■平成19年度9月定例会 県民企業常任委員会(平成19年10月2日)
<質疑一覧>
 県民満足度調査の取組にについて
 かながわ男女共同参画推進プランの改定について
 文化行政の振興について


 県民満足度調査の取組にについて
<質疑>
 我が会派の代表質問で、県民サービスの向上には窓口に来られて実際に利用する県民の方々から、満足度を聞くということが重要であるという観点から、個々の行政機関における県民満足度調査の実施について提言をさせていただきました。
 知事からは、より多くの行政機関で県民満足度調査が実施できるように取り組んでいくという答弁をいただきました。また、今申し上げた満足度を狭義の満足度とすると、県の施策でありますとか制度でありますとか、そういったものがどれだけ県民のニーズを満たすかという広い意味の満足度ということもありますので、こちらも大変重要な課題であると思います。
 例えば、中小企業の経営者が県の制度融資を知ったとして、金融課に問い合わせをしたら、大変親切に教えてくれ、また、融資のメニューも大変充実していました。この親切に教えてくれたというのが言ってみればサービスに対しての満足度だと思いますし、また、融資のメニューが大変充実していて使い勝手が良く、また保証協会の審査もスムーズだったという制度に対しての満足度というのもあると思います。
 そこで、広聴事業を所管する県民部として、今後どのように取り組んでいくのか何点かお伺いしたいと思います。
 まずはじめに、県民部では様々な広聴手段をお持ちだと思います。中にはアンケート調査という形で実施しているものがあると思います。県民の満足度ということについては、これまでどのように把握してきたのかお伺いします。

<答弁> 広報県民課長
 県の施策に対する県民の皆さんからの御意見あるいは御要望を承る県の広聴事業の中に、委員のお話にありました様々なアンケート調査を実施しています。特に、県民ニーズ調査あるいは県政モニターへのアンケート調査を実施する中で、県民の施策に対する満足度等の把握を一定程度させていただいているという状況にございます。




<質疑>
 恐らく行政分野ごとに満足度というのは、県民部で調査していると思いますが、個々の行政機関の一つとしては、先ほど申し上げた窓口サービスのような業務に対しての県民の利用者の満足度、もう一つは、施策とか制度に対しての満足度といったことについて、どのように把握しているのかお聞かせください。

<答弁> 広報県民課長
 まず最初の個々の行政機関が提供しております窓口サービス業務に対する満足度ということですが、これは幾つかの行政機関の中で、自らの取組として利用者アンケートという形で実施されている例が多くあります。
 例えば、県の直営施設でいいますと県立の病院などの窓口では、患者さんを対象にしまして待ち時間や看護サービスといったもののアンケート調査を実施して把握しています。あるいは県立の博物館などの社会教育施設でも催し物の企画内容、あるいは施設、設備といったことについてのアンケート調査をしております。
 さらには、社会福祉施設などでは、そこを利用されている方々からの声のポストと称するような形で、利用者に自由に意見を書いていただいて満足度を一定程度把握するという例がございます。
 さらに、指定管理者制度を導入している施設におきましては、指定管理者は利用者の満足度調査を毎年実施して、県に報告することとされておりますので、そうした形で窓口の中での利用者の満足というものは一定程度把握されていると思います。
 また、二つ目にお尋ねの行政機関の提供する施策、制度等に対する満足度ということにつきましては、県政モニターを公募で毎年400名ほど委嘱してお願いしておりますが、この方々にアンケートを年間数本お願いしてございます。そうした個々の具体の施策分野ごとに課題アンケートをお願いしている中で、施策ですとか制度に対する満足度について一定程度把握させていただいているという形になってございます。




<質疑>
 県政モニターの方に対するアンケートが、年間数本ということですが、これはどういった分野について、どういったことを聞いているのでしょうか。

<答弁> 広報県民課長
 例えば、平成18年度におきましては、県の社会教育施設の利用等についてお伺いしたり、あるいは平成17年度においては、「かながわの医療」についてお伺いし、そうした個々の施策分野ごとに県民の方々のテーマ、施策に対する満足度等を一定程度把握させていだたいております。
 また、こうした把握のほかにも、定性的な把握となりますが、窓口には多くの皆さんがおいでになりますので、そのときに、私の提案制度という知事への手紙のようなものがあり、そうした形で利用者からの満足度を御意見という形で把握させていただく例もございます。




<質疑>
 今の県政モニターのアンケート、そしてまた窓口で私の提案制度といったことで県民の皆さんから意見や提案をいただいているということです。特に、私の提案制度というのは、県民の方に積極的な参加をお願いするもので、相当いろいろと建設的な意見や提案も出てきていると思いますが、例えばそれが業務に実際反映しているのかどうかというところですが、その辺りはいかがでしょうか。

<答弁> 広報県民課長
 私の提案制度は、御指摘のとおり、県民の皆さんどなたでも気軽な形で県政に参加してもらうということで取り入れたもので、この提案制度による業務の改善として、うまく反映している直近の事例でお話しします。まず、パスポートの発給事務に当たり、確認手続の際に隣の方から、ディスプレイの中が見えてしまい、個人情報が見えてしまうので何とか対応してほしいという提案がございました。これにつきましては、窓口のところで視線を遮るようなアクリル板を即座に設けて、業務の改善に至った事例が直近ではございます。
 それから、県の職員名簿を販売しておりますが、もっと権限や責任を有する職員の氏名を県のホームページなどで公表すべきではないかという提案をいただきました。これも直ちに幹部職員の氏名を県のホームページに登載したという事例も最近ではございます。
 それから、例えば病院の事例では、給食の提供で、これは子供さんの例ですけれども、一、二週間で同じものが繰り返され、もう少し工夫し、子供に食べやすい献立を考えてほしいという提案がございました。これは病院の方でそれを受けて、スタッフを中心に朝、夕の献立を見直し、食材は同じでも、今まで献立が10日ぐらいでサイクルしたものを、4週間程度に延ばして実施したという事例もあり、一定程度いろいろな意見に関して業務改善に役立てさせていただいているところでございます。




<質疑>
 様々な場面で様々な調査を行っているということは分かりましたが、先般の代表質問で、これをより県民のニーズを満たしていくために、県庁全体で満足度調査を実施し、全庁でやるべきではないか。そのためには、全庁統一的なというのは言葉ではなかなかイメージがつかみにくいと思うのですが、そのときの代表質問では全庁統一的な調査方法を確立したらどうかという提案をさせていただきました。そのときに知事の御答弁は、なかなかそれは難しいというお話だったのですが、その難しいというのはどういう御認識から判断をされたのか。その辺りをお伺いします。

<答弁> 広報県民課長
 難しいとした根拠ですが、実は、各行政機関が窓口を通じて提供しております県民サービスは、相談業務ですとか、先ほどの病院のような医療ですとか、あるいは福祉施設、あるいは文化教育施設等々多岐にわたっております。その施設に対する利用者も1回でその利用が終わってしまう方もいれば、継続的に何度も利用されるような施設もございます。また、管理の形態の関係ですが、県の直営の施設や、先ほどの指定管理者のお話のように、指定管理者の導入に伴いまして民間企業が管理されている、あるいは財団法人等が管理されている等、管理の形態でも様々でございます。
 満足度調査を既に実施している幾つかの例を見ましても、窓口対応など職員の対応に関することに中心を置かれていたり、あるいは施設・設備に中心が置かれていたり、あるいは催し物などの事業内容、企画内容に重きが置かれたアンケートになってみたりと、その管理形態、事業の形態等々、様々な実情に応じて、その業務特性を踏まえた設問内容になっており、こういう状況の中で全庁統一的な手法を用いるというのは、なかなか困難ではないのかと考えたところでございます。
 ただ、利用者の声を聞くということ自体、あるいは満足度を踏まえて改善を図っていくということは、行政運営の基本だと思っておりますので、提供する行政サービスの内容に合わせて、より多くの行政機関で満足度調査が実施されて、自らの業務改善を図っていく取組を進めていくということが大切であると考えているところです。




<質疑>
 今おっしゃったとおりに、例えば全庁統一的な調査方法はなかなか困難だとしても、正に今おっしゃった、より多くの行政機関でそういった調査を実施していくというのは、進めていかないといけないと思います。これまで行政機関ごとの満足度調査ですとか、サービスの改善といったものは行政システム改革の取組の一つとして進められてきたと思いますが、県民部というのが広聴・広報のプロと言いますか、そのようなノウハウをたくさん持っているわけですから、全庁をリードする形で、県民部ができる役割というのは決して小さくないと思います。そこで、どのようなことが県民部としてはできると思っていますでしょうか。

<答弁> 広報県民課長
 委員御指摘のとおり、個々の行政機関における窓口業務の改善と言いますか、業務プロセスの改革といった面については、本県では従来から行政システム改革の取組の一つと位置付けられて、その中で全庁的な取組をしてきたと承知しております。
 今年7月に策定された新たな行政システム改革基本方針の中でも、施設や窓口等における県民サービスの充実・向上ということが位置付けられており、全庁的に取り組もうというお話だと思います。
 県民部としましては、県民と県行政の橋渡しとなるような、先ほど来お話ししましたいろいろな広聴の手段を持ってございます。県民との対話行政という仕事をさせていただいているわけで、こうしたことから、個々の行政機関における県民サービスの向上の旗振り役は、大きくは総務部になろうかと思います。県民部では満足度調査という形の中で、これまで行ってきた様々なアンケート調査のノウハウを活用させていただき、提供させていただきながら、より多くの機関が満足度調査を実施していくという側面支援をしていくという役割を担っていくのではないかと考えているところでございます。




<質疑>
 県民部だからこそできるという、これまでのアンケート調査などのノウハウはたくさんあるということですから、その中で、例えば県民ニーズ調査というのは、意識とか実情を探っていくものだと思いますし、また県政モニターや様々なアンケート調査が、本当にストレートにサービスだとか施策に対しての注文というか、意見がくみ取れる方向だと思います。だから、そのようなノウハウを一番持っているのは県民部ですから、これは私自身の提案といったら大げさですけれども、全庁的にそういう県民の意見を活発に吸収し、また反映させている事例を県民部の方で吸い上げて、うまくいっているものに関しては、それを全庁的に広めていくということ。優良な事例をどんどん公開していって、ほかの部局でもこういう方法でやったらどうですかという提案を県民部の方から全庁に向けて行っていくということも、一定の効果があるのかと思いますが、そのようなことは具体的に考えられていますでしょうか。

<答弁> 広報県民課長
 今後の具体的な取組ということですが、窓口業務等を行っている行政機関の中でも、まだ満足度調査を手掛けていない機関も多くあります。まず、そうしたアンケートを実施していないところには、こういう事例があるのではないかという形で実施しているところの実例を集めた実施事例集みたいなものを何とか整理しまして、全庁的な提供を試みたいと考えてございます。
 委員御指摘のように、それを契機にして全庁的に広めていくことがまずは大事だと思いますし、そうした事例を踏まえ、それぞれ機関が違いますので、業務内容に則したアンケートについて、その取組を進んでやっていただいて、あるいは既にやっているところは他の事例を踏まえて改善していくという取組にもつなげられるのではないかと思いますので、まずは実施事例集といったものを作っていきたいと思います。
 また、その中で、企画段階で必要に応じて、私どもにアンケートの作り方の相談もあろうかと思いますので、その点についても積極的におこたえしていく中で、各機関で満足度調査、利用者アンケートというものがより多く実施されるようにしていきたいと考えているところです。




<要望>
 やはり県民サービスを充実させていくというのは当然のことですが、それぞれの行政機関で直接利用者の声を聞いていくということが一番大事なことだと思います。そういった手段の一つとして、先ほど来出ているアンケート調査は大変有効な手法であると思います。
 そういった行政機関がアンケートとか調査を的確に実施し、県民の声を吸い上げていくには、広聴・広報のノウハウを持っている県民部の役割も大変大きいと思います。県組織全体の窓口業務の充実と県民サービスの向上を目指して、積極的に今後も取り組んでいただきたいという要望をしまして、この質問は終わります。




 かながわ男女共同参画推進プランの改定について
<質疑>
 現行の男女共同参画推進プランというのは、平成15年に策定されたわけでありますが、それから国でもいろいろな動きがありました。一つは、平成17年の次世代育成支援対策推進法です。これで企業などが少子化対策を本格的に行うようになってきました。また、男女雇用機会均等法が改定されて雇用における男女平等ということも少なくとも形式的には進んできました。
 このように法制度の改善は進んでいるわけですが、女性のみならず男性も含めて、就労環境が目覚ましく良くなったとか、また、仕事と家庭の両立が十分に図れるようになったという、残念ながらそういった実感は余りないのではないかと思います。やはり男女共同参画に対しての意識改革がまだまだ進んでいないのかと思います。また、働き方の見直しということもまだまだ進んでいないのかという感じがいたします。県民の意識というのが今どうなっているのかということと、男女の平等感だとか働き方について、県民の皆さんの意識がどう変化しているのか。その辺りの御説明からいただきたいと思います。

<答弁> 人権男女共同参画課長
 まず、男女の地位についての平等感についてでございます。これは、県民ニーズ調査によりますと、社会通念、習慣、しきたりなどについて、男性の方は優遇されていると感じている県民の割合という結果ですが、平成11年度は77.3%でしたが、これが平成16年度になりますと63%と一たん下がっております。それがまた平成18年度になりますと69.4%へと再び上がっているという状況になっております。
 このことは、今委員のお話にもありましたが、男女共同参画におきまして、様々な法制度が改善をされているにもかかわらず、それがなかなか実感として感じられないといったようなことの表れではないかと考えられます。
 次に、仕事や家庭などに関する意識でございます。
 報告資料の16ページの方に、グラフでお示しさせていただいているわけですが、夫は外で働き、妻は家を守るべきという考え方について、そう思うという方の割合が、神奈川県は全国に対して常に低い状況となってございます。
 全国のデータの平成14年度にそう思うという人と、そう思わないという人が同率になっています。その後、逆転をして、そう思わない方の方が上にいっていますが、本県の県民の意識では、同率となったのが平成18年度ということで、若干遅れており、本県における意識の変化というものが、全国と比べまして緩やかな感じかと思っております。
 それから、13ページの仕事と家庭生活や地域活動へのかかわり方についてのグラフを参照させていただきます。これにつきましては、経年変化のデータがありませんが、平成18年度の調査で、仕事と家庭生活等を両立させることが望ましいとしている女性が34.7%でしたが、現実に両立させている方が13.5%ということになっています。
 男性の方でも、両立が望ましいとする割合が23.8%ですが、現実には9%ということで、男性も女性も望ましいと考えている理想と現実に大きな差があるということで、就労関係の整備に取り組んでいく必要がまだまだあると思っているところです。




<質疑>
 望んでいる姿と現実の姿の間に、まだまだ大きなギャップがあるということです。これから、労働人口全体が減っていく中で、女性の就労率というのは、恐らく高くなっていくかと思います。そうすると、女性も社会に出て、男も社会に出る。当然、そうすると、もちろん女性にとっても家庭と仕事の両立は大事ですけれども、男もある程度引き受けなければいけない部分は大きくなっていくわけで、いわゆるワーク・ライフ・バランスという問題は、男性にとってもすごく大事だと思います。
 今回のプラン改定に当たって、基本理念の一つの仕事と生活の調和ということが掲げられているわけですが、このプランの目指すところのワーク・ライフ・バランスの考え方を具体的にお伺いします。

<答弁> 人権男女共同参画課長
 「仕事と生活の調和をワーク・ライフ・バランス」と位置付けておりますが、こういう生活というのは、仕事以外の家庭生活、地域での生活、自己啓発活動など、様々な活動を含めております。仕事と仕事以外の生活の充実とのバランスを図っていくというように位置付けています。
 望ましいバランスというものは、こうあるべきという基準がございませんので、それぞれの方には事情に応じて違うと思っております。例えば、専業主婦の方のように、家庭生活の割合が多い方にとって、それが望ましい姿であれば、それはバランスがとれている望ましい姿であると思いますし、子育て中のときの望ましいバランスと、子育てが一段落した後のバランスもまた違ってくるかと思いますので、人生の段階に応じて望ましいバランスが違ってくるのではないかと考えています。




<質疑>
 望ましいワーク・ライフ・バランスを実現するためには、まずは企業に働き掛けないといけないと思います。これから横浜も夜景のきれいな時期になりますが、あの夜景はほとんど残業でできていると思うと、何か複雑な思いがするわけです。そういう働き方というか、働かせられ方をまず変えていくというのが、どこまで行政が企業に対して働き掛けられるのかということもありますし、また同時に働く側一人一人に対する支援ということもきちんとやっていかないとこれは実現しません。
 今、申し上げた、その企業に対しての働き掛けについては、県として、どのようにやっていくのでしょうか。

<答弁> 人権男女共同参画課長
 まず、これまでの取組ですが、企業に対しまして、県の男女共同参画推進条例に基づき、従業員300人以上の事業所から女性管理職の割合や育児休業、介護休業等の利用状況などを届け出ていただいております。これは10月1日の状況を届け出ていただきますが、それを取りまとめた結果を各事業所にフィードバックして、企業に見ていただいて、取組を促進していただきたいというのがまず1点です。
 それから、今後でございますが、八都県市の首脳会議で決定をしたことですが、今月はワーク・ライフ・バランスのキャンペーン期間としまして、企業や働く父親に対し、育児参加のために定時退社や働き方の見直しを呼び掛けている状況があり、今月の県のたよりなどに掲載されています。今後、企業の情報の収集、整理、提供するだけではなく、実際に個々の事業所にお邪魔して、県の取組を直接お伝えしながら、各事業所の取組方針とか実情や工夫していることなどもお伺いしながら、今後の県の取組に反映してまいりたいと考えます。それと同時に、良い取組をしている事例がございましたら、他の事業所の方にその良い取組を参考として役立てていただきたいと思いますので、お伝えしたりしていきたいと思います。
 そのほか、県民部だけでなく、他部でも取組を行っております。例えば、商工労働部では、男女雇用機会均等法の趣旨の浸透を図るということをやっておりますし、保健福祉部では、神奈川県子ども・子育て支援推進条例に基づきまして、子育て支援に取り組む企業の認証などをやっております。この中に育児休業とか介護休業制度の利用促進なども取り組んでいるところでございます。




<質疑>
 企業に対しては、その統計の数字を示していくということも、自分の会社がどういう位置にいるのかということが分かって、大変有効なことだと思いますが、先ほどのお話にありましたが、ほかではこんな風にしてうまくやっていますということを、どんどん啓発していくということも大事かと思います。先ほどの県民満足度調査で、ほかの部局にという話もそうでしたが、やはり県が積極的にやっていくこと、大変地味でなかなか強制力があるようなことではないので、大変なことだと思いますが、そこをしっかりやっていただければと思います。
 また、今度は働く側への支援という問題ですが、保育だとか介護だとか、そういったことに対して様々な取組を行ってきていると思いますが、これからは男性がもっと家庭とか地域の中で役割を果たしていくということが大事になってくると思います。今回のプラン改定に当たって、そういった男性に対しての支援という視点が盛り込まれているのかどうかということもお聞きしたいと思います。

<答弁> 人権男女共同参画課長
 男性への支援ということですが、委員お話しのように、保育サービス等が充実してまいりましたが、まだ女性にかかる負担は大変重くのしかかっているというのが現状だと思います。女性はもちろんですけれども、男性もバランスのとれた暮らしを望んでおりますので、基本理念の3番目の仕事と生活の調和のところで、男性への支援を視点として施策を盛り込んでいきたいと考えています。
 ここでは男性も女性もだれもが様々な活動について、自ら希望するバランスで暮らしていくということを掲げていますので、これに向けた具体的な取組としましては、まず先ほどの八都県市のキャンペーンなどの普及啓発に取り組んでいくのは当然ですが、これに加えまして、男性が家庭や地域で参画されることを支援するために、子育てとか介護などのセミナーを、男性に向けて開催をしていきたいと考えております。今、女性センターでもやっておりますが、これを更に充実させていきたいと考えております。




<質疑>
 重点目標の6というのがあって、その中で意識啓発の取組ということについて説明がありました。これまでもいろいろと取り組んでいるわけです。様々な制度改正があったにもかかわらず、なかなか現実には定着せず、変化も実感できない意識の壁というのがどこかで障害になっているのではないかと思いますが、今後どういった点に重きを置いて、その意識啓発に取り組んでいくのかお聞かせいただきたいと思います。

<答弁> 人権男女共同参画課長
 意識啓発としての取組ということですが、先ほどお答えいたしました企業への働き掛け、それから実際に働いている方々への意識啓発の取組、これのほかに子供のころからの発達段階に応じまして、意識をしてもらうことが大切であると考えております。
 また、これまではどちらかといいますと、県としては県域全体に対し、さらに女性を中心に普及啓発事業に取り組んできましたが、今後は市町村とかNPO団体などと協働、連携といった形で、更に事業を深めていきたいと考えます。今、女性センターが活動の拠点となっておりますが、その地域にふさわしい形で男性に対して、地域でも開催しているということの普及啓発事業にも取り組んでまいりたいと考えております




<質疑>
 大変細かいところに目配りをしていこうという姿勢は感じられます。この神奈川県庁というのも一つの職場ですけれども、県庁においてのこの辺りの実際の意識だとか実態だとかは、どのように課長として見ていますか。

<答弁> 人権男女共同参画課長
 理解の深い方と、まだまだいろいろな実態を私の方で広報しながら普及し、必要性を理解していかないといけない方もいらっしゃるのかと思います。




<要望>
 例えば、県庁でしっかり取り組んで、それを企業に持っていっても、それは役所だからできるんだよというような反応が返ってくるということは、容易に想像できるのですが、やはりまずは足元からということもあると思います。神奈川県庁はさすがその辺はしっかり先を走っていると見られるような県庁になっていくということも、これは一つの表し方ではないかと思います。
 今回の男女共同参画推進プランの改定ということについては、ワーク・ライフ・バランスに力を入れていこうということで、大変重要なことだと思います。ただ、やはりこのワーク・ライフ・バランスの取組というのが、もしかすると企業の生産性を低下させてしまうのではないかと、それによって企業も競争力をそいでいきかねないというような懸念、またそういった指摘も実際にあると思います。先ほどのお話ではないですが、そういった取組をむしろ先進的に取り込むことによって、業績を伸ばしたとか、また従業員の労働意欲が向上したとか、そういった事例もどんどん表に出していってほしいと思います。育児休業だとか、介護休暇制度だとかがきちんとしているところは、本当に企業力が高まるということも実際にあると思っています。それがまた生産性の向上にもつながっていくと思いますので、その辺をしっかり民間企業に向かっても強調していってほしいと思います。
 また、働く男性、女性、そのワーク・ライフ・バランスというのがしっかり定着することで、男女ともに豊かな家庭生活、豊かな人生は家庭とか地域とか、そういうものをすごく大事にできると思いますし、それがひいては少子化対策にも多少は役立つかもしれないと思いますので、是非新しいプランでしっかり取組を進めいただきたいと思います。




 文化行政の振興について
<質疑>
 まず、県民ホール、これは新しいホールではなく既存の県民ホールですが、その県民ホールの改修についてお伺いしたいと思います。
 知事から県民ホールの本格的な改修の工事期間が2年程度と予想されるので、工事期間中の利用ニーズを考慮し、県立新ホールの完成を待って、できるだけ早期に着手できるよう努めるという答弁がありました。
 また、この知事の答弁を受けて、9月27日の読売新聞でしたけれども、県民ホールの大改修について、平成22年度から約2年間休館して工事を行うという報道もありました。ただ、議会として正式にお聞きしたものではありませんので、この県民ホールの再整備のことについてスケジュールを含めて、改めてお伺いしたいと思います。

<答弁> 文化課長
 県民ホールの改修ですが、今委員お話しのとおり、本会議での一般質問に対し、知事から県立新ホールの完成について、現時点では平成21年度を想定していますが、その完成を待って、できるだけ早期に着手できるよう努めるという旨の御答弁をさせていただきました。
 また、先般策定いたしました神奈川力構想の戦略プロジェクトにおきまして、県民ホールの改修につきましては、平成22年度中に改修工事に着手するということを位置付けさせていただいたところです。
 こうした中で、具体の工事スケジュールですが、今後、まず財政当局との予算上の調整が必要になります。また、設計に入りましてからでも細部の調整ということも必要になるかと思いますが、県民部としまして、現段階では平成21年度末に県立新ホールが完成した後に、できれば平成22年度中にも県民ホールの改修に着手し、2年程度の工期を経てリニューアルオープンするといったスケジュールを念頭に置き、今後庁内の調整や具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。




<質疑>
 非常に大きな課題が館内のバリアフリーだと思います。今、建物内はエレベーターがありますが、入場してきた人たちが2階、3階の席に上がったりするところには設置されていません。エスカレーターもありませんから、2階席、3階席の人は本当に大変な思いをして館内を移動しているということがあります。県の方にも利用者の方から、苦情だとか要望だとかというのは届いているのでしょうか。私のところにも来るぐらいですから、恐らく県の方にも来ていると思うのですが、そういった状況について、県民部としてはどのように認識しているのかお伺いしたいと思います。

<答弁> 文化課長
 県民ホールを利用される方々から大変多くいただく御要望が、お話にございましたように大ホールの2階席あるいは3階席への階段を登るのが大変であり、改善してほしいという内容です。現在、県民ホールでは階段の上り下りが困難な方には、職員が業務用のエレベーターを利用して座席まで御案内するというできるだけ丁寧な対応をさせていだたいております。ただ、こうした方法で大勢の方を一斉に御案内するということは限界がございますので、私どもとしても大ホールに可能であればエスカレーターを設置したいと考えており、今後、改修工事の全体を検討する際に、エスカレーターにつきましても十分検討していきたいと考えております。




<質疑>
 認識は分かりました。建物の強度の問題だとか、いろいろ考えなければいけないところはあると思いますが、是非その方向でお願いをしたいと思います。そのほかバリアフリー対策を含めて、どういった工事を考えているのか、現段階で想定できる改修の具体的な内容について教えてください。

<答弁> 文化課長
 県民ホールについては、現段階で大きく三つの改修工事が必要であり、課題であると考えております。一つは、今お話がございました施設のバリアフリー化など、利用者のアメニティーの向上を図るための取組で、繰り返しになりますが、大ホールのエスカレーターの設置、あるいはトイレの充実といったことを検討する必要があると考えております。
 二つ目は経年劣化している設備などの更新ということで、空調設備、電気設備の更新が必要かと考えております。
 三つ目は文化施設としての水準を確保していくための舞台機構の整備ということで、舞台の背景ですとか、幕をつるすバトン類の更新といったことも課題と考えております。




<質疑>
 新しく造る県立新ホールと同水準の整備について、いろいろな物理的な障害はあると思いますが、看板ホールにふさわしい整備をしてほしいと思います。
 ここで、これから建てる県立新ホールのバリアフリー対策というのはどうなっているのでしょうか。

<答弁> 文化課長
 県立新ホールのバリアフリーについてですが、申し上げるまでもなく、高齢者、障害者、特に車いすを御利用の方ができるだけ容易に施設内を移動して、公演も楽しんでいただけるような配慮を考えております。
 具体的には、駐車場が地下1階にございますが、ここから最上階までエレベーターで移動できるようにしているということに加え、主な移動手段としてはエスカレーターを利用していただけるようにするということが一つございます。
 それから、ホール内の車いす用の座席は4席確保していますが、取り外し可能な座席を採用しておりますので、さらに多くの車いす用の席を確保できるようにしております。
 さらに、車いすで利用可能なトイレをすべての階に配置するといったことで移動のバリアフリーにつきましても様々な配慮をしてまいりたいと考えております。




<質疑>
 県民部としては、10月から11月にかけて、条例の基本的な考え方について県民から意見を伺うという予定になっていると聞きました。できるだけ多くの方から意見をお聞きすることはもちろん大切なことだと思いますが、今後の神奈川の文化芸術施策の観点から、文化芸術に直接かかわっている団体や個人、アーティストといった方々から御意見を聞くことが大事かと思います。どのような人を選ぶかという、選び方も難しいと思いますが、広く呼び掛け、例えば県民ホールの小ホール、大ホール、青少年センターや音楽堂など、様々な施設を使っている方々に、意見を伺うことがしっかり届くような形でやることも一つの手だと思います。そういったアーティストからの意見を聞くということは、非常に大事なことだと思いますが、そういった視点からの意見聴取についてはどのようにお考えでしょうか。

<答弁> 文化課長
 条例制定における県民の皆様からの意見聴取につきましては、今回報告をさせていただいた条例の基本的考え方の内容に基づき、リーフレット等を作成して県のたより等で周知するとともに、関係機関を通じて配布したいと考えております。また、フォーラムの開催等も併せて行っていきたいと考えております。
 こうした取組に続き、条例はもとより、今後の施策についても広く御意見をいただきたいと考えております。
 ただいま委員から御質問ございました文化芸術に係る団体、あるいはアーティスト、個人の方から御意見を伺うことも大変大切なことと考えております。そこで、一つは現在、県内で活動しておりますいろいろな芸術活動にかかわる団体について、私どもでは240団体と把握していますが、こうした団体に直接リーフレット等をお送りして御意見を伺う取組はしたいと考えております。
 それから、個々の個人のアーティストの方からの意見聴取ということにつきましても、今申し上げました団体を通じ、意見をいただくことが可能かと考えております。それから、先ほど委員から御指摘のありました県の文化施設を利用する個人の方、アーティストの方がいらっしゃるわけですので、そういった施設利用者という観点から、内容を周知して御意見を伺うといったことで条例制定の取組を御理解いただいて、条例制定あるいは施策を展開させていくということについて検討したいと考えております。




<要望>
 それでは、要望を申し述べて質疑を終わりますが、まず、県民ホール、そして県立新ホールの整備について、高齢者の方、障害者の方が安心して気持ち良く舞台芸術、音楽を鑑賞できる環境を整備するということが、ノーマライゼーションの視点からも大変重要なことであると思います。
 県立新ホールでは設計段階で十分な福祉的配慮が講じられていると思いますが、県民ホールについても、できるだけ速やかに工事を行っていただくとともに、新しく設計する県立新ホールと同水準のバリアフリー対策を講じていただきたいということをお願いしたいと思います。予算確保という面からも大変厳しいところもあると思いますが、できるだけ計画に沿った取組が進められるよう努力していただきたいと思います。
 また、最後に質問させていただいた文化芸術振興条例について、やはりアーティストの方といろいろと意見交換をしていると、皆さん御苦労されているのがお金のことです。やはり、いろいろな公演を行いたい、展覧会を行いたい。そのときに、これがなかなか経済的に大変です。芸術家は古今東西お金がないというのが決まり事のようであり、そのようなときに今回の条例ができることによって、例えば企業がお金を出しやすくなるなど実効性のあるものに是非していただきたいと思います。そこはやはり都道府県の出番かと思います。もうお亡くなりになりましたが、野村万之丞という狂言師がいました。彼は狂言だけではなく、いろいろな総合芸術のプロデュースをやっていた人ですが、生前お会いしたときに、そのとき私はまだ議員ではありませんでしたけれども、地道な芸術活動を続けるときに一番頼りになるのが都道府県だというお話をしていました。国というのは敷居が高く、市町村はなかなか十分な力がない。政令市は別でしょうが、やはり都道府県が非常に頼りになるということでした。
 私の記憶では、文化芸術に対しての国の予算は、まだまだ少ないと思います。2003年度に国の予算もやっと1,000億円を突破したというように記憶をしておりますが、そういったところにしっかりお金を付けることについても、行政、税金だけではなかなか限界がありますから、そういうところにお金が回るような条例にしてほしいという気持ちが非常に強くあります。そのために頑張っているアーティスト、団体の人たちの意見や要望やまたアイディアをしっかり聞いて、条例策定まで頑張っていただきたいと思います。
 以上、要望を申し述べて私の質疑を終わります。