■商工労働常任委員会(平成18年4月19日)
<質疑一覧>


<質疑>
 今日、午前中の報告の中で4年に一度実施されるという、県の女性労働実態調査結果の概要をお聞きいたしました。人口減少時代をどういうふうに迎えるか、議論がかまびすしいところではあるわけですけれども、その中で社会の生産力を維持していくためには、例えば外国人労働者をもっと積極的に受け入れるべきという、そういった意見も出てきておりますけれども、私は社会が活力を持っていくためには、女性の労働力というのがかぎになるのではないかなというふうに考えています。以前であれば、女性の就労を促進するということは、反面、出生率の減少につながりかねないという議論もあったと思うんですが、これからの日本社会を見ると、労働力の確保と出生率の向上という、この一見矛盾しかねない二つを充実していかなければいけないのかなというふうにも思います。
 全般的に見れば、我が国の女性の就労参加というのは進んでいると思いますし、労働力率も当然上昇しているというふうには承知しているわけですけれども、20歳代後半から30歳代前半の女性の労働力率というのが、何か落ち込んでいるというふうにも聞いています。特にこの神奈川県では、30歳代の女性労働者が結婚と育児を理由にして離職する率が高い、大幅に労働力率が落ちるというふうな説明も受けました。今後、こういった状況を改善していくために、さきの女性労働実態調査の結果を働く女性の支援に、是非、つなげていかなくてはならないんではないかというふうに思います。
 そこで、この女性労働実態調査の結果と、それを踏まえた今後の県の施策について何点かお伺いしたいと思います。まず、先ほど資料の説明の中で、女性労働者の雇用形態で非正社員が55.7%という結果が出ているわけですけれども、神奈川県の女性労働者の就労の特徴はどのようなものなのか、説明いただきたい。

<答弁> 労政福祉課長
 女性の労働特有の問題、ただいまのお話は私どもとしても同様に受け止めておるところでございます。特に女性の就労の問題につきましては、そのライフサイクル抜きに語れないわけでございまして、ただいまお話がございましたように、10代の後半から20代にかけまして、労働市場というステージに皆さんたくさん上がってこられる。その後、男性も当然結婚するわけでありますが、女性のみが出産いたします。また、大半の方がその後育児にかかわっていく。それに合わせまして、一たん労働のステージからおりられる方がかなり多い。
 それで、神奈川の特徴でございますが、全国のその時代のちょうど30代、この時代のステージからおりておられる方の割合が、神奈川は全国に比べまして非常に高い。こういう傾向が1点ございます。それから、次に子育てが終わりました後、もう一回ステージに上がってこられるんですが、その際に従来は若いときに正社員で入ってこられた方が、もう一度正社員でお勤めしたいなと、40から44歳ぐらいの年代の方がどういう形態で就労されるかというと、パート等の非正社員、この割合も実は本県は全国に比べますと、パート等の非正社員で雇用される割合が非常に高い。この二つが本県特有の特徴という点で挙げられるのかなというふうに、統計等を見た上で考えておるところでございます。




<質疑>
 今の30歳代で働くという場面から一たん撤収するというか、おりるという人の割合が高いということと、また、40歳から44歳ぐらいの働く場に戻ってはくるんだけれども、パート等の非正社員が多いという御説明だったんですけれども、これの理由というのはどんなことが考えられるのか。

<答弁> 労政福祉課長
 神奈川だけなぜというところの分析、非常に構造的にいろんな要因があるのかなと思っておりまして、無論、これは企業の責任というような話ではないんだろうというふうに思っております。例えば、神奈川の置かれた社会的な構造というのを特徴的なテンデちょっと考えてみましたときに、一つは核家族化、これは神奈川だけではない全体的な全国の傾向でございますけれども、例えば3世代で同居している割合、これ一つ見たときに、神奈川は5.5%という数字がございます。全国がどうかと言いますと大体10%台、比較的じいちゃん、ばあちゃんと一緒に住んでいる、孫が。そうしますと、お嫁さんがお勤めしても、じいちゃん、ばあちゃんがいわば昼間面倒を見てくれる、こういう割合も高い。
 神奈川がなぜそうなのかという点は、ある意味、社会構造的に例えば地価が高いというようなことから、1世帯当たりの住宅の狭さと申しましょうか、これも統計的に全国からかなり低いレベルで、狭隘な住宅に住んでいるという傾向が一つございまして、なかなか3世代で住めないというような要因が一つ神奈川としてあるのかなと。三、四十年台前は、姉さんかぶりした、ちゃんちゃんこの小学生がいたというような光景も今は全く見られない。そんな状況だろうと思います。
 それから、そうなりますと面倒を見てくれる人がおりませんので、だれが面倒を見るかとなると、やはり公共なり保育所というようなことが必要になってまいるわけなんですが、神奈川の現在待機しています児童数、これは全国で3番目に高い。16年4月現在で3,000人を超えておる、待機児童です。こんな現状も一つにはあるのかな。
 それから、もう一つは御主人に依存し得るような収入の一つ高さも、神奈川というのはほかの県よりも世帯割の収入が高いといったようなことで、何とかやっていけるといったようなことも、あるいはあるのか。
 それから、もう一つ通勤に要する時間が神奈川というのは非常に長くなっています。女性でも20代で正社員で勤めている方は、大体1時間を超えています。全国の平均ですと大体40分、あるいはそれを切るような通勤時間、その辺も大変重荷になっているのかなというようなことで、これはなかなか難しい問題かと思いますが、ちょっと考えましたときに、そんなようなことが神奈川の特性としてあるのかなというふうに思っています。




<質疑>
 育児休業の取得率について報告もありましたが、これも全国と比較して神奈川県というのはどういう状況になっているのか。また、その他の特徴についてどんなことがあるか、御説明いただきたい。

<答弁> 労政福祉課長
 育児休業の取得率でございますが、まず、女性でございますが、全国が取得率70.6%、これは国が平成16年に女性の雇用管理基本調査というのを行っております。ちょっと1年ずれがございますが、そのときに70.6%。それで私どもが今回調査しました神奈川の女性が85.5%取得しております。それから、男性でございますが、国が平均全国ですが0.56でございます。それで、神奈川は男性が1.3%ということで、いずれも取得率については神奈川は非常に普及率が高くなって、皆さん取得されている、こういう状況がございます。
 一方、今回調査しました男性の育児休業を取得されている方の取得期間でございますが、全員が3カ月以内、非常に短い。女性の方は大体おおむね1年もしくは1年以上というのが最近の傾向でございますが、男性については3カ月ということで、男性の取得率については、なかなか現状は難しいというところがはっきりしたのかなというふうに思っています。




<質疑>
 この資料の59ページに、次世代育成支援対策推進がございます。これは次世代育成支援対策推進法に基づいた行動計画の届け出というのが、301人以上の比較的大規模な企業に去年4月から義務づけられたというふうに聞いていますけれども、この次世代育成支援対策についても企業の取組状況について、どのように把握されているのか。

<答弁> 労政福祉課長
 企業の取組につきましては、二つの視点で設問を設けて聞いておりまして、1点目は職業と家庭生活、これを両立するための支援、雇用環境の整備という点で、どんな取組をしているのかということで、それから、もう1点、働き方の見直しをするための多様な労働条件を整備していただく、こういう取組につきまして、最も高かったのは年次有給休暇の取得を促進したいということで、こういう回答が半分近い47.4%の企業から回答をいただいていまして、この辺の取組につきましては、いろんな組み合わせの中で64.2%の企業が何らかの取組をしておると、こんな回答をいただいております。




<質疑>
 企業の対応等についても御説明いただいたんですが、今日いただいた資料を見ますと、1,000人以上の大企業でも、これは当然労務担当者にいろいろお聞きになったと思うんですが、それでも40%が次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の届け出について知らないという回答があります。これは当然、法に基づく行動計画の届け出ですから、国の仕事といえば国の仕事なんですが、これの周知の必要性というのを私は今日いただいた資料を見て強く感じました。
 次の質問にいきますけれども、育児休業の取得率について、今回の調査でも女性のとっている率というのが結構高いなという印象を受けました。前回の調査は平成13年に行われているわけですけれども、前回時点と比べて今回時点で、女性労働者が育児休業をとりやすくなった雇用環境の変化というのはどんなことがあるのか、説明いただきたい。

<答弁> 労政福祉課長
 前回、4年ちょうど経過するわけでございますが、その中で国の動きということで申し上げますと、一つは最もポイントになります育児介護休業法、これが改正されて、いわば改善された。それがまた施行されておるというのが1点。それから、ただいまお話がございました次世代育成支援対策推進法、これに基づいた事業主の行動計画、これが法律で義務づけがされた。そういった意味では、法制度の中でこの辺の意識、非常に強い企業へのインパクトがあった。これが一つあったかと存じます。
 そうした背景が大きかったんだろうと思うんですが、育児休業の期間、これを法定以上に設定している企業の割合でございますが、前回、回答が7.2%ということで、法定以上のものを整備するというのは少ないわけですが、今回の調査ではそれが20%ということで約13ポイント増加、こんなことが見られるというようなことがございます。




<質疑>
 分かりました。育児休業を取得するに一定の所得の補償というようなこともあると思うんですが、そのあたりは変化しているのか。

<答弁> 労政福祉課長
 育児休業中のまず一つは労働者に対します補償といいましょうか、これは雇用保険勘定の方から現役当時の40%、ただし、これは復帰しませんと一部返還しなければいけないというような、少しそういうムキの制度がございます。それから、そういったことを奨励しております企業、復帰した企業に対して奨励金の制度、こんなような制度が設けられておりまして、私どももそういったような復帰制度に向けて、いろんな講座等を開催して、啓発をさせていただいている。制度そのものは国が運用してございますが、私どもはその辺の啓発をさせていただいている、こんな状況でございます。




<質疑>
 女性の取得率のキボウをお尋ねしましたけれども、一方で男性の取得率が1.3%というお話がありました。これでも全国と比べると若干高いという数字になるんですが、難しいと思うんですが、男性の育児休業取得率がなかなか上がらないというところの原因というのか、どんなことがあるのかなというふうに思うんですが、例えば今日いただいたこの報告書の中でも、育児介護休業の取得を容易にするために一番必要なことというのがあって、当然、この中に代替要員の確保だとか、あとは取得しやすい職場の雰囲気だとか、もちろん、先ほどの休業中の所得補償だとかというのはあるんですが、こういった環境面といいますか、その課題がたくさんあると思うんですが、特に男性が取得するに当たって障害になるというようなことは、どんなことだというふうに県は考えているのか。

<答弁> 労政福祉課長
 ある意味、やはり社会的なこれまでの歴史といいましょうか、認識度ということで、どうしても育児は女性だという固定的な役割、この辺がなかなか私ども労働行政の中で、簡単にその先まで行くというのが難しいというのがまずあろうかと思いますが、それから、労働の現場の中での特有な問題ということで申し上げますと、厚生労働省も分析しておるんでございますが、ちょうど子育て期になります30代、いわばこれはちょうど働き盛りということで、労働時間も非常に長いというのが現状でございます。大体2割以上の方が30代ですと週60時間の労働をしておる。毎日大体4時間ぐらい残業しておると、こういうような逆算になろうかと思います。そういうことで、いわば現場で男性がそこでちょうど30代という時代は活躍している最中だということで、そんなことからも育児休業のような連続した休暇はなかなかとりにくい、ちょうど年代に当たっているのかなというのが1点あろうかと思います。
 それから、もう一つは経済的な面という点で、やはりどうしても男性の方がいろんな調査を見ましても収入が高いと、こういうことが一つございますので、男性が妻にかわって育児休業を取得するというようなものを阻害しているような経済的な要因、こういうものもあるのではないのかなというふうに思っております。




<質疑>
 本当にとりにくい、この報告書を見ると取得しやすい職場の雰囲気や給与の所得補償だとか、代替要員の確保というのが大変回答を見る限り率が高いんですけれども、そういったところがすべて恐らく障害になって、男性がなかなかとれないんだということが分かったと思います。
 次に、育児を理由とした女性労働者の離職の割合が神奈川県は高いというお話がございましたけれども、当然、働く女性が仕事と子育ての負担感を大変強く持っているというふうに考えられるんですが、こうしたことを踏まえて、働く女性がどうすればその二つを両立できるのか、その支援施策をどのように展開を県としてしていくのか、お聞きしたい。

<答弁> 労政福祉課長
 今回の調査で育児休業取得者の代替要員の確保、これにつきまして約6割の事業所が内部の業務分担を見直しして、その部署の中でやりくりをしておると、こういう回答をいただいています。これは前回もほぼ似たような回答を、4年前もいただいておるんでございますが、育児あるいは介護の休業を進める、とっていただくためにその上で必要なことということについて、取得しやすい職場の雰囲気、これが回答の中で非常に高い割合になっておりまして、そうしたことを考えますと、やはり働いている女性も職場での理解あるいは協力、こういうものについて安心感がありますと、いわばとりやすいようなことが、今回の調査で少し鮮明になってきたのかなというふうに思っています。
 一方で、本県の女性労働者でございますが、先ほども答弁させていただいたとおりでございます。出産育児ということで、収入が切れてしまう割合が非常に高い。こういう状況がございます。それから、また正社員というようなことで職場復帰ができない、こんな現状がございますので、今年度、特に新規事業ということで、一つは事業主の方に対しまして、やはりそういうような仕事と家庭を両立させられるような雇用環境の整備、こういうものに関する啓発講座、これは事業主の皆さんの御理解を得なければいけないというのと、もう1点は国の制度でございますが、育児休業中の代替要員、これらに対する国の助成金の制度がございます。こういうものの相談会、これを実施してまいりたいと考えています。
 また、女性労働者ですが、それぞれのステージに合わせまして、現役のときにつきましては、いわばこういうことをやっていけば、就労が継続できるんだというようなまずは継続するためのカウンセリング、それから今現に休業しておる方、職場に復帰するそのためのカウンセリング、それが二つ目のカウンセリング。それから3番目、結婚ですとか育児のためにもうやめてしまった。しかしながら、子育てが一段落したのでまた復帰したい、そういう方に対するカウンセリング、その三つのカウンセリングを個別のものとして取組をしてまいりたい、こんなふうに考えております。




<要望>
 最後に要望をさせていただきたいと思いますけれども、これからどんどん少子・高齢社会というのが、少子・高齢化が進んでいく。当然、経済社会への影響というのが懸念されるわけですけれども、そういった中で女性が働き続けていくというのが大変重要なことであると思います。今、手元に詳しい資料はないんですが、欧米諸国の中で少子化に歯どめをかけることができた国々の施策というのを見てみると、こういう制度をつくったから、どうぞ、子供をウンデクダサイというようなことでは決してないんではないかと思うんです。女性が働きやすい制度というものをどんどん充実させていった結果として、仕事とあと出産、子育てというのが両立できているんではないかな、そんな側面もあると私は思っているんですが、そういった国々と比べると、まだまだ伸びたとはいっても、日本の女性の労働力率というんですか、まだまだ低いのかなというふうには思います。
 先ほど御答弁いただきましたが、県としても企業に対する啓発ですとか、また、できれば独自の支援策をさらに検討、推進していただきたいというふうに思いますし、また、今回の調査、これは大変に企業も業務が忙しい中、私も以前、サラリーマンをしていたときに労働関係をやったこともありまして、大変忙しい中、こういう調査に協力してくれているわけです。時間を割いて調査に協力していただいているということがあります。是非、この調査で得られたデータを今後の女性労働施策にしっかりと活用して、効果的な施策を展開していただきたいということを要望させていただいて、私の質問を終わります。