工ではなく、先ほど言いましたコアに当たる部分の技術者をどのように育成していくかということでございます。もちろん、個人の能力もありますが、普段のOJTによるところの訓練や研修、公的な資格の取得など、それらにおいて個々の能力をスキルアップする形で、かなりの精度の人材が育成できるものと思っております。
 現に神奈川県におきましては、少ない職員で、ダムから浄水場からの給水、配水といった、水道のあらゆる技術について4年ないし5年のサイクルで各職場を回っていますから、ほかの東京都や横浜市のように、現業で一つの業務だけをずっとやっているというような職人ではございません。そういった意味では、割とグローバルな人材育成が図られていくのではないかと考えているところであります。




<質疑>
 例えば検針だとか、そういったものについては、当然、民間に任せていくけれども、基幹的なところはしっかり押さえておくということで、これは納得いたしました。
 それで、最後に、先ほどこの報告書が年内には出来上がってくるというお話でございましたが、その後、今、いろいろとやりとりをさせていただいたような中身について、ほかの事業者を交えた実際の論議など、今後の予定が分かれば教えていただきたい。

<答弁> 計画課長
 懇話会が9月25日に開催されましたときに、報告書の作り方等、一部図表などの作り方というのも御意見が幾つか出ておりました。まだあと、1回もしくは何回かは分かりませんが、議論をされ、審議をされて、手直しをされていくかと思います。その後は、今度は諮問をしました5事業者間で御相談を申し上げ、どのように受け止めて、御相談をしながら、ここに提言されている中身をどのように実現させていくのか、行政の立場でよく相談をして、その先に進んでまいりたいと考えております。




<要望>
 全国的にも有数の規模の水道事業体である神奈川県内の水道の事業者、そしてまた、事業者が互いに協力していくということは、もちろん水道経営の効率化にもつながると思いますし、また安全な水の安定的な供給ということを考えても、大変有意義なことであると思います。この答申が出た後は、事業者間で連携をとって、どのように協調していくべきか、十分に検討をしていただきたいということを要望しまして、次の質問に移ります。




 環境関連事業について
<質疑>
 この環境関連事業の中でも、いわゆる未利用エネルギー、環境への配慮ということを考えても、クリーンな自然エネルギーの導入というのは、これからもどんどん促進していくべきだと考えますので、そのことに関して何点か伺いたいと思います。
 まず、これまでの水力発電の取組についてお伺いいたします。

<答弁> 発電課長
 企業庁の電気事業は、現在、相模川水系に9発電所、酒匂川水系に2発電所、早川水系に1発電所、合計12箇所の水力発電所を有し、最大出力の合計が35万4,630キロワットで、発電した電力をすべて東京電力(株)に卸供給してございます。これをもって電力の安定供給、さらに、二酸化炭素の排出抑制に貢献してございます。
 また、最近では、平成17年度から2箇年の道志ダム維持放流設備改良事業におきまして、最大50キロワットの道志ダム発電所の建設を行い、昨年12月から運転を開始してございます。道志ダム発電所は、道志ダム下流の河川環境保全のための二次放流水を利用したもので、自然エネルギーの有効活用を目的とした小水力発電所でございます。




<質疑>
 電気事業として道志ダムに小水力発電所を造ったということですが、水道事業においての小水力発電設備もお伺いしていますが、具体的な内容を教えてください。

<答弁> 水道施設課長
 寒川浄水場では、浄水場から遠く離れ、また標高の高いところにあります配水池に水が届くよう、ポンプの圧力を浄水場で調整しております。したがいまして、寒川浄水場に比較的近いところにあります稲荷配水池では、水圧が未利用のエネルギーとして残っております。この未利用のエネルギーの有効活用を図るため、小型の水力発電設備を設置し発電を行い、稲荷配水池に併設されている稲荷ポンプ所で使用することにより、購入する電力量を削減いたします。これにより、二酸化炭素排出量を減らすことで、地球温暖化の防止の一助になると考えております。




<質疑>
 その稲荷配水池の小水力発電というのは、どのぐらいの発電量なのでしょうか。

<答弁> 水道施設課長
 発電機の計画出力は116キロワットでございます。それから、年間発電電力量は約74万キロワットアワーを想定しております。




<質疑>
 今お聞きしました水力発電以外に、企業庁で設置したクリーンエネルギーの施設をお教えください。

<答弁> 発電課長
 企業庁で設置しました水力発電以外のクリーンエネルギー施設ですが、太陽光発電施設がございます。平成11年3月、相模川発電管理事務所内に、最大出力50キロワットの太陽光発電設備を設置し、発電した電力を管理事務所の所内電力として使用するとともに、休日等に余った電力を東京電力(株)に売電してございます。
 設置の目的でございますが、新エネルギーを導入することにより、環境保全に貢献することと、施設を一般公開し、県民の太陽光発電への理解を深め、普及啓発に役立てることとしております。そのために、敷地内に遊具等を利用した太陽光発電や風力発電などのPR施設も設置しており、施設全体を「城山ソーラーガーデン」と呼んでございます。
 その後、平成15年3月には、水道記念館に最大出力5キロワットの設備を設置しており、さらに、平成17年2月、寒川浄水場の沈殿池やろ過池の安全対策として設置する覆いふたの一部として、太陽光電池パネルを取り付け、最大出力120キロワットの発電設備を設置し、発電した電力で浄水場の所内電力の一部を賄ってございます。




<質疑>
 寒川浄水場の太陽光発電は、以前見せてもらったことがありますが、城山ソーラーガーデンや寒川浄水場の太陽光発電の設置費用はどのくらいなのか。またNEDOの補助がどれぐらいあったのか分かりますでしょうか。

<答弁> 発電課長
 城山のソーラーガーデンですが、帳簿原価1億800余万円で、そのうち補助金が4,336万円でございます。この補助金は、環境調和型エネルギー供給施設整備事業というもので、2分の1以内の補助金をいただいてございます。
 それから、寒川浄水場の太陽光発電設備ですが、事業費としまして、2億5,500余万円で、そのうちNEDOからの補助金は、1億600余万円でございます。




<質疑>
 話が戻って恐縮ですが、先ほど伺った小水力発電は、県費で賄っているのでしょうか。

<答弁> 発電課長
 県営電気事業として出費しておりますが、NEDOから30%の補助金を受けております。




<質疑>
 大体稲荷配水池のところで約1億円の費用ですが、そのかかった費用はともかくとして、普通の城山発電所にあるような発電機などがあると思うのですが、いわゆる小型の水力発電機の耐久性は、どれくらいなのでしょうか。

<答弁> 発電課長
 小型の水力発電機ですが、法定耐用年数は22年となってございます。また、一般的な水力発電所機器ですと、途中でメンテナンスを行い、40年とか60年といったオーダーで大掛かりな更新工事を行ってございます。




<質疑>
 太陽光発電にしてもその小水力発電にしても、そのような新しい未利用エネルギー施設が、せっかく造ったのに短い期間で廃止されてしまうということでは、何か省エネルギーに反するような気がします。できるだけサステナブルと言うのでしょうか、持続可能な発電ができる方向にこれからも考えていっていただきたいと思います。
 今、お聞きした以外に、例えば環境配慮型といったエネルギーについて、企業庁として検討しているものがあれば伺っておきたいと思います。

<答弁> 発電課長
 水力及び太陽光発電以外に導入を検討したクリーンエネルギーとしては、風力発電がございます。風力発電については、平成14年度から県有地を対象として候補地点を選定し、合計3地点につきまして風況調査、導入可能性の調査等を行ってきましたが、事業として採算を見込むのが難しい状況で、導入には至ってございません。
 また、そのほかのクリーンエネルギーにつきましても、運転調査等を行ってございますが、導入検討を行うまでには至っておりません




<質疑>
 今後のクリーンエネルギーの導入ということでは、大体今の御説明で分かりました。
 このクリーンエネルギーというのは、いろいろと難しいと思います。なかなか実用には向かないものもありますし、難しいと思いますが、積極的に取り組んでいるということは理解しました。先ほど申し上げたように、できるだけ持続ができるような形で今後も取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、城山発電所についてお伺いします。
 私どもも県内調査でお伺いいたしましたが、今年度から大変に経年劣化の著しい城山発電所1号機、2号機の改造等を行う第2期改造事業に着手するということですけれども、この夏の運転状況について、大変猛暑であったということもありますので、その運転状況を含めて、城山発電所について何点かお伺いしたいと思います。
 まず、今申し上げたように、大変な猛暑の中でこの発電所のこの夏の運転状況はどのような状況だったのでしょうか。

<答弁> 発電課長
 城山発電所は、揚水式の発電所で、電力の消費が少なくなる深夜に余った電気で水車を逆に回してポンプとして使用し、津久井湖の水を上にある城山湖にくみ上げておき、昼間の電力消費が大きくなったとき、あるいは電力供給に支障が生じたときに、津久井湖に水を落として発電し、電力の安定を図るというものです。
 この夏の運転状況でございますが、8月の電力量で申しますと、最近10年間では最大となります約917万キロワットアワーを送電し、これは過去10年間の平均の約5倍の電力量でございます。このように、猛暑により電力需要のピークの大きさに応じて運転が増えるのは、揚水式発電所の特徴と考えてございます。



<質疑>
 大変な猛暑であったということで、消費電力量が多かったと思うのですが、それ以外に今年の場合は、新潟県中越沖地震で東京電力(株)の柏崎刈羽原発が停止しましたが、その影響はあったのでしょうか。

<答弁> 発電課長
 今、委員お話しのように、新潟県中越沖地震により柏崎刈羽原子力発電所が停止したため、この夏予定しておりました供給電力が約700万キロワット低下しておりました。そこで、夏の電力消費のピークに対応した電力供給量を確保するため、発電所の増出力運転や他の電力会社からの融通などの対策を行いましたが、猛暑等で気温が著しく上昇した場合、電力の供給が不足するおそれもあるため、例年にない危機感を高めていたところでございます。
 そのような状況の中で猛暑等になり、急激に電力需要が上昇したため、即時に運転を行える城山発電所につきましては、8月には連日のように東京電力(株)から要請を受け、例年にない運転状況となりました。とりわけ、東京電力(株)がこの夏最大電力を記録いたしました8月22日をはじめ、21日、それから現地調査を行っていただいた10日には、城山発電所4台すべて、全出力で運転を行い、東京電力(株)の電力供給の安定に重要な役割を果たしてございます。




<質疑>
 城山発電所がこの夏の電力安定供給に大きく貢献したということだと思います。そのほかの県営の発電所はどのような状況だったのでしょうか。

<答弁> 発電課長
 この夏は、雨が非常に少なく、県営発電所全体では例年より発電量が少ない状況でしたが、各発電所について、でき得る限り昼間の電力需要のピークに合わせて運転するよう運用しまして、東京電力(株)の電力供給に最大限の協力を行ってございます。その結果、東京電力(株)が最大の電力供給量を記録しました8月22日には、電力需要のピーク時間帯、14時から15時の間に合わせるように最大の発電をしまして、そのときの県営発電所すべての最大発電電力は、城山発電所を含め32万3,000キロワットの発電を行ってございます。
 なお、この日、東京電力(株)が大きな工場などに機器の停止などを要請しまして、電力の需給調整をお願いしていますが、その電力が約14万キロワットでしたので、そういったことを考えると、県営発電所が32万3,000キロワットを発電したということは、非常に大きな貢献だったと考えてございます。




<質疑>
 そのようにフル稼働という状態だと思います。また、東京電力(株)の電力供給で言えば、原発がどのようになるか分かりませんが、若干不安な要素もあります。その中で、今回、城山発電所が計画どおりに発電機を停止させ、改良事業を行うということが、電力の安定供給を考えたときに、本当に可能なのかどうかという不安もあるのですが、いかがでしょうか。

<答弁> 発電課長
 東京電力(株)の電力供給が心配されておりますのは、主に夏の電力需要の多い時期でございます。第2期改造事業の工事工程は、当初から電力需要の多い夏を避けて計画しております。また、東京電力(株)ともそのような調整が済んでございます。今年度は、2号機が10月1日から来年の3月まで停止し、平成20年度につきましては、1号機が同じく10月から翌年の3月までの停止となっており、電力供給に与える影響は最小限に抑えておりますので、計画どおり工事を行えると考えてございます。




<質疑>
 最後に、第2期改良事業というのは、大変な額の費用を要するということになっておりますが、これがこの神奈川県の電気事業に与える効果を伺いたいと思います。

<答弁> 発電課長
 今回の改造事業によりまして、城山発電所は全4台の水車、発電機の改良が終了いたします。この事業により、電力料金収入の4割以上を占める県営電気事業の基盤となっております城山発電所の安定供給の信頼性が高まり、保守性が向上いたしますので、電気事業の長期安定的な経営に大きく寄与すると考えてございます。今後も、首都圏に一番近い揚水発電所として供給予備力としての使命を果たし、電力の安定供給にこたえていきたいと考えてございます。




<質疑>
 参考までにお聞かせいただきたいのですが、先ほどのクリーンエネルギーとも関連しますが、水力発電というのは、ダムなどを造るという最初の自然に与えるインパクトも相当大きいと思いますが、その後、運転していく上では大変効率も良く、また環境にも余りインパクトを与えない、比較的望ましい発電だと思います。今のこのダムの規模という中で、今回その機器を更新し、将来、機器の効率がどんどん良くなることによって、同じような発電所の規模で発電量が大きくなるという可能性はあるのでしょうか。

<答弁> 発電課長
 水車発電機による水力発電で言いますと、効率というのは、ダムの大きさでなく、水車と発電機の効率によります。そういったところから、最新の技術を使った最新の揚水式の発電所もありますが、コンピューターによる解析がかなり進み、水車の効率そのものは大分向上しておりますので、新しい機器が使えれば、発電量が伸びると考えてございます。




<要望>
 今、お伺いをしてきましたが、城山発電所というのは大変大きな役割を持った重要な発電所であるということは理解いたしました。また、第2期の改良事業というのは、3年間にわたる大変大きな工事と思いますが、まずは、事故がないように安全に気を付けて、計画どおりに完成させていただきたいと思います。そのことによって引き続き電力の安定供給に努めていただきたいということを要望しまして、私の質疑を終わります。