■文教常任委員会 県立高校の老朽化対策について(平成18年7月6日)
<質疑一覧>


<質疑>
 まず、県立学校の老朽化対策についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の9月定例会の一般質問で、横浜市内にある県立高校の例を挙げまして、老朽化対策について教育長にお尋ねし、また御答弁をいただいたところでございますけれども、先日、座間高校で外壁が落下したという新聞報道がございました。
 昨年の一般質問の際に、このまま老朽化を放置しておくと、神奈川の学校教育は、ハードから崩壊していくのではないか。これは建物が壊れるという意味ではなくて、施設の様々な不備が生徒の心やその生活に暗い影を落として、学校教育というものがおかしくなるのではないかというような意味で申し上げたのですけれども、それがどんどん現実化しているのかなという不安を抱いております。
 そこで何点かお伺いをしたいと思うのですが、まず、座間高校の状況は新聞報道でしか分かりません。どのような状況だったのか改めてお伺いをしたいと思います。

<答弁> 教育財務課長
 座間高校につきましては、東棟、北棟、南棟ございますけれども、東棟を除く2棟につきましては、これまでリフレッシュ工事を実施してございます。今回、天井崩落あるいは外壁落下という新聞報道がされましたのは、リフレッシュ工事を実施しておりません東棟でございますが、天井の落下がありましたのは、東棟の南階段の3階から4階の天井部分の仕上げ材であるプラスターが1メートルから2メートルぐらいの大きさの範囲で夜間から朝にかけてと推測されますが、落下したものと考えられまして、登校した生徒が発見したということでございます。
 また、併せて報道されました外壁の落下につきましては、東棟のひさしの一部のモルタルが昨年の9月に1メートル、幅20センチぐらいの範囲で劣化が進み、玄関の屋根の上に落下しているのが発見されたということです。




<質疑>
 プラスターというのは、どれぐらいの質量のものなのですか。

<答弁> 教育財務課長
 仕上げ材であるプラスターは、設計上では厚さ15ミリで、コンクリートに比べると比較的柔らかいものでございますけれども、落ちたのが1メートルから2メートルぐらいの丸い部分ということでございます。




<質疑>
 べろんと、はがれてしまったような状況だと推測をするのですが、夜間ということもあって、人的には被害は無かったということで安心をしているわけですけれども、例えば学校現場の中で、その兆候はなかったのか。
 また、はがれ落ちてからどのような対応を行ったのか、そのあたりの状況をお伺いします。

<答弁> 教育財務課長
 日ごろから老朽化が進んでございますので、私どもも施設管理者の方に日常点検をお願いしてございますが、今回の部分については分からなかったというふうに聞いています。
 対応工事として天井の部分につきましては、落下箇所のプラスターをたたき落として、また東棟のほかの階の天井もすべて点検をして、危険箇所については同様にたたき落とし、同色の塗料で仕上げてございます。
 また、外壁の落下につきましては、落下箇所のモルタルとコンクリートをたたき落とすということと同時に、これ以上酸化しないように中性化防止剤を塗って処理をしているということでございます。
 また、落下箇所などの周辺箇所の点検をして、同様の対応をしております。




<質疑>
 新聞を読みますと、保護者の方々からもいろいろな意見や、不安を訴える声とかもあるようなのですけれども、このあたりは対応し切れているのでしょうか。

<答弁> 教育財務課長
 新聞報道を受けて、不安になっている保護者もいらっしゃると聞いております。座間高校では、校長名で、保護者の方あてに、状況について御説明をした通知文を送付しました。また、私どもとしても、6月の後半ですが保護者の代表の7、8名の方と話合いをさせていただきまして、その席上で、今後、計画的に整備を行っていくというようなことを御説明して、おおむね保護者の方、当日御出席いただいた方々には御理解いただいたと考えております。




<質疑>
 100校計画で建てた高校が、30年を経過したり、また、例えば1956年建築の多摩高校というのがあったり、県内には校舎の老朽化が問題になるような学校がたくさんあるようなのですけれども、新聞の記事によりますと、教育長が、老朽化は座間高校だけではなく、今後の大きな課題として決めていると。各年度で各所営繕費が組まれており、緊急な対処が必要な場合は緊急班を組んできた。手をこまねいていたわけではないというふうにおっしゃっていますが、各所営繕費等も含めて、例えば平成18年度の県立学校の校舎の老朽化対策に費やす費用というのはどれぐらいの額になるのか教えてください。

<答弁> 教育財務課長
 平成18年度の施設整備の予算でございますけれども、新しいタイプにする高校の整備あるいは教育施設の耐震、老朽、アスベスト等の対策がございますけれども、まず、県立高校の改革によります機能改修等の予算が20校に対して、予算額としては50億7,200万円余り、それから、耐震対策につきましては設計工事ということで、33施設予定してございますが、11億5,100万円余りです。また、老朽化対策につきましては、設計工事といたしまして16校で実施予定で、予算額は4億5,000万円余りでございます。そのほか、アスベスト対策で4億7,600万円、外壁落下等、緊急の安全対策事業として2億2,500万円、各所営繕工事、それから学校にお渡しして学校で細かい修繕をしていただくというようなものも含めますと、全体で88億1,500万円程度組んでおります。




<質疑>
 今、御説明いただいた中で、例えば各所営繕費はどれぐらいの額を確保していますか。

<答弁> 教育財務課長
 各所営繕費といたしましては、9億8,600万円を計上しております。




<質疑>
 各校からの改修補修工事の要望が年々増えていて、2005年度は911件に上ったが、厳しい財政事情から工事ができたのは488件にとどまったという記事があるのですが、例えばこういう工事というのは、今、お聞きした維持修繕費で賄うということなのでしょうか。

<答弁> 教育財務課長
 一義的には各所営繕費で賄いますが、中には県立高校改革と合わせて、あるいは耐震工事と合わせてやるような工事もございます。




<質疑>
 新聞記事によりますと、「問題校舎全部解消へ」という見出しがあって、このとおりになれば本当にいいなというふうに思っています。現在、こうやって改修をお願いしているのだけれども、なかなか手が回らないという実態がありますよね。9億8,600万円の各所営繕費を計上しているということですが、実際に、各校から要求を受けた場合には、どれぐらいの金額が出せるのか。簡単にはお答えできないかもしれないけれどもお伺いします。

<答弁> 教育財務課長
 学校にもよりますが、現在、依頼に対して、対応できているのは約半分程度でございます。




<質疑>
 一概には言えないけれども、大体10億円用意されていて、半分しかこたえられていない。これから10年計画を策定したときに、長い月日をかけて、問題校舎を解消するというのはいいことなのだけれども、早くやってくれというケースもあると思うのですよ。
 教育施設の老朽化というのは深刻な状況であって、いろいろな要望があると思う。10年かけてしっかり直していくというのも、大変に評価できるところがあるのですけれども、今、傷口があいていて、もう出血しているのだと。とにかく包帯でもいいからきちんと処置をしてくれと、応急処置でもいいからというふうにお願いをしているのに、少し待ってくれと。3年後にはきちんと手術をしてやるから、それまで待っていてくれというようなことにならないかという不安があるのですが、いかがでしょうか。

<答弁> 教育財務課長
 これから計画を立てていくわけですけれども、やはり生徒の安全が第一ですから、当然そういうものについては、各所営繕費も含めて効率的にやっていきたいと思います。
 また、そういう中で、いわゆる傷口をふさぐだけではなくて、ある程度腰を据えて抜本的なものもこれから考えていきたいということでございます。




<要望>
 秋には、その計画が出てくるというような報道がされておりますので、しっかりと私たちも検証していきたいと思います。
 学校というのは、もちろん安全な場所でないといけないというのが第一にあると思います。また、校舎が老朽化していると、見かけというのも結構大事で、昨年、一般質問の例に出させていただいた学校などでは、余りに外見が汚くて、女子生徒の応募者数が激減をしているというような状況になってきている。
 そういう意味で、生徒や保護者に対して精神的な負荷というか、マイナス面をもたらしているということも確かですから、本当にしっかりとした計画をつくって、着実に計画的に整備ができるよう強く要望しておきたいと思います。