■商工労働常任委員会(平成18年1月30日)
<質疑一覧>
 インベスト神奈川による経済波及効果について
 地域の観光・魅力づくりについて


<質疑>
 インベスト神奈川による経済波及効果ということにつきまして、何点か御質問をさせていただきたいと思います。今日の報告資料でインベスト神奈川による経済波及効果の新しい推計結果、M浜銀総研による推計結果の説明がありましたけれども、もちろんそういった全体的な推計も一定の目安として必要だと思うのですが、県としてより重要なことは、県内の一つ一つの中小企業に具体的な発注を含めたプラスの効果が、どの時点でどの程度出てくるのかということではないかと思うのです。したがって、県としても実際にそうした効果の確認をどうやって行っていくのか、それが重要な課題となってくると思います。今日の午前中に自民党の舘盛委員が質問をされていらっしゃいましたけれども、私もその点に関して少し具体的なレベルで何点か伺いたいと思います。
 まず、助成金の申請の段階でも、企業に対して、地元中小企業にどれぐらい発注をするのかということについて、ある程度の対応を求めているというふうに承知をしておりますけれども、具体的にどういった内容のものを出してもらっているのか、その内容について詳しく教えていただきたいと思います。

<答弁> 産業活性課企業誘致室長
 申請書に添付する事業計画書という書類がございます。その中で地元経済への波及に関する項目を設けておりまして、これから申し上げる四つの項目を細かく記載してもらうことになっています。
 まず1点目は、地元経済への波及に関する事項ということで、これは施設整備の段階における地元業者の活用の計画、あるいは操業後の地元中小企業への部品等の発注、あるいは委託生産等の計画。それから、ビルメンテナンス等における地元業者の活用など、地元の、特に中小企業に対して、どのような活用をするかということを中心に記載をしていただきます。
 2点目の項目といたしまして、地元住民の雇用に関する事項がございます。これは、その企業さんが地元に進出した際に、地元雇用についてどのような方針を持っているのか。また、パート、派遣労働者はほとんど地元雇用が主体でございますけれども、そういったものについても、どのような採用計画を持っているかということを中心にお示しいただいております。
 3点目に、納税額の増要素に関する事項といたしまして、県税でございます法人事業税、それから市町村税でございます固定資産税、都市計画税等につきまして、今後の納税見込みなども記載していただいております。
 最後に4点目の項目でございますけれども、施設の立地によって予想される地元経済の貢献に関する事項といたしまして、立地することによって近隣の商店街等へどのような波及が生じるか。それから、企業によっては社員住宅を地元で考えているといったこと。また、企業によっては、県内進出した場合に転居を促進するといったような計画。そういった非常に具体的な取組について、企業としての考え方を記載していただくものです。




<質疑>
 今お伺いすると、相当細かいことまで出させるということが分かります。
 ただ、申請時においては当然のことですけれども、計画、あるいは見込みのレベルでの情報だと思うのですね。実際に、その後どういう発注が行われたのか、どれだけ雇用が実現したのかというようなことを県が確認できるのは、例えば工事に関することで言えば、その工事がすべて終わり操業が開始された後、企業から助成金の交付申請がされた段階ということになると思うのですが、当然その段階で、地元中小企業の活用状況も含めた、いわゆる地元貢献度のチェックというものもなされるというふうに思います。その際に、今日の舘盛委員の質問に対して、事業実績報告書を出させるというような話もありましたけれども、その中身をどういう形で具体的に確認をしていくのか、チェックをしていくのか、それについて教えていただきたいと思います。

<答弁> 産業活性課企業誘致室長
 事業がすべて完了した段階で出していただく書類の中で、申請書に記載していただいた当初の計画がきちんと達成されているかどうかについて、書面での確認がございます。それからもう一つ、事業計画の完了後、職員がヒアリングを行いまして、施設整備の段階で当初計画案のとおり地元貢献がなされているかどうか、これを書面とヒアリングとの両方の見地からチェックをします。さらに申し上げますと、補助金交付申請書には、当然、建設工事あるいは設備の発注状況等について、契約書、あるいは領収書、こういった証拠書類の添付を義務付けておりますので、そういった証拠書類の面からも、どこに発注がなされているのかといったこともチェックをするというふうに考えております




<質疑>
 事後の検査、チェックも大分細かくされていかれることになるというふうに思います。例えば、数年間にわたる投資計画で、助成金の認定を受けている場合なのですけれども、その計画期間中は、地元貢献の確認をする機会がなくなるのではないかというふうに思うのですが、これについてはいかがですか。

<答弁> 産業活性課企業誘致室長
 確かに大企業の大きな投資計画の場合ですと、3年あるいは長いものでは5年計画というものがあるわけでございます。そういった場合、通常1期、2期、3期というような形で段階的に施設を整備していく形になっておりますけれども、私どもでは事業の進ちょく状況を把握するという面を含めまして、その各期ごとの施設整備が完了した段階で、工事完成届という書類を出していただくことにしています。その際に、やはり職員が現地を訪問する機会がございますので、そうした機会も活用しながら地元企業への発注状況について、可能な限り確認を行ってまいりたいというふうに考えております




<質疑>
 次に、いわゆる地元企業への発注状況等の把握なのですが、これはインベスト神奈川に申請する企業、進出してくる企業、その企業からの情報に基づいて行うものだと思うのです。これを少し角度を変えて、インベスト神奈川で助成を受ける大企業から受注をする中小企業、地元企業側からの情報で確認するという方法も一つ考えられると思うのですが、そういったことについては考えていらっしゃるのでしょうか。

<答弁> 産業活性課企業誘致室長
 受注企業側からの確認ということでございますが、これは県内の中小企業といっても大変数も多く、範囲が広いわけでございまして、大変難しいわけでございますけれども、これまで一部取組を始めたやり方として、一つは、立地先の商工会議所、商工会等、地域の経済団体、あるいは県企業団体等を通じまして、インベスト神奈川の助成を受けて進出した企業を、地元経済界がどういうふうに受け止めているかとか、あるいはどのような効果が実際に出ているか、こういったことについてヒアリングを行っている実績がございます。今後、認定企業の施設がこれから順次稼働してまいりますので、それに合わせて具体的な発注状況等につきましても、そういった段階でのヒアリング、あるいはアンケートといった形で確認をしてもらいたいと考えております。
 もう一つ、例として申し上げます。神奈川R&Dネットワーク構想というのを実施しておりまして、技術移転フォーラムを開催したり、あるいは展示会等を開催したりしておりますけれども、そういった受注の成果、技術移転の成果等についても、可能な限りフォローをしてまいりたいというふうに考えております。




<質疑>
 これから続々と施設が完成して操業が始まってくるわけですけれども、県内の中小企業にも投資効果が広く波及していくように、申請時にできるだけ多くの地元貢献を要請してもらうとともに、投資が行われた後の確認作業にも十分配慮した取組をしていただきたいと要望いたしまして、次の質疑に移ります。
 次は、地域の観光、魅力づくりについてお尋ねをいたします。
 秋の神奈川再発見キャンペーンに続いて、今、冬の神奈川再発見キャンペーンを展開しているわけですけれども、こうした中で、先日の新聞の記事に三浦半島モニターツアーというものが載っておりました。これは県が地元市町村などと連携して、新たな観光地としての魅力づくりに取り組むということで、大変私も重要なことだと思いますし、これから本当にもっともっと様々な形で試みが行われるといいなというふうに思っておりますので、こうした地域の特性とか資源を活用した観光地としての魅力づくりに向けた取組について、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、現在県が三浦半島地域で実施しているモニターツアーですけれども、この事業は具体的にどのようなスキームで実施されているのか、簡単に御説明いただきたいと思います。

<答弁> 観光振興担当課長
 このモニターツアーは、県としてやっております地域の観光魅力創出事業の中の施策の一つとして実施しております。これは三浦半島地域をモデル地区として設定いたしまして取り組んでいる事業でございますが、それぞれの地域の特色に合わせた観光魅力づくりをしていこうということで、地域の県政総合センターを中心に、地元の市町村、それから旅行業者等と連携を図って、2箇年事業として取り組んでいるものでございます。1年目は調査が中心でございますけれども、地域の観光資源、埋もれた資源も含めて、どのような新たなものがあるだろうかということで、あるいはイベント、宿泊施設等も併せて調査を行う。そして地域課題の抽出を行って、地域の現状とか課題について分析、検討をする、その上で観光交流プログラムの策定を行います。そして、ターゲット、あるいはマーケットを設定したプロモーション活動で、どんなプロモーション活動が可能かという展開計画を作成しております。今年度はその策定した計画に基づいて、モニターツアーを実施しておりまして、今後はその結果を観光交流プログラムに反映させる予定でございます。




<質疑>
 今回、県と市町村と旅行業者が協力をしてつくったスキームということでありましたけれども、モニターツアーというだけあって、参加される方はごく限られた一握りの方々だというふうに思うのですね。これからこういったモニターツアーを実施していくときに、少しでも多くの方々に参加をしていただくためにはPRが大変重要だと思うのですけれども、三浦半島地域で行われているモニターツアーの実施状況について、PR方法も含めて簡単に御説明いただきたいと思います。

<答弁> 観光振興担当課長
 最初にPR方法でございますけれども、現在三浦半島で行っていますPR方法は、ポスターによる駅への掲示、それから当然のことながらチラシの配布、県観光協会、あるいは地元の商工会ホームページでのPR等々を行っております。今回この三浦半島で行っていますのは、京急観光Mと連携いたしまして、都内発と、県内発とをあわせ持った募集の仕方をすることによってPRをしました。実施状況につきましては、全部で四つ、平成17年度に実施する予定でおりますが、そのうち3ルートにつきましては、既に「三浦半島の近代を訪ねて」の2回、「たまにはプチセレブ体験」というのを2回、それから「校外学習にいかがですか?」を1回、合計5回既に実施しておりまして、132名の参加者がいらっしゃいます。なお、ツアーの昼食には、地元の特産品も併せてPRするということで、マグロの薬膳料理ですとか、横須賀海軍カレー、葉山のサイコロステーキ等を入れまして、その魅力づけを高めているというところでございます。
 今後、2月から3月にかけまして、さらにもう一つのツアー「三浦半島ダイエットクラブ」を実施する予定でございます。




<質疑>
 新聞記事を見ましたら、民間の旅行業者である京急観光Mがやっていらっしゃいましたけれども、今回のモニターツアーに関してだけで結構ですけれども、採算とかそのあたりはいかがだったのでしょうか。これが今後、繰り返して旅行業者の一つの商品としてやっていっても大丈夫なぐらいになったのかどうか、お聞きします。

<答弁> 観光振興担当課長
 モニターツアーから旅行会社の商品化というところが、実はこちらサイドのねらいになるわけなのですけれども、モニターツアーの段階では、行政の支援が入っておりましたので、非常に低価格になっているというのが、参加者にとって魅力でございます。
 しかしながら、このモニターツアーの効果として期待しておりますことは、幅広い層からのアンケートをとり、アンケート結果を生かしたい。それから、ターゲットを絞った商品の企画ですとか、価格設定をするときの参考にしたいというふうに思っています。要するに、行政の支援がない中で、旅行業者がツアーを募集する場合の価格設定の参考にしたい。さらに、複数の旅行会社での募集が可能になるよう、そこに結びつければ、このモニターツアーの効果はすごく大きかったというように評価され、この価格の課題を乗り越えるということがすごく大事なのです。同時に、余り知られていないところを魅力付けしてPRしていくということでございますので、そのPRには、メジャーであれば簡単なのですけれども、メジャーでないところを体験ツアー等を含めながらやるということで、大変お金もかかるのですが、いずれにしても息長くPRしていかないと、なかなか商品化には結びつかない場合もあり得るということが考えられます。したがいまして、いろいろな性格を持った旅行会社で募集しておりますので、それに合った旅行会社を選択するのも、一つのポイントだというふうに考えてございます。




<質疑>
 今月号の県のたよりに観光モニターツアー(17年度)について、宮ヶ瀬とか、座間、海老名、厚木、このあたりのいろいろな計画が出ており、県央地域県政総合センターが窓口になっていますけれども、これも三浦半島と同じような形で、県が市町村、業者と協力して組み立てたものなのでしょうか。

<答弁> 観光振興担当課長
 県央地域につきましては、基本的には県央地域県政総合センターの方の予算で、事業が行われておりまして、本課としては出しておりません。




<質疑>
 こういったモニターツアーを通して、アンケート等をとり、できるだけ商品化、いわゆる旅行商品として成立するような形にしていければということがあったわけですけれども、神奈川県として観光資源のPR等を含めて、このモニターツアーにどのような期待をしているのかお答えいただきたいと思います

<答弁> 観光振興担当課長
 県としては、これが商品化されて、継続的にお客様に県外から来ていただけるような取り扱いになればということが、一番望んでいるところでございます。
 また、県として引き続き観光資源のPRをしていかなくてはいけないと思っておりますが、丹沢・大山地域は、実は第1回のモデル地区として選定いたしましたけれども、今年度さらに、3月末になろうかと思いますけれども、PRのための旅行雑誌が発刊される予定でございます。




<質疑>
 最後の質問にいたしますけれども、先ほど、商品化されて、これから継続的にお客様が神奈川県にどんどん来てくれることを県として期待しているというお話でしたが、これまで実際にそうやって商品化されて、繰り返しお客さんを呼んでこられているというものがありましたら、紹介いただきたい。

<答弁> 観光振興担当課長
 魅力創出事業の中で、現在商品化されて継続しているものは、「そば打ち体験と温泉満喫快適ツアー」、これは秦野で行われているものでございますが、M小田急トラベルさんとともに実施しております。このそば打ち体験は、落花生堀りと温泉など、季節によっていろいろ中身を変えて、四季に合った日帰りツアーを実施することによって継続しているという内容でございます。




<要望>
 観光における消費者のニーズがいろいろ変化をしたりして、大変難しい事業だというふうにも思いますし、また全国の観光地の間での競争というのも激化しているということで、どちらかというと余りメジャーな観光地でないところにスポットを当てて、モニターツアーをして、それをまた商品につなげていくというのは、大変に難しい事業だと思うのですね。ただ、こういった神奈川県の地域の特性を生かした観光振興の取組というのは重要なことだというふうに思います。これからも県内各地の実情を踏まえながら、県として時代の動向を見きわめた観光施策を講じていただきたいなというふうに思います。また、先ほどPRのこともありましたけれども、せっかくモニターツアーを実施するわけですから、それをビデオ等でしっかりと専門家におさめてもらって、テレビ局などにも協力してもらい、メディアを使ったPRのようなことも考えていただければなという要望を最後に申し述べさせていただいて、私の質問を終わります。