■文教常任委員会 保土ヶ谷高校のシックスクール事故について(平成18年7月6日)
<質疑一覧>


<質疑>
 引き続き、学校の設備のことなのですが、県立保土ヶ谷高等学校で、シックハウス症候群の事故が起きてしまったわけですけれども、昨年の6月定例会の一般質問で、私どもの会派の渡辺ひとし議員からも、今後こういった事故が起きないように、できれば関係の県職員の方々への研修でありますとか、マニュアルを策定することといったことをお願いしました。
 その後、マニュアルも策定したという報告もいただきました。まず、この事故の内容について御存じない方もいらっしゃると思いますので、簡単で結構ですので、原因等も含めて御説明願いますか。

<答弁> 教育財務課長
 事故の概要でございますけれども、平成16年の9月に、保土ヶ谷高校の北棟と西棟の屋上防水工事を実施いたしましたけれども、その施工中に学校職員が異臭を感じたというところでございますが、工事がそのまま継続され、10月18日に完了いたしました。
 その後も異臭が続いたため、換気扇を11月に設置し、換気をしたりしてございました。また、12月になりまして、工事を行った屋上の下の教室、音楽室、書道室の二つの教室で、揮発性の有機化合物であるVOCの簡易測定を学校で行ったところ、定められた計測法ではなかったわけでございますが、トルエンの濃度が基準値を超えているということから、音楽室、書道室の使用を中止にしたということです。
 その後、平成17年4月になりまして、頭痛等の症状を訴える生徒がいたということで、北棟の3階すべての教室を使用中止とし、さらに、4月26日には同様に異臭がするということで、西棟の5階、南棟の5階も使用中止にしたということでございます。以上が事故の概要でございますが、原因について、外部の専門家の大学教授等、あるいは医師も交えて検討委員会を設置いたしまして、5回検討したわけでございます。結果としては、屋上防水で使用した材料の防水プライマーというものの成分で、キシレン・エチルベンゼン等が防水槽から直接、厚さは12センチあるコンクリートのひびを伝わって室内まで入り込んで、室内で化学物が拡散したというのが検討委員会の結論でございます。




<質疑>
 屋上防水の工事の際に使用したプライマーの中に含まれていた有機化学ガスということでありますが、例えば今後、どんどん県立学校も老朽化をしていって、本当に屋上防水工事が連続して必要になってくると思うのですが、もちろんこのような事故は二度とあってはいけないわけで、絶対に100%防がなくてはいけないと思います。
 例えば職員への研修でありますとか、マニュアルといったものによって、100%防げるというものでなくてはいけないと思うのですが、大丈夫ですか。

<答弁> 教育財務課長
 大丈夫でございます。マニュアルでございますが、一つは、これからこういう事故は起こしてはいけないということで、設計段階からVOC化合物が含まれないものを極力使うというようなこと。また、これまで屋上防水工事が室内に影響を及ぼした例というのはほとんどなかったということで、室内の工事をやる場合には、当然VOCを測って確認した上で引き継ぎを受ける。あるいは、施工の段階でも指定した材料がそのとおり使われているか、特に不良防水等の場合には、クラック修理をきっちりやること、学校で行うような小規模な工事についても同様な注意を払うと。その後、日常でもワックスやトイレの芳香剤等についても、そういうものは極力使わないという細かいところまで含めたマニュアルを作ってございまして、学校には、この機会に周知をしたというのが1点です。もう一点、研修につきまして、県庁関係の17課で平成17年9月に神奈川県シックハウス対策会議を発足していますが、こちらの方で平成18年2月から3月の都合3回、シックハウス関係の管理職員等を集めて、必要な研修を行っております。




<質疑>
 保土ヶ谷高等学校では、その後の対策工事も順調に進んだとお聞きしているわけですけれども、ある意味では生徒や保護者にも大変心配をかけたし、混乱も一時したし、大変高い授業料を払ったのかなというふうに思います。そのような中で対策委員会を持っていろいろ検討をされて、マニュアルとか研修というものがあったと思うのですが、マニュアルはどういったところに配布をするのですか。

<答弁> 教育財務課長
 マニュアルの配布でございますけれども、県立高校、養護学校、社会教育施設であります図書館など、教育施設が管理する所属すべてに配布をさせていただきました。また、参考として、県庁内の関係各課で構成されています神奈川県シックハウス対策会議構成委員の方にも配布をしました。




<質疑>
 分かりました。
 マニュアルを配布したことで、例えば反響や何らかの効果というのは出ているのでしょうか。

<答弁> 教育財務課長
 効果でございますけれども、マニュアルを配布したことで、施設長等のいわゆるシックハウス症候群になる揮発性化合物への認識が深まったと考えてございます。
 今年の4月に、ある高校の体育館で異臭がしたというような報告があり、また、5月には、ある養護学校で異臭報告がありまして、それに対して私ども即日、関係の職員が接見に参りまして、結果的には何にもなかったということでございます。こういう形で職員の方も非常に敏感に、そして私どものマニュアルに沿ってさっと動いていただけるということで、関係各課の連携も含めて、不安の解消、あるいは事故防止に役立っているのかなと考えております。




<要望>
 迅速に動くことができたというのは、何よりの収穫かなと思います。マニュアルも、配布したときには目新しいものかもしれませんけれども、注意、関心というものも長続きしないというのが我々人間の性でございますので、これから毎年のように何件もこういった工事が行われていくということを考えると、常にメッセージを教育委員会の方から現場に飛ばし続けていただかないと、同じような事故が起きないとも限らないと思います。
 今後とも、生徒や教職員の皆さんの健康管理、そして安全確保を第一に考えていただいて、せっかく作ったマニュアルですから、このマニュアルに沿った対応をしっかりとしていただく。そして、二度とこのような事故を起こさないようにしていただくことを強く要望させていただきたいと思います。