■文教常任委員会 養護学校の教育環境について(平成18年9月28日)
<質疑一覧>


<質疑>
 次は、養護学校について質問させていただきます。
 これは議会の中でも常々テーマになっていることですけれども、養護学校が過大規模化しているという現状があります。これまで教育委員会としても養護学校を新設したり、校舎を増築したり、あるいは高等学校内に分教室を開設したり、様々な施策を展開していると承知しておりますし、また、平成19年度には横浜南部方面養護学校の前倒し開校も予定されているという御報告もございました。
 そこで、養護学校について何点かお伺いしたいと思います。
 まず、今回の報告資料の中にもございましたけれども、養護学校と特殊学級の知的障害児の在籍者数が大変増えている状況なのですが、現状について御説明を願います。

<答弁> 子ども教育支援課長
 養護学校の小学部、中学部、それから高等部のいわゆる知的障害教育部門の児童・生徒数の合計でございますけれども、この10年間の比較をしてみますと、平成9年度が2,778名、それが年度ごとに増加いたしまして、平成18年度は4,062名、数にして1,284名の増、率にしますと46%の増ということでございます。
 また、小・中学校にございます特殊学級の在籍児童数は、平成9年度が2,262名ですが、やはり年度ごとに増加しまして、平成18年度は3,363名、数にして1,101名、率にしますと49%の増加ということでございます。
 学級数につきましては、平成18年度の学級数がまだまとまっておりませんので、平成8年度と平成17年度を比較いたしますと、養護学校は661学級であったものが1,000学級に、これは51%増、特殊学級においては、平成8年度は837学級であったものが平成17年度は1,074学級、これは28%増と、いずれも大きく増加しているというのが現状でございます。




<質疑>
 養護学校の過大規模化ということに我々としても目がいくのですけれども、一方で特殊学級も増えているのだなと、改めて認識をいたしました。
 私の地元に保土ヶ谷養護学校があるものですから、例えば卒業式でありますとか運動会といった行事があるときにお邪魔をさせていただいているのですけれども、障害の程度というか、種類も含めて、実に様々で、現場の先生方は大変な御苦労なのだろうと思います。
 そのあたりは、現状でどのようになっているのか。また、そのような状況に対して県の教育委員会としてどのように考えているのかお伺いしたいと思います。

<答弁> 子ども教育支援課長
 肢体不自由の養護学校では、必要な学校には看護師を配置いたしまして、例えば鼻から胃までチューブを挿入して栄養分を送り込む、いわゆる経鼻経管注入や、気管内のたんの吸引、導尿等といった医療ケアを行う必要のある生徒が129名在籍しております。一方、知的障害養護学校におきましても、こうした医療ケアが必要な生徒がやはり複数在籍しておりまして、例えば経鼻経管注入を行う必要の生徒数が現時点では6名でございます。
 一方、軽度の知的障害というお子さんたちも増加してきておりまして、児童相談所等が知的障害の程度を表す療育手帳というものを発行しておりますけれども、高等部に限っての話でございますけれども、軽度と判定された生徒あるいは療育手帳そのものを持っていないというお子さんも合わせた数が平成18年では約39%という在籍になっております。こうした軽度の知的障害のある生徒の中には、これまで養護学校では対応したことのない様々な生徒指導上の課題も発生しております。例えば携帯を使ってのトラブル、インターネット等のトラブル、あるいは喫煙やいじめ、不登校といったような通常の中学校、高校で起こるような生徒指導上の課題というのも、養護学校でも実際に起き始めております。こうした課題への対応については、教職員もそれまで経験のないことについて対応せざるを得ないということで、児童生徒指導室の生徒指導担当の会議にも積極的に出ていただくというような対応をしております。こうした生徒が増える中で、従来からのダウン症の生徒、自閉症あるいは自閉傾向のある生徒も大変増えてきており、こうした対応も求められますので、キーワード的に申し上げれば、重度化、軽度化、多様化といった実態がございます。
 県といたしましては、こうした多様なお子さんたちをいわゆる障害ということで区別するのではなく、それぞれ異なる教育的なニーズがあるお子さんたちだという受け止め方をさせていただいた上で、必要な支援と適切な指導を行うために、保護者の方々と一体となって個別の教育計画を作りながら、一人一人の対応に努めているところでございます。




<質疑>
 養護学校の児童・生徒を拝見していますと、重度のお子さんたちと軽度のお子さんたちと本当に大きな差があるなと感じますし、また、大変多様化しているということもあるのだと思います。その辺をうまく調節した方が教育指導上、都合が良いという面もあるのかなと感じました。
 特に軽度の障害をお持ちのお子さんたちに対しては、一般の小・中学校でも取り組まれていると伺っていますけれども、どのような状況になっているのでしょうか。

<答弁> 子ども教育支援課長
 一般の小・中学校の通常学級あるいは特殊学級におきましても、各学校において様々な対応をさせていただいております。支援の必要な子どもに対しては、担任職員が一人で対応しているというのではなく、全体としてあるいは学年として対応することが大事だということで、例えば校内委員会を設置しまして、校長、教務担当、それから学年主任あるいは養護教諭、スクールカウンセラーといった方々が集まって課題のある子どもたちへの対応を話し合い、それぞれ自分は何ができるのか、どのようなことをやったら良いのかという役割分担を決めて子どもの支援に当たるという、いわゆるチームによる対応ということを推進しております。また、そうした話合いの核として、校内あるいは校外の関係機関、それから保護者との連絡調整の中枢を担うという意味で教育相談コーディネーターも各学校に配置して取り組んでいただいております。
 また、実際の授業の場面ではチームティーチングや少人数指導、あるいは時間を限って個別指導をしたりといった工夫をしているところです。
 ただ、こうした取組がすべての小・中学校で十分に行われているという状態では決してございませんので、今後、市町村の教育委員会とも連携をとりながら、各学校への働き掛けについて推進してまいりたいと思っております。




<質疑>
 まだまだという状況も多く見受けられるというお話でしたが、そうした状況に対して、県の教育委員会としてどのような支援を行っているのか。また、これからどのように支援していこうとしているのか教えてください。

<答弁> 子ども教育支援課長
 教育局といたしましては、これから特別支援教育という体制に入ってまいりますので、県立の盲・ろう・養護学校が地域のセンター的な機能を持ち、小・中学校に対して教育相談や専門研修の実施、あるいは教材教具を貸し出したり、場合によっては要請に応じて教職員が実際に小・中学校へ出掛けていってケースワークに参加するといった取組を現在も進めてきております。
 また、小・中学校における校内体制の核となっていく教育相談コーディネーターについては、現在、養成の3年目を迎えておりまして、今年度で小・中学校1名ずつぐらいの配置ができる人数を養成しましたが、人事異動等も考えますと、あと2名ぐらいを6年ぐらいかけて、教育相談コーディネーターの養成に努めてまいりたいと思います。
 そのほかに各市が独自に相談支援チームというものを作っているところもございまして、現在、横須賀、海老名を始め6市に設置されておりますので、こうした成果を生かしながら地域へ広げてまいりたいと思っております。




<質疑>
 知的障害児も増えて、本当に多様な障害を持ったお子さんがたくさんいるという現状を踏まえて、神奈川県の障害児教育について、これからどのように推進していくのか、お考えをお尋ねしたいと思います。

<答弁> 子ども教育支援課長
 国は従来の障害にプラスしてLDやADHDという軽度型障害のお子さんたちも視野に入れた特別支援教育を推進してきておりますけれども、私ども神奈川県の場合にはそうした障害の有る無しにかかわらず、一人一人の子どもたちのニーズに対して対応していこうという受け止め方をするという意味で、あえて「特別」をとって「支援教育」の推進という考え方で今後も進めてまいりたいと思っております。
 すべての子どもたちが今の環境の中で伸び伸びと、本当に夢を持って進めるようバックアップをしていきたいと思っております。通常の学級、特殊学級、養護学校、いずれに在籍していても、必要な支援と適切な指導が行われるという支援教育の推進に努めてまいりいと思っております。




<要望>
 神奈川県の教育委員会がこれまで行ってきた取組、また、現在行っている取組については理解させていただきました。今後とも障害のある子どもたちにつきましては、養護学校だけではなく、通常の学校の教育環境整備をより進めていただきたいと思います。
 また、本人、保護者が通常の学校も選べるような条件整備をしていただきたいと要望させていただきます。